こちらパーティー編集部っ!(6) くせものだらけ!? エリート学園は大パニック! (角川つばさ文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046315878

作品紹介・あらすじ

王子を追って、七ツ星学園に転校してきたゆの。でも、異国の王子・アシュラムの抱き枕になったため、なかなか王子をさがすことができない。なんとか王子を見つけたと思ったら、となりにいるのは、か、か、彼女!?

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらずの角川つばさ文庫を読むフォーティーズですけれどもね!?

    前作では、やや文章がはっちゃけすぎ、確かにノリといきおいが面白い小説ではあったけれど、それはあくまで、
    きちんと書いてこその面白さ
    やと思うので、太字や大きい文字、違うフォントが使われるのはともかくとして、ゆのちゃんのモノローグがふざけすぎるのはちょっとなあ…。
    アルファベットの多用とかさ…。

    と、思っていたのがかなりなくなってた。
    うんうん、そっちのほうがいいよ。そもそも最初はこのくらいのテンションやったからね。そこまではっちゃけなくても著者の文章とリズムは充分面白いんやから、きちんと書くところはきちんと書いてほしい。

    それだけに今回は文章に「(涙)」とかが乱用されるのがちょっと目についたけど(すいません)…。
    いつも思うけど、そういう表現を使わなくても文章で充分表現できてはると思います。
    ブログちゃうねんから、文章だけで充分成り立つのになあ。まあこのへんは、ティーン向け、小学生向け小説なので、このほうが親しみがあるのかな?



    …ティーン向け?

    小学生向け!???


    って、内容は相変わらずスゴイですけどね!?


    ムスメの同級生のお母さんが、「こちパ」は読んだらあかんというてはる方がいらっしゃるそうで(ムスメ談)、
    「なんで?」
    と、(ムスメに)聞いたら
    「まんがみたいやからやって」
    と、いわれて、フーン…、と、思ってたけど、これは、あれか。

    風紀上の問題か(笑)!!!


    何やろうねえもう王子のこの攻め攻めぶりね。TLやわ。これTLやわー。同じような状況になってるはずの、高校生探偵と高校生女子のあの国民的まんがよりも100万倍もEROい。笑

    だって王子の理性がとびそうになってはるからね!!!
    「理性がとびそう」っていう表現を使ってもいいものなの(笑)!?

    イヤ、二次創作ではめっちゃ使うけどさ…。

    だって小学生向け小説よ!?

    すごいなあ、角川つばさ文庫…。
    私が小学生のときはこんな展開はなかったな、逆ハーレムはそこここに転がってたけど!

    年ごろこういった小説を愛読してたら、腐界には来ないんちゃうかな。笑


    とはいえ、そういうややノリすぎなポップさとEROさを差し引いても、私はこの小説は面白いと思う。
    基本、主人公のよしあしが物語を左右するとは思うし、そのでんでいえば、ゆのちゃんはめっちゃかわいい。

    わりと天然、オトボケ風味なドジっ子ちゃんやけど(笑)、メンタルがびっくりするぐらい弱いねんね…。
    ほんで、その弱さと一生懸命戦ってるところがすごいけなげ。

    同じく愛読(笑)している「いみちぇん」のモモちゃんも、さらりとなんでもこなせる「スーパー女子」ではない。
    どちらかというと地味系の、メンタルの弱い子が、「底力をふりしぼろう」と、思うことに躍起になってる。

    底力を簡単に出せるわけでもないねんで。底力を出す前にどれだけの葛藤があるか、そこが、けなげ。

    今回は、エリート学園へ編入したゆのちゃんが、あからさまな意地悪をされるわけでもなく、ただ、「存在を無視される」と、いう状況で、「顔をあげよう」と、思うところにじんわりきたよ。
    この子、えらい。えらいなあ。
    うん、顔をあげているって、しんどいよね。大変だよね。でもそれだけのことで、人から受ける印象は全然違うから。

    勇気を出せないときも、顔だけは下げないようにしよう。…と、私も今年思ってん。@フォーティーズ

    自分が悪くないなら俯いたらアカン。
    ほんで、俯かなかったら、見える景色が違う。だって俯いたら、自分の足が見えるだけやもんね。
    それやと、自分を慕ってくれる人も、応援してくれる人も、見えないままになる。


    そんなふうに顔をあげてすごすゆのちゃんが、「クローゼット引きこもり」な美馬瀬さんと打ち解けていくシーンもよかったです…。
    扉越しとはいえ、返事を返してくれる美馬瀬さんに安心するゆのちゃんとか、けなげすぎるわ。
    しかも、そんな美馬瀬さんのおかげで三ツ星学園のみんなとパソコンを介して会話できたときのエンマの
    「お前、やせたな」
    とか、もう、どうなんそれ。

    ゆのちゃん、やせるほど気苦労が続いてるのか…!
    とか、
    エンマ、そんなことまでわかるのか…!
    とか、いろんなものがグッとこみあげてきた。エンマも格好良すぎる。

    ちゅうか、今回はトウマ先輩でしょうよ~~!!
    しおりちゃんとの音楽室でのシーンとか、惚れる。ちゅうかトウマ先輩にはすでに惚れてるけど、この挿絵では、しおりちゃんを後ろからハグ状態でピアノを演奏したのかとめっちゃ期待したけどそれはそうでもなさそうやった。いやもういっそ後ろからハグでいいのに。

    このしおりちゃんのシーンもねえ…。最高やったなあ…。
    今回はしおりちゃんにシンクロしちゃったなあ。いやいや、呪いとかそっち方向じゃなくてね(笑)、ゆのちゃんが不在の今、ゆのちゃんの代わりをしないと、っていうところにがんじがらめになってるしおりちゃんが他人事とは思えない。
    このループに大概の人ははまるよね。

    しおりちゃんはしおりちゃんで、ゆのちゃんはゆのちゃんやねんから、ゆのちゃんの代わりをしようと思うのではなくて、しおりちゃんのやり方でやっていけばいいのにね。
    客観的に見てたらそういうことはよくわかるけど、当事者は無理だ。

    だからこそ、「もっとまわりを頼ってごらん」と、いう言葉に救われるんやと思う。あなたは、あなたでいいんやでっていう言葉に救われる。

    「よくがんばってる」
    と、認めたうえで、もっと頼ってごらんというトウマ先輩は、ほんまに、すてきやわー…。

    素敵挿絵といえば、海外壁ドンのトウマ先輩もね…。
    何でこの人だけ金ドンの良い子みたいな(誰も分からんわ)白学ランなんやろブレザー見たいわとか、色々あるけど、これは反則やで。格好良すぎやで。
    挿絵も格好いいけど、このときのトウマ先輩めちゃくちゃカッコイイ。

    ゆのちゃんがあんなに苦労した七つ星学園の編入を数行でやってしまうのはどうかと言いたいけど(笑)、じゃあ最初からトウマ先輩にお願いしてればよかったのでは…、とも、思うけど、ゆのちゃんが王子を連れ戻しにいくのがミソなんよね。重要なんよね。わかってるけどさ。

    頼れるもんは、頼ろうよ☆ みたいな。

    (アカンアカンアカンここではアカン)

    あー、でも、王子さまルックスで(ちゅうか王子さまで)マンガを描くのがうまいって最高ですやんね。

    そんなトウマ先輩と美馬瀬さんの関係がちょっとわからなかった…。
    トウマ先輩のあまりの格好良さと、王子とゆのちゃんのラブEROな展開にギョッとして、細部を読み落としたのかもな…。(笑。大丈夫かフォーティーズ)。

    音楽室でのしおりちゃんと一緒で、ゆのちゃんにも
    「充分がんばったから、もういいよ」
    っていうトウマ先輩がほんま好き。王子もうちょっと見習えよゲフンゲフン。

    誰かに自分を認めてもらえたら、もうすこしがんばろうって思える。
    「もっと」がんばるんじゃなくて、「もうすこし」がんばるっていうのがとても大事やと思う。だってそこまででも充分がんばってるもんね。

    だからこそ、「幸せ」は、苦労した人のほうが多く感じられるっていう気持ちは、ちょっと危険やなーと思う。

    わかるよ。わかるよ、そういいたいのもわかる。
    たくさん苦労したから、そのぶんたくさん幸せを感じるよね、と、いう論法なら納得する。

    でも、幸せになるためにはたくさん苦労しろ、と、いう論法なら頷けないな。
    それって幸せになるためなのか、苦労させるためなのか、目的がはっきりしないから。


    それは、「好き」をカテゴライズしようとした王子にも言える。
    王子のそれは「好き」やけども、相手も自分と同じ気持ちでいてほしい、いてくれないと認めない、と、思うのは、…アカン。やろうねえ…。

    それよりも自分がどう思うかだけをまっすぐに掲げて、自分が好きかどうとかだけで判断できる強さが欲しいな。
    そうっかー、私にはそういうものが欠けているから、トウマ先輩みたいな人に惹かれるんやね。
    二次でも、リアルでも。

    違う本も読んで、そのあたりをしみじみと感じた。
    一見ナルシストで、自分本位に見えるトウマ先輩は、ちゃんと物事を「自分で選んで」立っている。
    だからもし、それがうまくいかなくても、誰のせいでもなく自分の責任だと思えるねん。
    そういう強さが、いいな。
    それは王子にはあんまりない。むしろゆのちゃんのほうが、素質があるかも。

    王子を殴るトウマ先輩はスカッとしたちゅうか、かっこいいっちゅうか(もう何でもかっこいいんですやん)。

    そして読んでる私はフォーティーズなので(しつこい)そんな簡単にパッパパッパと転校できるかいな、と、思う…(笑)。
    案の定、王子パパは転校を認めない風味やけど、でも、いいよ。トウマ先輩が七つ星学園に編入してくれるなら!!

    宝さがしとか、いいネタふりやったもんね~。
    寮長とか(名前すら出てへんのに)謎すぎるし、そもそも美馬瀬さんとトウマ先輩の関係も気になるし、続編がますます楽しみ!

    そしてすでに手元にあるからね~。なんでやろうな、図書館。
    美本やしまとめてきたし…。他のつばさ文庫に比べて「こちパ」はわりと回転が速い気がするんやけど…。

    やっぱりこの沼は(沼いうな)、現役小学生には、わからんのかもな(笑)!!

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著者プロフィール

東京都大田区在住。「こちらパーティー編集部っ!」で第2回角川つばさ文庫小説賞一般部門の最高の賞である《大賞》を受賞し、作家デビュー。射手座のB型。趣味は旅行と食べ歩き。ごはんはいつもおかわりします。好きな言葉は「想像力より高く飛べる鳥はいない」「迷った時は前に出ろ」。

「2023年 『七色ギフテッド! 天才だらけ!? 学校生活はがけっぷち!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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