アニメ映画 がんばっていきまっしょい (角川つばさ文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046323262

作品紹介・あらすじ

「がんばったって、意味ないじゃん」
私、村上悦子。三津東高校2年生。部活は帰宅部。
自分はトクベツなんかじゃないって気づいてから、
「がんばる」ってことをあきらめちゃった。
転校生のリー、幼馴染のヒメと一緒にボート部に
入ったけど、最初はすぐユーレイ部員になるつもりだった。
でも、みんなと一緒にいるうちに、
気づいたら本気になっていて……。
仲間と一緒に「がんばる」って、楽しいかも!
感動まちがいなし! 話題の映画ノベライズ!

感想・レビュー・書評

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  •  激動の令和の時代。
     何をしたいのか、何をすればいいのか。
     まるで先が見えないと感じているのは、大人も子供も一緒であろうかと思われます。
     そんなとき、すごく単純で、すごくわかりやすい、心ときめき、胸が熱くなるような想いこそ・・・希望になると、そんなことを思い出させてくれる作品です。
     小説を好きになった方は是非とも映画を見てもらいたいですし、映画を楽しめた方は、小説を読んでみてください。悦ネエの主観・一人称で物語が進むので、「ああ、あの場面でこう思っていたのか」という新鮮な発見があります♪






     ※
     以下、ネタバレを含みます。
     感想以上に、個人的な雑記となります。
     時間の許す方のみ、お付き合いくださいませ。

     (量子力学分野からの言及も含みます)







    ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー








     うまく言葉が見つからなくなると「うん」しか言えなくなる自分が格好悪いと思っていた悦ネエが、大好きな人たちの言葉に応えるとき、素直に「うん」と言っている様子にグッときました。

     真の感動とは主客未分である________
     本当に感動し、胸がときめいているとき、「ああ、私はこの松脂が滴る、美しい弦が奏でる絶妙な響きに興奮している。その周波数は〜〜〜hzであり___」なんて、わざわざ客観的に分析などしていられないのです。少女漫画によろしく、ヒロインが恋をするときは「きゅん」で十分なのです。悦ネエにとって、言葉が見つからないほど、何かに夢中になったり、心に素直になっているときこそ、まさにその「きゅん」が「うん」なのだろうと思いました。



     同時期に放映された「ふれる。」においても描かれましたように、船を漕ぎ、無事に帰るためには、そもそも一致団結が不可欠でした。そして、コックス(舵手)の案内はきっかけに過ぎず、競技用ボートの一人一人が、一つの船の意識になっていく様子も、「ふれる。」において、心通わせるテレパシーの原点は、船を漕ぐ民族たちの神秘の技であることが伝えられています。



     つまりは、言葉はきっかけであり、本当のところ、私たちは無意識でずっと繋がっているのだろうと思います。心から愛しく思う大切な人も、許しがたく認めがたく気に入らない「あいつら」も、みんな、繋がっているのでしょう。それは気味が悪いと思えるでしょうし、私も、現時点での人間たちは、今すぐにはやらない方がいいと思います。実際、「触れる。」においても、人は安易に通じ合うのではなく、面倒や遠回りを経て絆を育む大切さを伝えていました。
     本作、まっしょいにおきましても、まさしくそこなのだろうなと思います。悦ネエの無気力さえも、彼女個人のものというより、この世の中の大勢の人たちが感じている無気力に、無意識のうちに影響を受けていたと思えるのです。だからこそ、繋がる、そうした集合意識というのものは、少しでも前向きで、明るくて、気持ちの良いものにしていきたいのが私の願いです。諦めていた悦ネエが、まさにそうやって変わっていく姿にこそ、彼女たちを見つめている私たちの心や魂、意思を動かす力が宿っています。



     私たちが日ごろ見ているサブカルは、ただの作り物で、ただの文字で、ただの絵の具で、そうしたものがただのデータが動いているだけ___と、冷たい理解をすることももちろんできます。

     けれど私は、FPSやアクションゲームのような娯楽は別として、ほとんどの物語は、現実と架空を分けないで考えています。具体的に言いますと、その世界で、そのキャラクターは生きているのだと思っています。なんと言いましても、そのページ、そのシーンで、そのキャラクターが、そのセリフと、その行動をとっているのは・・・そうなるまでの経緯が必ずあるからでしょう。場面、出来事、記憶の連続性なしにして、その人はそういう気持ちになるはずがありませんし、それらなしにして、私たちも共感・感動することもあり得ません。

     つまり、生きてきた時間があり、思い出があるのです。それは、私たち人間と全く同じでしょう。なんなら、私はこの自然や動物たちにも、同じものがあると直感しています。それは怪しげな宗教でもなんでもなく、実際に現時点で、「キントンウォーター」と呼ばれる、縄文時代前後から、一切変質していない、情報を無限大に蓄えた水が、スペイン近郊で見つかっていることからも、科学的に検証されていくのではないかと思います。なんと言いましても、私たち人間のほとんどは水分であり、その水分が、内臓の持つ周波数や感情に影響しているのですから・・・人はやがて塵となって空に登り、また雨となって土に帰り、その土から流れ出でて水に戻る・・・まさに、水は、地球の記憶そのものです。大変興味深い分野だと思えます。この辺りを明確に描写したのは、「Rewrite」(Key)の物語でした。
     悦ネエが勇気を取り戻すきっかけが、光り輝く水面と、仲間達の瞳の美しさに見惚れたことでしたから。人の瞳は、口ほどに物を言うと呼ばれるほどに、心を映す代名詞。そして、水面もまた、人の心模様を例えるためにしばしば扱われる存在です。水の記憶が、地球の願いが・・・「諦めないで」「幸せになって」と、悦ネエに精一杯の愛を届けてくれたようにも見えたのです。

     話を戻しますと、詰まるところ、記憶や集合意識とは、私たちのほんの少しに過ぎない顕在意識よりも、ずっと多く、ずっと強く影響しあっているということなのです。ならば、身体で、言葉で通じ合うことの出来ない、二次元のキャラクターと、三次元の物理法則で生きている私たち人間もまた___そうした、意識の、量子力学の絆によって、繋がれていると思えるのです。しょい!に勇気を感じるのは、まさにその瞬間に、私たちの心に、本当に勇気が芽生え、生まれているからこそ感じられるものであろうと考えられます。



     いい歳こいて卒業しなさいと、冷たく迫る大人の方々もいらっしゃるかもしれません。けれど自分たちもまた、自分たちにとって好ましいものから影響を受け、今日を生きる活力を求めているはずです。これからの未来を生きていく子供達にとって、その活力こそが、アニメ、漫画、ゲームであると___どうか、ご理解頂きたいです。私の主観も多分に含まれますものの、現時点でわかっている科学的見地からしましても、十分に証拠がある、大切なものなのです。

     逆に言えば、私たちの生きる姿が、物語の彼女たちの希望にもなりうるのでしょう。
     なんといっても、物語の世界を描き、作るのは私たち人間ですから。その人間が大切だと思うことを物語に伝えていく以上、互いに影響しあっているのです。

     物語が絵空事だと思えてしまう人に、是非、一度こう考えてもらいたいということがあります。それは、作家になろうと思った人は、間違いなく、自分の人生をかけて、その言葉、その場面、そのキャラクター、一つ一つに想いを込めているということです。
     自分が確実にその職業で成功することを約束などされていませんし、むしろ安定することの方が難しい、大変に厳しい職種です。『それでも』やりたいというのなら___その伝えたいこととは、本人の尊い意志であり、それと同じほどに、私たちの集合意識や、より高次元の(神様やご先祖様など)の想いが、その人にそうさせているのは間違いないのです。
     どれだけ難しくても、やる。その勇気ある生き様を、悪様に思う人はおそらくほとんどいないでしょう。アニメ、漫画、ゲームは、そうして作られているということを___私たちと同じ、血の通う人間が記したものであることを、どうか覚えていてください。

     詳しくは、
    「実践アニメ療法」著:パントー・フランチェスコ
     を参照いただきたいです。

  • 今週金曜日(24/10/25)封切りのアニメ映画のノベライズ版。原作小説は愛媛県立松山東高校の女子ボート部を舞台とした、劇的な展開のない、淡々と進むストイックなスポ根物語でしたが、今回のアニメ映画化にあたって原作の設定を最低限残しつつ大幅なアレンジがあったようで、エンターテインメント性の非常に高い娯楽作品になっていました。主人公のイマドキの女子高生である「悦ネエ」こと村上悦子と、ボート部の女子部員たちのやりとりを中心とした王道の学園青春物語で、読み終えて爽やかな気持ちになりましたね。映画公開が楽しみです。

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