遠野物語拾遺retold

  • KADOKAWA/角川学芸出版
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レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (457ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046533012

感想・レビュー・書評

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  • 拾遺の厚い世界も京極さんで
    堪能できて大満足の遠野の時間。

    山男、天狗、青入道、天女、河童。
    昔の話には欠かせない怪異なる
    生き物と人間が平地を共に生きていた時代。

    大男は餅好きで、蛇を殺すと祟られ、
    狐はなぜ人を化かすと謂われたんだろう。

    たくさんの言い伝えられてきた怪異は
    恐ろしい話もたくさんあるけれど、
    今も昔もやっぱり一番怖く残酷なのは
    人間をおいて他になく…。
    自分は罪深く、業深い生物であることを肝に銘じて、
    感謝の気持ちを大切に生きていきたい。

  • “「遠野物語拾遺」は特殊な成立事情もあり、テキストとしての完成度は「遠野物語」に遠く及びません。(中略)また、「遠野物語拾遺」の中に柳田はいません。”
    と、封入のインタビューで語られる通り、「Retold=語り直し」という形で京極さんの筆を通してもやはり柳田國男の存在はほとんど感じられない。
    「遠野物語」「Remix」より、昔話と噂話が混合されたような雑多感だけど、読み物としては面白い。
    火を消してくれたり田植えを手伝ってくれる神様や、お餅を食べ過ぎて大根を求める大黒様のお話がとても好き。
    こどもたちが神様で遊んでいるのを注意した大人に罰を当てる神様……にはちょっぴり不条理を感じたりも。
    だって私も絶対注意すると思うものーーっ!

  •  とても興味深く面白かった、『遠野物語remix』の続編である。原著は柳田國男による『遠野物語拾遺』だが、これは『遠野物語』の復刊に当たり追加収録されたものであり、位置づけはあくまで『遠野物語』のおまけである。それなのに前作より随分長い。

     今回も京極夏彦さんが現代語に書き改めているのだが、前作同様に面白い。また、前作では収録順が原著と異なることに疑問を抱いたが、本作では各章が似た話でまとまっており(狐狸に騙されるなど)、収録順の変更にも何となく意図は感じる。

     遠野は実家から近く、知っている地名が多いのも前作同様。実家がある大槌の名もしばしば出てきて、前作より馴染み深く読めたかもしれない。大槌から遠野に抜ける最短ルートである笛吹峠に、そんな恐ろしい由来があるとは知らなかったぞ…。

     でもねえ、ちょっと長すぎたかなあ。前作は250p程度だったが、450p超と倍近い。短いものは数行しかなく、次から次へと流し読みしていくのだが、全部読み終えてみると印象に残ったエピソードは前作より少なかったかもしれない。

     大体、京極さん自ら、本作は『遠野物語』より出来が良くないと明言しているのである。そんな身も蓋もないこと言わないでくださいよ…。大正以降の比較的近代の話も多いためでもあるか。柳田國男としても、話の収集を依頼した手前、ボツにはしにくかったのだろう。

     それにしても、最後の章はどうしてこんな俗な話ばかり集めたのだろう。怪異の「か」の字もなく、遠野じゃなくてもどこでもありそうな話ばかりで、苦笑させられる。結局、一番怖いのは人間であるということなのか。

     本作の初版に挟んである遠野の地図は、京極さんが師と仰ぐ水木しげる先生が手がけている。遠野市では世界遺産ならぬ遠野遺産を制定しており、デンデラ野など本作中に出てくる場所もある。本作が遠野に興味を持つ一助になることを願いたい。

     なお、前作は文庫化されたので、読み物としてはそちらをお薦めします。

  • 夏ですなぁ、、、
    「遠野物語remix」も文庫化されるようで目出度い。しかも原著収録バージョンと合わせて2種も

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    http://www.kadokawa.co.jp/product/321309000019/
    遠野物語remix 文庫
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  • 遠野物語に収めきれなかった話を京極夏彦が「retold」した一冊。
    装丁といい、途中に挟まれた「月」の名前のイラストが徐々に闇の濃さを増していくところといい、遠野の世界観にとてもよくマッチしている。こだわりの一冊、といったところか。

    でも、京極夏彦のすることだから、小さなお話同士が作用しあって何か大きな流れのようなものを作り出していくのかと思って読み進めたのだけれど、それは期待しすぎだったようだ。
    「お話」の羅列。まあ、それぞれはいい味出しているのだけれど。同じような話が続くところは、正直、読み進めるのが辛かった。

    最後の飛行機はよかったと思う。
    遠野の空に飛行機。一番の「もののけ」は人間かも。

  • 晦日の話になるともう、九死に一生を得た体験談や逸話になってしまい、伝承というか不可思議性が失われてしまうのが、近代化とともに怪異は役目を終えてしまった、痛感させられとても物悲しい気持ちになりました。
    それは兎も角、各エピソードはとても短いため、作家や漫画家が読んだたら面白い話の種になるんじゃないかと考えてしまった。そんな話を読んでみたい気分。

  • 感想未記入。

  • ”遠野物語拾遺retold”京極夏彦・柳田圀男著 角川学芸出版(2014/06発売)

    ・・・遠野出身の佐々木喜善が語る怪異譚を柳田が記した”遠野物語”、その増補版を京極夏彦が再編集したもの。
    現代語に訳出したものや、関連のある話を近くに集めたり、非常に読みやすい構成。

    ・・・”遠野物語”(&遠野物語remix)と比べて話の内容が緩く感じるのは”山人”についてほとんど触れられていないせいかと思われる。
    ・尼が霊験あらたかな石になった。が、経緯は伝わってない。
    ・剛力じいさん×2人。
    ・隣同士で飼われている仲良し犬。
    など、ちょっと微笑ましい話も収録されていますし(笑)

    ・・・でもまぁ、
    仏像で遊んでいる童をたしなめる→”子供と楽しく遊んでいたのになんてことをするのだ”と仏様から怒られる。(×3話位)
    は納得いかんよなぁ・・・。

  • 拾遺集であるからいわば拾い集め…ましてや原本は柳田の筆ですらないのだからさぞやつまらないものであるのだろうと思う。
    で、そのつまらないものを京極堂が何故?と言うのが最大の関心であったわけだが…からくりのヒントはまずタイトルにあった、「remix」でなく「retold」つまり語り直しだということ。
    雰囲気云々をさて置いてもとにかく読みやすい、そして京極堂流の整理もしっかりとされているので古き良き日本の原風景をごく身近に感じ取ることができる。
    時代は明治から昭和へ、かつて魑魅魍魎が跋扈した遠野の空に飛行機が飛ぶラストはよかったなぁ…匠の技ここにあり

  • 似たような話がいくつも集まるあたり、これって当時は「あるある本」だったのかもしれぬ。
    印象に残るのはなかなかフリーダムな神仏像のみなさまと、時々不意打ちで出てくる「マジかよ、スゲーな!」と思わず叫ぶ人間様の仕業。

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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