私が源氏物語を書いたわけ 紫式部ひとり語り

  • 角川学芸出版 (2011年10月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784046532480

作品紹介・あらすじ

侍女になりたくなかった紫式部が中宮の侍女となった理由、宮中の人付き合いの難しさ、主人中宮彰子への賛嘆、ライバル清少納言への批判……。『源氏物語』の時代の宮廷生活、執筆動機がわかる!

みんなの感想まとめ

宮廷生活の複雑さや、紫式部の内面を深く掘り下げた作品は、彼女の人生と『源氏物語』との関係を明らかにします。紫式部が侍女としての役割に戸惑いながらも、中宮彰子や清少納言との関わりを通じて成長していく姿が...

感想・レビュー・書評

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  • 数々の文献を組み込みつつも自然で、本当に紫式部の語りを聞いているような文章。

    筆者としては、歴史的資料に基づいて再構築した紫式部の生涯であって、〈小説〉ではないとのこと。
    それでも、読み物としての読みやすさは抜群。

    プライドが高く、やや鼻持ちならないところ。
    まわりの評価を気にするところ。

    自分の感性に自信を持ち、明るい清少納言に対し、ちょっと陰な性格が、よく出ている。

    男に振りまわされる女性の悲嘆や、人の欠点など、マイナス部分をつねに見つめているところも、特徴的。
    その観察眼が、『源氏物語』の人間の深さに繋がっているのが、よくわかる。

    定子に比べると、影の薄かった彰子だが、プレッシャーに負けず、品位を保ち続けたすごさを感じた。

  • 「源氏物語」を読み解くために①作品を精読、②作者の生い立ちや時代背景を調査、③作者の関連作品との比較、というきちっとした学問的プロセスを踏まえながらも、紫式部の独白という親しみやすいスタイルで書かれているので、紫式部を身近に感じながら面白く読めます。「源氏」を読んでいる人ほど腑に落ちる指摘があり、さらに楽しめます。定子に比べて、彰子を軽く見ていましたが、とんでもない。重圧の中、努力を怠らず成長された生き様を知り尊敬へと見方が変わりました。召し人についても勉強になりました。それにしても「源氏」は深い!知れば知るほど、知らないことの多さを知らされます。

    • 地球っこさん
      myjstyleさん、こんにちは。

      「源氏物語の時代」を読んでから、山本淳子さん、好きなんです。

      この本も、読んでみたいと思って...
      myjstyleさん、こんにちは。

      「源氏物語の時代」を読んでから、山本淳子さん、好きなんです。

      この本も、読んでみたいと思ってました!
      彰子はわたしも気になる人物です。
      myjstyleさんのレビューを読ませていただいて、ますます読んでみたくなりました!
      2020/08/11
    • myjstyleさん
      地球っこさん、うれしいコメントありがとうございます。

      私は「枕草子のたくらみ」が初山本淳子です。読みの深さと時系列を整えて見せる手際に...
      地球っこさん、うれしいコメントありがとうございます。

      私は「枕草子のたくらみ」が初山本淳子です。読みの深さと時系列を整えて見せる手際に感心しました。今回も学んだ点は書き切れないほどありました。名著です。そして、次は「源氏物語の時代」を読みますね。
      2020/08/11
  • 紫式部の一人称による自伝という形式の小説。
    「紫式部日記」という一級資料もあるので、それを基に、背景となる史実の解説を交えた内容。
    式部の人生経験が、源氏物語に詰まっているのですね。

    藤原氏という貴族の血筋を誇っていた式部。
    父親の家系には、もっと華やかな時代もあったのだ。
    清少納言と同じ受領階級などと思わないで貰いたいと。それ、現代の人に向けて言ってる?

    源氏物語は、式部の先祖が当時よりも主流だった過去の時代を設定して描かれているんですね。
    光源氏が天皇の皇子でありながら臣籍となった微妙な屈託もそのあたりから?

    源氏物語にこめた様々な思いが、ありありと描かれます。
    次々に大切な人と死に別れた人生。
    平均寿命の短い当時はそう珍しいことでもなかったでしょうから、自分ばかりが不幸のように書いているとも受け取れますが。
    よっぽど辛い思いをして、しかもそれを忘れずに反芻する性格なのが作家向き?
    遅く結婚した夫に早世されたのは、確かに短い縁でした。正妻でもなかったし‥
    その寂しさから書きついで行ったのが、のちに源氏物語としてまとまります。

    中宮彰子の女房(女官)として宮中に上がったものの、誰にも話しかけられずにすぐ家に逃げ帰ってしまった式部。
    気を取り直して?戻った後で、話しかけられやすく振舞ってみて、女房仲間に物語作者などどんなにお高くとまっているかと怖がられていたのだと初めて気づく。
    どうすればいいのか模索した経験を、娘に書き残そうと考えたり。
    娘は宮中で明るく過ごしていたようです。

    年若い中宮彰子の人柄にも、次第にうたれて敬意を深めることに。
    彰子が少女の頃、父の道長の権力を背景に鳴り物入りで入内したときには、肝心の天皇は中宮定子のほうを深く愛していた。
    何年も子が生まれない屈辱的な立場のままで、穏やかに暮らしてきた中宮彰子だったのです。

    作者は専門家なので、細かく正確に、しかも熱っぽく描かれていると感じます。
    真面目でプライドが高くこだわりの強い紫式部像は、あまり付き合いやすくはなさそうだけど、いかにもそんな人だった感じですね!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      此れ面白そう、メモしておきます。。。
      此れ面白そう、メモしておきます。。。
      2014/03/05
    • sanaさん
      nyancomaruさん、
      これ面白かったですよ~!
      コメントありがとうございます☆
      レビュー書いてからお返事しようと思ってたら、すぐ...
      nyancomaruさん、
      これ面白かったですよ~!
      コメントありがとうございます☆
      レビュー書いてからお返事しようと思ってたら、すぐ書けなくて‥すいません^^;
      2014/03/09
  • 源氏物語を書いた紫式部の人生が、式部自身の一人称で紡がれていく、小説と自叙伝の間のような作品です。

    藤原氏なのに不遇な地位にいる一族のこと、屈折したプライドと諦め、親しい人たちを喪う度に襲われる哀しみと無常観、一人娘への無心の愛、宮仕えのつらさと立ち回り方など、彼女を取り巻いていた多くの現実が、紫式部日記や歌集などの豊富な資料を巧みに織り交ぜながらも、理知的で抑揚を抑えた彼女自身の声で語られて行きます。

    大学の先生による著作のためか、自然な気持ちの吐露、というよりも、少々理屈的で、硬い言い回しの部分もありますが、内気なのに実は尊大で誇り高い、アンバランスな部分もある感性鋭い女性の姿が丁寧にあますことなく描かれています。

    ですが、この作品で何よりハッとさせられたのは、主となった中宮・彰子の秘められた苦悩と、それに耐えながらも健気に努力し、毅然とした女性へと変貌していく姿を、強い敬意と愛情で、描いている点です。
    この部分は、源氏物語と紫式部の第一研究者と言われる著者だからこそ知り、書けた部分だなあ、としみじみ感じいってしまいました。彰子以外にも、幸せそうに見えて実は深い苦しみと悲しみを抱えながらも必死に生きている女性がこの物語には多く登場します。

    源氏物語が好きな人もそうでない人も、感性の鋭い女性による見事な捉え方には、どこかにハッとさせられ、学ぶ部分があるのではないでしょうか。

  •  誰もが一度は目を通したことがある源氏物語について、その背景や時代構成なども踏まえて分かり易く解説がされています。
     原文と訳も掲載されているので、今まで学習してきた文章からまた新しい発見ができるかもしれません。
     卒業研究で源氏物語を考えている方にも、知識を増やすためにオススメです。
    (教育学部・国語専修/匿名希望)

  • 紫式部のひとりがたり、という形式をとった、「源氏物語」が書かれた理由、そして、紫式部自身の心情にせまった、「伝記・紫式部」。

    読み終えて。偉大な物語というのは、えてして、作者の実像など求めないものなのかもしれないと思った。「源氏物語」は、たぶん大学入試なんかにでてこなければほぼ原文にふれることがない現代人にしたって、おおまなかところのあらすじは知っているのが、「常識」だ。かろうじて。では紫式部がどういう人物だったか、と問われて、ある程度の知識を示すことの出来る人間がどれほどいるか。逆説的には、「源氏物語の作者」レベルの知識しか必要とされていない、ともいえる。

    それでも紫式部にせまりたければ、わたしは森谷明子さんが紫式部をホームズ役に描いているミステリ「異本・源氏物語」をお勧めする。

  • 研究者さんのおかたーい本ではなく、読みやすい物語。
    定子と敦康親王の物語に心惹かれました。
    源氏物語は昔から知っていたけど。そうか、関連がありますね。
    よく、彰子の後宮でこの源氏物語が広まっていったね…。
    そして、彰子にも興味あります!

  • 紫式部さんについてとてもしっかりとまとめてあるし、国文学科の学生さんなどには参考書として非常に良さそうだけれど、紫式部さんの根暗で自己評価が高く他人に対して厳しい性格が一人称語りで増幅されてしまって、正直言って面白い本ではありませんでした。
    自分としては、これなら普通に項目を立てて文献等の研究のまとめと所見が書かれている客観的な記述の方が良いな。
    実在の人物を一人称で語るのは愛嬌がないと難しいですね。

  • 紫式部といえば、源氏物語の作者という、どこかぼんやりとした認識しか持っていなかったが、読み進めるうちに彼女が一人の人間として立ち現れてくるようだった。
    「世」と「身」に人が思い悩むのは現代でも変わらないけれど、心は何にも縛られないことも変わらないと、紫式部と著者に声をかけてもらったような気持ちになる一冊。

  • 「紫式部日記」「紫式部集」をもとにした独白形式の評伝。本当に紫式部が書いているかのように読みやすい。紫式部の生きていた世界と源氏物語とがリンクした。

    古典女子には紫式部派よりも清少納言派が多いような気がするのだけれど、それも納得。紫式部、ひがみっぽい。

  • あくまで著者の造形した紫式部像だけど、身内や同僚にいたら面倒臭いタイプだなあ。
    まあでも、夫の死後、初めて就業でいきなり引き篭り…って、ある意味ではとても現代的な女性?

    「源氏物語」への言及だけでなく、定子後宮の好評価が続く理由やら和泉式部の生き方への意見やら、娘への「女房心得」やらで結構盛り沢山。

    物心ついてからずっと道長の傀儡であった彰子が、一条の譲位時に父の「隔て心」を知る。道長は自分の天下にしか興味がない。夫を失う娘の傷心など歯牙にもかけないのだ。実子の次期春宮擁立に奔走する父親を冷ややかに見ながら、国母の自覚を形成する彰子が痛々しい。

  • 2012/01/18

  • 『源氏物語』の著者である紫式部自身が、『源氏物語』を書くに至った心境や、中宮彰子に女房として仕える日々を、一人称で語るという形をとった作品。
    『紫式部日記』や『紫式部集』からの「紫式部論」なのだけれど、物語として面白く読むことができる。

    『源氏物語』は、光源氏の恋愛遍歴を書いた物語ではない。奥が深~いのです。
    この本を読む少し前にも、瀬戸内寂聴訳を再読したばかりだが、また読みたいと思う。今後何度も読み返すのだろうな。

  • 図書館で。
    読み始めるまで時間がかかりましたが読み始めたら面白くて一気読み…とまでは言えないけれどもするすると読み終えてしまいました。何故、源氏物語が時代を越えて読み継がれているか…その理由がわかるような気がしました。
    人の世って結局いつの世も変わらないんだなぁという所が。

    紫式部が幼いころに母を亡くし、姉を亡くし、姉と慕う幼馴染を亡くしさらに夫を亡くすという悲しみを経験した、という事は知りませんでした。母の代わりに姉を慕い、姉が無くなると年上の幼馴染を姉と慕ったけれども夫を亡くした時に人は誰かの代わりになることはできないのだ、と気が付くというのはナルホド、源氏とはそう言う物語だったのか…と改めて膝を打つ思いでした。

    源氏という姓も、生まれは高貴ながらも天皇の位に就くことは出来ない、という烙印のようなものだったと考えると光源氏が心の安らぎを女性に求めた…というのもわかるような気がします。

    そして昔から男性は出来る女性がキライというか苦手だったんだなぁとなんだか納得しました。自分の地位を脅かされると思ってイヤだったのかなぁ…

  •  世界で最も読まれている日本の古典『源氏物語』、その作者「紫式部」とは一体どんな人物だったのか。
     『源氏物語』に関する著書を多数出版している著者が、紫式部の心と人生を、紫式部の独り語りの形式でたどる一冊。
     多くの参考文献を下敷きにして、「源氏物語の天才作者」ではなく一人の人間、一人の女性としての紫式部の姿が浮かび上がる。

    ①幼馴染の「姉君」の存在とその別れ
    ②幼少時代の漢文素養と矜持
    ③宣孝との恋愛と喪失
    ④物語の創作
    ⑤宮中への出仕 ~彰子の女房へ~
    ⑥彰子の懐妊と「新楽府」の進講
    ⑦皇子誕生
    ⑧「女房」という仕事
    ⑨「枕草子」の力
    ⑩殿「道長」との関係
    ⑪その他 女房生活の雑多
    ⑫一条院崩御と弟の死
    ⑬賢后彰子と自分の死

     私は『源氏物語』は読んでいたが、それを書いた紫式部は「天才女房」ぐらいにしか認識していなかった。しかし本書を読んでみると「あぁ~分かる!」と共感できる部分が多く、紫式部も一人の普通の人間だったのだなぁと、初めて中古の古典文学の作者に親しみを抱くことができた。この独り語りの形式、別の古典文学の作者でも試みてほしい。『源氏物語』への視座が変わる、とても勉強になる一冊だった。

  • 今年は目論見よりも全然源氏本が読めなかったので、年末最後にせめて山本淳子さんの本で締めたいと思い手に取りました。

    この本は紫式部のひとり語りの体裁をとりつつ、源氏物語を書くに至った心境や背景などが丁寧に描かれた一応小説、なのかな?
    私自身は式部日記は読んだことがあるけれど(もちろん訳本)、式部集は読んだことがなかったし、その他引用されていた御堂関白日記などは存在さえ知らなかったから、それらの資料を総括し再構築してくれたことで、より紫式部という人間が理解出来たような気がしました。

    特に嬉しかったのは、清少納言が定子を心酔しまくっていたのに対し、式部はそれほどではないと思っていたものが、この本を読んで式部も彰子のことを敬愛していたことが感じらたことです。
    引っ込み思案なのに自意識が高く尊大で根暗、という私のイメージはそのままに(笑)、世の理不尽さ、身の扱いづらさ、心のつながり、などについて語られたことで、自身の経験が彼女の感受性の高さゆえ源氏物語という作品になっていったんだなあーということが分かり、しみじみしました。そこに彰子への愛も感じられたのが嬉しかった。

    あとは、漢詩の素養を生かした作中のエピソードなどは知らなかったことばかりで深読みできた気分です。

    やっぱり山本淳子さんは分かりやすい、すごいね!

  • 紫式部本人が書いた「紫式部集」「紫式部日記」をもとにして、紫式部がひとり語りしていく形でとてもわかりやすく読みやすかった。こういう紫式部の背景があっての「源氏物語」あり、また「源氏物語」から波及していった紫式部の人生でもあったということを知った。未読の「紫式部日記」をはじめ「和泉式部日記」、まだ全段を読んでいない「枕草子」、果ては「白氏文集」、そして改めて「源氏物語」を再読したいと思った。

  • 『源氏物語』は私のすべて。

    小説としては消化不良。NDCからすると小説には入れないようだが。いわゆる紫式部のイメージ、すなわち、ちょっと鼻もちならない感じが出ているのは面白い。自分の思うままには生きられない、でも、割り切って生きることもできない。「世」の理不尽さ、逃れられない「身」、だからこそ大切にしたい「心」のバランスを取りながら、生きていく。紫式部にとって、『源氏物語』は、「世」と「身」と「心」のそれぞれを、それぞれに助けたものだった。

  • 源氏物語を、新しい視点で語る。
    源氏物語ではない源氏物語、もしくは式部物語?!

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著者プロフィール

所属:大阪女学院大学国際・英語学部(企業、国立長岡工業高等専門学校、新潟県立看護大学、新潟経営大学を経て2019年度より現在に至る)
専門分野:第二言語習得(動機づけ,CALL),英語科教育法
主要著作:
①「ICTを中心とする英語教育を受けた学生の意識に関する質的研究」(『日本教科教育学会誌』43(3), 35-47,2020年,単著)
②「大学生が活用するICTの機能と学習意欲の関係」(『英語授業研究学会紀要』30, 1-14,2021年,単著)
③“A case study of EFL Students’ motivation toward online exchange programs.” Journal of Osaka Jogakuin University, 18, 51-72, 2022. 単著

「2024年 『ファシリテーションが創る大学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本淳子の作品

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