- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046528216
作品紹介・あらすじ
注目の歌人にして高校の先生である「ちばさと」が、生徒と共に躍動する日々を描いた熱血青春短歌エッセイ集。感動と笑いと涙の日々、念願の短歌部は果たして――。巻末には穂村弘氏、東直子氏との特別座談会を収録。
感想・レビュー・書評
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ヤバい。
ちばさと、初めて読んだけど、
結構ツボだった。
やっぱり短歌って青春とほんとうに相性がいいんだな。
挿入歌も、その文脈で入れこんでくるんかぁ、
まったく違う風景が見えてくるよなぁ、と
ほんと、ちばさとに脱帽。
ていうか、歌人に脱帽なのか。
歌人が先生になると、こんな感じになるのか。
こんな先生に出会ってみたかった。
小説だと思って読んだのだけど、実はエッセイだった。
日常から掬いとった一コマが本当に素敵だ。
電車の中で、何度涙をこらえたか。
カオリ先生、フナじい、ラアゲ、K、タカヒデ
出てくる人たちが、さりげなく光っている。
古今和歌集仮名序の歌(詞:紀貫之、作曲:千葉聡)も、YouTubeで見つけた。
「生きとし生けるものいづれか歌をよまざりける」
この序に歌をつけるところが、やっぱり歌人ならではな感じ。
中学担当のころ、ときどき現代短歌を図書館便りに引用していたけど、
やっぱり本当に響きはじめるのは
高校ぐらいからだろうなぁ。
付録の穂村さん、東さんとの対談も良かった!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やっぱり子どもの発言ってハッとさせられること多いよなあ、と改めて思った1冊。
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前作に続いて、ちばさと先生の「青春短歌エッセイ」。勤務先が中学校から高校に変わっている。読んでいて、中学生と高校生の「大人度」の違いに気づかされた。
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スピード感のある文章で、楽しく一気読み!
高校現場の教員の日々が、本当によく描けていると思います。ちょっと手前味噌に見えるのも含めて、それは教員の特色だし、そうでない部分や話せない部分は表に出さないこととして抱えておられると思います。 -
高校生の優しさや思いやりがスゴイ。高校生をスゴイと思える先生がスゴイ。
ちばさとが、自分に青春のかけらがなければ、写しえないものを写しだして見せてくれます。ああまぶしい。 -
短歌とエッセイがドッキッングしたような構成。エッセイの部分は事実の要素が多い。
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Twitterがきっかけで興味を持ちました。赴任先の高校で、清々しいほど熱く奮闘するちばさと先生。エッセイの合間に挟まれる俳句が、シチュエーションとぴったりでまた良い。青春と俳句ってすごく相性がいいんだなあ。他の現代句の本も読みたくなりました。
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神奈川の公立中・高で国語課の先生をしながら、短歌を詠むチバサト先生の、短歌&エッセイ。
先生、いいね。若いなあ。生徒たちも、いい子だねえ。
読んでて、楽しくなった! -
国語科のドアの「提出物入れ」に誰かがチロルチョコ二個入れた
千葉 聡
生徒が秘め持つ、光。その原型を見いだそうと奮闘する、国語科「ちばさと」先生。40代、歌人。横浜市立戸塚高校での5年間を、エッセーと短歌でつづった新刊は、緩急のバランスの良さが持ち味だ。
六人目の選手は〝声〟だ ディフェンスの声 ベンチから飛んでくる声
ある日、ルールも知らないのに、バスケ部の副顧問に指名されてしまう。せめて部員の気持ちを知ろうと一緒に走り込み、「ファイト!」と声をかける。とはいえ、体育会系のメーン顧問との力量差は歴然だ。だが、そんな「ちばさと」には、部員が抱える闇を、言葉で光に変える力があった。
「ちょっとだけ、一緒に散歩でもするか?」。口数がめっきり減った部員に、さりげなく声をかける。夏の夜の校舎で、体育座りをする2人。静かな闇に…「あっ」。たちまち蚊に刺され、部員は久々に高校生らしい笑顔を見せる。そんな「世界一とんでもない散歩」が、明日につながるのだ。
多忙な校務の中、何人かの生徒は、創作活動をやめちゃだめですよ、と励ましてくれる。その声に応えるかのように、巻末には、古今和歌集序文に「ちばさと」がピアノで曲をつけた楽譜も掲載。
答案をかかえて俺もくちぶえを正しく吹いた 成人後初
教育の現場では、書けることよりも書けないことの方がはるかに多いものだが、引用歌や自作の短歌が、そんな葛藤をソフトに補っている。現在の赴任校でも、「くちぶえ」にいやされているのだろうか。
(2014年5月11日掲載)