金副隊長の山岳救助隊日誌―山は本当に危険がいっぱい (角川学芸ブックス)

著者 : 金邦夫
  • 角川学芸出版 (2007年10月発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046519986

作品紹介

「奥多摩」は楽しい、しかし危険もいっぱい。年間40回をこえる救助活動をつづけてきた現職救助隊副隊長による『奥多摩登山考』につづく山岳エッセイ。

金副隊長の山岳救助隊日誌―山は本当に危険がいっぱい (角川学芸ブックス)の感想・レビュー・書評

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  • 警視庁の山岳救助隊副隊長による遭難救助日誌をベースにした登山啓蒙書。奥多摩でも安易な入山や判断ミスによる事故が多発している実態と救助活動を広く知らせる内容。奥多摩の自然や山野井氏との交流、皇太子の登山等のエピソードもちりばめてあり、奥多摩登山の書としても使える。

  • こちらは奥多摩の山岳救助隊の副隊長さん(当時)が書かれた本。

    奥多摩と言えば、割に近所だし…

    高校の頃は夏休みにバンガローに泊まるのが流行って
    山は登らないにせよ、
    あそこら辺、なんか行ったな…。
    そしてどでかい蛾がいたな。

    でも、この本を読んで驚いた、
    奥多摩の山でも結構遭難して亡くなったり、
    行方不明も多数あるんだね。

    この私の驚きがよくあらわしているように、
    実際「まさか…奥多摩で」
    と言う感じの登山者が多いらしく、
    家族にも「奥多摩の山に登ってくる」とだけ言って
    予定も細かく決めず気ままに歩いてみたりしている人も
    少なからずおられるみたい。

    これがトラブルもなければよいのだけれど、
    いざ「時間になっても帰ってこない」となると
    探すのも大変!

    剱岳や穂高などでは、
    急な天候の変化とか、難所での滑落とか
    そういうのが多いみたいだけれど、

    ここでは装備不足、
    (散歩の延長みたいな感じで山に入って日が暮れて
    真っ暗になって動けなくなる、
    また登山靴ではなくスニーカーの様な滑る靴だったり)
    あと体力不足、準備不足、計画不足…

    色々の不足があふれる中、
    とにかく「何とかなるだろう」と言う勝手な考えだけは持っている。

    そんな皆さんが次から次へと現れて、呼び出される金さん、
    それでも優しく対応している金さんは人間が出来ているんだな。

    あと不思議だったのは、
    「なぜこんな場所で?」と言う場所で亡くなることが続いた話。
    その登山者を言う目撃情報もなんだかおかしくてね。
    (日が暮れるのに頂上へもう一度向かったみたい、とか)

    穂高でも何人か続けて滑落で亡くなって、
    その谷の下に遺体があった事がある、と
    穂高の山荘で働く方のブログにあったよね。

    ね、山ってなんかそんな不思議なこと、あるんだよね。
    (訳知り顔で)

    ともかく、近所の山だからって甘くみたらいけないんだ!

  • 気候が暖かくなり、出かける方も増えてきたのではないでしょうか。そんな中、気をつけたいのが山の事故。奥多摩で山岳救助をおこなっている著者の活動を読むと、楽しく登るだけではなく、事故がおこらないよう気をつけなければと思います。その一方、奥多摩の豊かな自然も感じる一冊です。

  • 山岳救助隊員の金さんから見れば、奥多摩の山での遭難原因のほとんどが“初歩的なミス”らしい。
    山歩きが好きで、日帰りで標高2千メートル未満の山をよく歩く私にとっても、「ヘッドランプはいつも持っていますか?」「きちんと読図して歩いていますか?」という問いは耳が痛い。

    金さんは書く。「世の中が便利になると、すぐそれに甘えてしまう人間が多くなる。人の迷惑を考えなくなる。アクシデントに遭ってサバイバルする技術が低下する。道に迷ったりすると動物的勘が働かなくなる。」
    でも、それは山だけの特別な話ではないとも思う。町中での生活でも、例えば信号機のない横断歩道で周りの確認を忘れて不注意に渡ろうとすれば、生命の危険が生じて、交通課のお巡りさんの手を煩わすことになる。
    別にガチガチに緊張感を高めて町での生活や山歩きをしろ、と言うのではない。最低限の緊張すら怠って、安直に人に助けを求める“コンビニエンス”な人間が増えすぎてるってことだ。

    金さんの口調こそ厳しいかもしれないが、多くの事故や人の死を目の当たりにした体験に裏打ちされた一言一言が、実は私たちを危険や死から救おうとする優しさから来るものだ。それに気付かない“山ヤ”はいないだろう。
    一方で金さんは宮澤賢治や尾崎放哉に親しみ、四季の花や鳥の移ろいに心を動かす繊細な人でもある。おそらくそういうところから「文章を書いてみませんか」と声がかかったのだろう。
    でも、元々“山ヤ”とは力強さと繊細さの双方を併せ持たないと一流とは言えないのかもしれない。

    私が印象に残ったのは、偶然出会った下山中の3人のパーティーに金さんが「ここから急になりますからゆっくり気をつけて下りてください。いいですか気を抜かないでくださいよ。」と言ってすれ違ってから数分後、あっという声と落石の大きな音が聞こえたので急いで下りると、さっき「気をつけて」「わかりました」と会話を交わしたはずなのに、見たくはない現場を見ることに…
    滑落した女性はダブルストックで山を下りていた。金さんは「急な下りでのダブルストックは賛成できない」と書く。私もそれに同意する。下りは上りのとき以上に、ひざのばねやバランス感覚を最大限に生かさなければならず、また、体が受けた感覚からコンマ数秒レベルの瞬時の判断が必要となる。それなのにストックに頼りがちになる下り方しかできないのならば、厳しい言い方になるが、最初から上るべきではない。

    もう一つ心に残ったエピソードは、滑落して意識がない大学生に、後輩の救助隊員が大声でずっと励ましの言葉をかけ続けたという話。隊員と遭難者という関係を超えて、人と人、心と心とをつなげようとしているようで、読んでいて胸が詰まった。そして、一命が取り留められたという、救助隊員として最大の喜びで締めくくられる。

    確かに山には危険がいっぱいだが、私たちも気構え次第でそれを遠ざけられ、金さんやその仲間のように山を存分に楽しむことができることをこの本は丁寧に教えてくれている。(2013/12/1)

  • 先日宿泊した北アルプスの山小屋にあった雑誌の中で紹介されてた本。わたしもよく訪れる奥多摩を守る山岳救助隊のノンフィクション。遭難救助だけでなく、季節の流れや生き物・植物、世界で活躍するアルピニストから皇太子殿下の登山の話まで。奥多摩好きがヒシヒシ伝わって来る。
    それにしても、奥多摩でこんなに滑落遭難が起こっていたとは。丹沢と比較しても狭い山塊だと思っていたが、遭難者を見つけるのは大変なことなんだ。滑落怖い。
    雲取、鷹ノ巣、川苔、御前山など、主要な奥多摩の山は登っているが、どうやら遭難事故が起こっているのは、わたしが選択したことのないルートが多いようだ。だいたい日原を登下山口に使ったことがないし、川苔からの古里へ出たこともない。天祖山、長沢背稜歩いてみたいなぁ。もちろん綿密な登山計画を立ててね。これからは高尾山にもヘッドライト持って行くわ。

  • 奥多摩地区で長年救助活動をしている著者の記録。もしろん、奥多摩に住む山野井泰史さんたちとの交流も出てきます。奥多摩でもけっこう遭難が発生しているようです。気をつけましょうね!

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