小公子セドリック (角川つばさ文庫)

著者 :
制作 : 杉田 七重 
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 21
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046314314

感想・レビュー・書評

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  • (2017-07-01)

  • パパはいないし貧しいけれど、大好きなディアリスト・ママと大好きな友人と日々を過ごす少年・セドリックは誰からも好かれる愛らしくて優しい思いやりのあるアメリカの好少年。だけど実は、イギリスの貴族の跡取りだった!? でも祖父にあたるドリンコート伯爵は大、大金持ちだけれど、かんしゃく持ちのひねくれ者で領民からも嫌われるひと。大好きなディアリストと引き離されたセドリックは、けれども無邪気な憧れとまっすぐな心で伯爵の堅い心をほぐしていく。伯爵とディアリストと、いつか三人で暮らすことが出来るのか。秘密の花園・小公女に続いてつばさ文庫で登場のバーネットの名作。

    これもまた長いことタイトルだけは知ってて内容全く知らなかったタイプの話で、つばさ文庫から出てくれるのを待っていたのでした。とはいえ読み始めるまでの待機期間は長かったけど。小公子だし小公女と似たような感じかな~、タイトル似てるな~とか子供の頃はバカみたく思っていたりした記憶。内容は小公女とは逆ですよね。小公女はセーラがお金持ちの生活から一転して貧乏な生活になってしまうけどこちらは貧しい少年がいきなり大金持ちになってしまうと言う。小公子の方が現代にありふれてる話よね。
    私は安易な発想しか出来ない心の貧しい奴ですので、きっと伯爵はすごいセドリックに厳しく当たってとにかくこの関係を和らげていくのが読みどころなんだろうな、とか思ってたらむしろ伯爵は最初からセドリックには好意的で、ではどの二人が複雑な関係を和らげていくのかというと伯爵とセドリックの母・メアリの方で、ああ!これは「あまちゃん」のアキと夏ばっぱと春子の図式だな、と一人合点してました。実は小公子であるセドリックじゃなくてこの二人が主題なんですよね、この作品は。二人の和解がクライマックスになってる感じがします。最後のまさか…?!って展開ははらはらしましたね、オチはある程度見えていたとはいえ面白かった。偽物も本物もないよね。伯爵がはっきりセドリックを守ろうとするとこもよかったしここから和解エピソードに繋がるのもいいよね。
    ひねくれ者の私からするとなんだいセドリックみたいな奴なんてって思う側のはずなんですが、でもこういう自然と慈悲のある、何のひねくれでもなく、陽だまりのこころの結晶のような少年っていて欲しい。いてくれたらすごくほっとするし、私も彼に好かれたいと思う。そして伯爵やホッブスさんやディックのように彼を守りたいと思う。ああ、さっきあまちゃんのアキって書いたけど、セドリックは皆のアイドルなんだねえ… いい作品でした。

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著者プロフィール

フランシス・イライザ・ホジソン・バーネットは、1849年イギリス・マンチェスターに生まれたが、幼い頃父を亡くし、16歳で一家とともにアメリカへ渡る。1873年、医師のスワン・バーネットと結婚、二人の男児をもうける。1886年『小公子』を発表し大ベストセラーに。1905年『小公女』、1911年『秘密の花園』を発表し、世界的な児童文学作家としての地位を不動のものにした。ニューヨーク州で余生を送り、1924年同地にて死去。

「2021年 『小公女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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