私が源氏物語を書いたわけ 紫式部ひとり語り

著者 :
  • 角川学芸出版
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046532480

作品紹介・あらすじ

紫式部が宮廷生活を語る。数々の悲しい別れ、創作の秘密…。源氏物語の舞台裏が今、明らかに。源氏物語研究の第一人者が、資料を駆使して、その時代と人間模様を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 数々の文献を組み込みつつも自然で、本当に紫式部の語りを聞いているような文章。

    筆者としては、歴史的資料に基づいて再構築した紫式部の生涯であって、〈小説〉ではないとのこと。
    それでも、読み物としての読みやすさは抜群。

    プライドが高く、やや鼻持ちならないところ。
    まわりの評価を気にするところ。

    自分の感性に自信を持ち、明るい清少納言に対し、ちょっと陰な性格が、よく出ている。

    男に振りまわされる女性の悲嘆や、人の欠点など、マイナス部分をつねに見つめているところも、特徴的。
    その観察眼が、『源氏物語』の人間の深さに繋がっているのが、よくわかる。

    定子に比べると、影の薄かった彰子だが、プレッシャーに負けず、品位を保ち続けたすごさを感じた。

  • 「源氏物語」を読み解くために①作品を精読、②作者の生い立ちや時代背景を調査、③作者の関連作品との比較、というきちっとした学問的プロセスを踏まえながらも、紫式部の独白という親しみやすいスタイルで書かれているので、紫式部を身近に感じながら面白く読めます。「源氏」を読んでいる人ほど腑に落ちる指摘があり、さらに楽しめます。定子に比べて、彰子を軽く見ていましたが、とんでもない。重圧の中、努力を怠らず成長された生き様を知り尊敬へと見方が変わりました。召し人についても勉強になりました。それにしても「源氏」は深い!知れば知るほど、知らないことの多さを知らされます。

    • 地球っこさん
      myjstyleさん、こんにちは。

      「源氏物語の時代」を読んでから、山本淳子さん、好きなんです。

      この本も、読んでみたいと思って...
      myjstyleさん、こんにちは。

      「源氏物語の時代」を読んでから、山本淳子さん、好きなんです。

      この本も、読んでみたいと思ってました!
      彰子はわたしも気になる人物です。
      myjstyleさんのレビューを読ませていただいて、ますます読んでみたくなりました!
      2020/08/11
    • myjstyleさん
      地球っこさん、うれしいコメントありがとうございます。

      私は「枕草子のたくらみ」が初山本淳子です。読みの深さと時系列を整えて見せる手際に...
      地球っこさん、うれしいコメントありがとうございます。

      私は「枕草子のたくらみ」が初山本淳子です。読みの深さと時系列を整えて見せる手際に感心しました。今回も学んだ点は書き切れないほどありました。名著です。そして、次は「源氏物語の時代」を読みますね。
      2020/08/11
  • 紫式部の一人称による自伝という形式の小説。
    「紫式部日記」という一級資料もあるので、それを基に、背景となる史実の解説を交えた内容。
    式部の人生経験が、源氏物語に詰まっているのですね。

    藤原氏という貴族の血筋を誇っていた式部。
    父親の家系には、もっと華やかな時代もあったのだ。
    清少納言と同じ受領階級などと思わないで貰いたいと。それ、現代の人に向けて言ってる?

    源氏物語は、式部の先祖が当時よりも主流だった過去の時代を設定して描かれているんですね。
    光源氏が天皇の皇子でありながら臣籍となった微妙な屈託もそのあたりから?

    源氏物語にこめた様々な思いが、ありありと描かれます。
    次々に大切な人と死に別れた人生。
    平均寿命の短い当時はそう珍しいことでもなかったでしょうから、自分ばかりが不幸のように書いているとも受け取れますが。
    よっぽど辛い思いをして、しかもそれを忘れずに反芻する性格なのが作家向き?
    遅く結婚した夫に早世されたのは、確かに短い縁でした。正妻でもなかったし‥
    その寂しさから書きついで行ったのが、のちに源氏物語としてまとまります。

    中宮彰子の女房(女官)として宮中に上がったものの、誰にも話しかけられずにすぐ家に逃げ帰ってしまった式部。
    気を取り直して?戻った後で、話しかけられやすく振舞ってみて、女房仲間に物語作者などどんなにお高くとまっているかと怖がられていたのだと初めて気づく。
    どうすればいいのか模索した経験を、娘に書き残そうと考えたり。
    娘は宮中で明るく過ごしていたようです。

    年若い中宮彰子の人柄にも、次第にうたれて敬意を深めることに。
    彰子が少女の頃、父の道長の権力を背景に鳴り物入りで入内したときには、肝心の天皇は中宮定子のほうを深く愛していた。
    何年も子が生まれない屈辱的な立場のままで、穏やかに暮らしてきた中宮彰子だったのです。

    作者は専門家なので、細かく正確に、しかも熱っぽく描かれていると感じます。
    真面目でプライドが高くこだわりの強い紫式部像は、あまり付き合いやすくはなさそうだけど、いかにもそんな人だった感じですね!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      此れ面白そう、メモしておきます。。。
      此れ面白そう、メモしておきます。。。
      2014/03/05
    • sanaさん
      nyancomaruさん、
      これ面白かったですよ~!
      コメントありがとうございます☆
      レビュー書いてからお返事しようと思ってたら、すぐ...
      nyancomaruさん、
      これ面白かったですよ~!
      コメントありがとうございます☆
      レビュー書いてからお返事しようと思ってたら、すぐ書けなくて‥すいません^^;
      2014/03/09
  • 源氏物語を書いた紫式部の人生が、式部自身の一人称で紡がれていく、小説と自叙伝の間のような作品です。

    藤原氏なのに不遇な地位にいる一族のこと、屈折したプライドと諦め、親しい人たちを喪う度に襲われる哀しみと無常観、一人娘への無心の愛、宮仕えのつらさと立ち回り方など、彼女を取り巻いていた多くの現実が、紫式部日記や歌集などの豊富な資料を巧みに織り交ぜながらも、理知的で抑揚を抑えた彼女自身の声で語られて行きます。

    大学の先生による著作のためか、自然な気持ちの吐露、というよりも、少々理屈的で、硬い言い回しの部分もありますが、内気なのに実は尊大で誇り高い、アンバランスな部分もある感性鋭い女性の姿が丁寧にあますことなく描かれています。

    ですが、この作品で何よりハッとさせられたのは、主となった中宮・彰子の秘められた苦悩と、それに耐えながらも健気に努力し、毅然とした女性へと変貌していく姿を、強い敬意と愛情で、描いている点です。
    この部分は、源氏物語と紫式部の第一研究者と言われる著者だからこそ知り、書けた部分だなあ、としみじみ感じいってしまいました。彰子以外にも、幸せそうに見えて実は深い苦しみと悲しみを抱えながらも必死に生きている女性がこの物語には多く登場します。

    源氏物語が好きな人もそうでない人も、感性の鋭い女性による見事な捉え方には、どこかにハッとさせられ、学ぶ部分があるのではないでしょうか。

  •  誰もが一度は目を通したことがある源氏物語について、その背景や時代構成なども踏まえて分かり易く解説がされています。
     原文と訳も掲載されているので、今まで学習してきた文章からまた新しい発見ができるかもしれません。
     卒業研究で源氏物語を考えている方にも、知識を増やすためにオススメです。
    (教育学部・国語専修/匿名希望)

  • 紫式部のひとりがたり、という形式をとった、「源氏物語」が書かれた理由、そして、紫式部自身の心情にせまった、「伝記・紫式部」。

    読み終えて。偉大な物語というのは、えてして、作者の実像など求めないものなのかもしれないと思った。「源氏物語」は、たぶん大学入試なんかにでてこなければほぼ原文にふれることがない現代人にしたって、おおまなかところのあらすじは知っているのが、「常識」だ。かろうじて。では紫式部がどういう人物だったか、と問われて、ある程度の知識を示すことの出来る人間がどれほどいるか。逆説的には、「源氏物語の作者」レベルの知識しか必要とされていない、ともいえる。

    それでも紫式部にせまりたければ、わたしは森谷明子さんが紫式部をホームズ役に描いているミステリ「異本・源氏物語」をお勧めする。

  • 研究者さんのおかたーい本ではなく、読みやすい物語。
    定子と敦康親王の物語に心惹かれました。
    源氏物語は昔から知っていたけど。そうか、関連がありますね。
    よく、彰子の後宮でこの源氏物語が広まっていったね…。
    そして、彰子にも興味あります!

  • 紫式部さんについてとてもしっかりとまとめてあるし、国文学科の学生さんなどには参考書として非常に良さそうだけれど、紫式部さんの根暗で自己評価が高く他人に対して厳しい性格が一人称語りで増幅されてしまって、正直言って面白い本ではありませんでした。
    自分としては、これなら普通に項目を立てて文献等の研究のまとめと所見が書かれている客観的な記述の方が良いな。
    実在の人物を一人称で語るのは愛嬌がないと難しいですね。

  • 紫式部といえば、源氏物語の作者という、どこかぼんやりとした認識しか持っていなかったが、読み進めるうちに彼女が一人の人間として立ち現れてくるようだった。
    「世」と「身」に人が思い悩むのは現代でも変わらないけれど、心は何にも縛られないことも変わらないと、紫式部と著者に声をかけてもらったような気持ちになる一冊。

  • 「紫式部日記」「紫式部集」をもとにした独白形式の評伝。本当に紫式部が書いているかのように読みやすい。紫式部の生きていた世界と源氏物語とがリンクした。

    古典女子には紫式部派よりも清少納言派が多いような気がするのだけれど、それも納得。紫式部、ひがみっぽい。

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著者プロフィール

山本淳子
<プロフィール>
京都先端科学大学教授。京都大学文学部卒業。高等学校教諭等を経て、1999年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都学園大学助教授等を経て、現職。『源氏物語の時代』(朝日選書、2007)でサントリー学芸賞を受賞する。他の著書に『枕草子のたくらみ』(朝日選書、2017)など。

「2022年 『古典モノ語り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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