パリの皇族モダニズム

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046533302

感想・レビュー・書評

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  • 戦前の宮家である朝香宮鳩彦(やすひこ)王と明治天皇の皇女・富美宮允子(のぶこ)さまの近代皇族として生活したパリ時代を領収書から読み解くという本

    お二人が手掛けた旧朝香宮邸は現東京都庭園美術館として多くの人々が訪れる館。

    その館を手掛ける前のお二人の生活や美意識などを知ることができます。

    日本でモガという言葉が生まれる前にすでにパリでモダンガールとしてファッションや考え方を身に着けていた允子さま。写真に残っている姿を見てもそのセンスがすごく素敵なのがよくわかります。

    ヴィトンなどのハイブランドの領収書を見るとたしかに庶民の生活からは考えられないような金額ですが、皇室外交の点から考えても当然かなと思います。
    だってね、日本の皇室を代表してるんだもん、そりゃ下町の人が行くのとは全然違うんじゃないの?って私はおもっちゃう。だって彼らじゃないとできないことばかりだもん。

    まあそりゃ置いといて…
    お二人のセンスの磨き方やセンスの良さなどが随所に感じられて読んでてすごく楽しかった~。

    この本を読んでから東京都庭園美術館に行くとすごく楽しめそう!

  • 皇族のお買い物レシート調査。

  • 少し前に大正から昭和初期の東北農村の女性が売られていく話を読んだので…外交上必要とはいえ、この貧富の差はあんまりだね。
    全体的に、優雅な雰囲気を出したいのか、おっとりとした語り口調と行間で、思ったよりもすぐ読めてしまった。そこがいいのだろうが、正直物足りない。この資料があれば皇族遊学についてや当時のモード、フランス世相など、その他もっと研究できるのでは。資料を鹿島茂さんに提供してみたい。
    本文とは関係ありませんが、「おわりに」の部分で、「アン クロワッサン…」とありますが、クロワッサンは女性名詞です。

  • 大正時代、パリで暮らした皇族がいた。
    彼らがどのような生活をしていたのかを、領収書綴りから推測するというおもしろい試み。

    皇族という身分を隠し、一伯爵としてパリで過ごした朝香宮夫妻。日本ではできないような自由な生活があったのではないか。街に出て、お気に入りの店で買い物するとか。



    「一伯爵」として暮らしたけれど、やっぱりお金はかかっているなあ。

  • 庭園美術館を一緒に見にいったJちゃんから、こんな本が去年の暮れに出てるよーと教えてもらっていたのを、図書館でしばらく予約待ちして借りてきた。『アール・デコの館―旧朝香宮邸』とはまた違う写真がいろいろ入っていて、家具調度が置かれた(おそらく住んでいた当時の)居間などの写真は、そういうのがない「美術館」になったあとの写真と見比べると、へぇーという感じ。

    朝香宮の鳩彦(やすひこ)王が軍人として(見聞を広めるため?)フランス留学、やはりフランスに留学中だった義兄の北白川宮成久王の運転するクルマでドライブに出かけたら、事故を起こして、運転していた義兄は亡くなり、鳩彦王は重傷。夫の看病のために妻の允子(のぶこ)さんがフランスへ渡り、夫妻は"朝伯爵"と偽名を名乗って(あちらの国に警備などの負担をかけすぎないようにという意味もあるらしい)、3年近くをパリで生活。

    この本では、朝香宮夫妻のパリ滞在中の買い物にからむ領収証の綴りを分析して、夫妻がどんなものを着ていたか、どんな暮らしをしていたかを明らかにしている。

    "朝伯爵"というやや気軽な身分で、自分で財布をもって(日本ではできなかったことだそうだ)買い物を楽しんだらしい。服をあつらえたり、アクセサリーを買ったり、日本にいる子どもたちにとおもちゃなどを買って送ったり。ちょうどアール・デコが盛り上がっていたパリで、滞在中の1925年にはアール・デコ博覧会を見物。日本へ帰って、2人が気に入ったアール・デコを取り入れたお屋敷を建てたそうだ。

    領収書から当時のいろんなことが分かってくる、というところはおもしろかったけど、「庶民の142倍!」のものすごい金遣いにはやはりびっくりする。允子さんは明治天皇の娘(第八皇女)であり、そういう人として身なりだとか体裁だとかを調える必要があったというにせよ、当時も今も皇族方の生活を支える金の出所は税金であって、1923年~25年頃という関東大震災で横浜や東京が壊滅的な被害を受けていた当時、金の使途も遣いっぷりも浮き世離れしてるよなーと思わずにいられない。

    允子さんは絵心のある人で、絵を習ったりもしていたらしい。この本には允子さんが描いた水彩画の写真も掲載されているし、姫宮の居間のグリルは、允子さんがデザインしたものだという。しかし、当の允子さんは体調を崩し、お屋敷ができてから半年くらいで亡くなったそうだ。

    (4/13了)

  • 「ノブレス・オブリージュ(高貴なる者の責務)」が日本に本物のモダニズムをもたらしめた・・・

  • 朝香宮鳩彦王のパリ留学と思いがけない遭難、その後の夫妻での長期滞在、アール・デコ、現在は東京都庭園美術館となっている館。それらについては、つとに有名である。しかし、著者が幸運にもめぐり会った受領証綴りを丹念に分析するまで、このグラン・ツアーの出立の日付さえ詳らかにされていなかったとは、寡聞にして初めて知った。
    著者は服飾文化が専門で、皇室については、本書の主人公たる朝香宮夫妻の関係系図を示すところから始めている。だがこの絶妙の距離感が、私のような皇室ヲタでファッションはド素人の人間には最高だった。
    やわらかな語り口で丁寧に解説されるファッション用語は、抵抗なくすっと頭に入る。はしばしにヲタならピクリと反応せずにはいられない人名が覗くが、そこにくどくどしい薀蓄がないのもいい。なんといっても、本書の主題は「ファッション」なのだから。
    同時代の一般家庭の140倍という天文学的な大金を費やした生活が、しかしただの奢侈に終わらず、現東京都庭園美術館として「のみならず、それ以外にも」すばらしい実を結んだことが実証されるラストは圧巻。ノーブレス・オブリージュには、それを「受ける」庶民の側にも心の準備——あるいは「覚悟」と言うべきか——を要求するものなのだと気づかされた。

    2015/1/28読了

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著者プロフィール

青木淳子
大東文化大学特任准教授。二〇〇二年朝香宮夫妻がパリ滞在中の支出記録「受領証綴」(東京都庭園美術館所蔵)を調査。著書は『パリの皇族モダニズム』(二〇一四)、『近代皇族妃のファッション』(二〇一七)等。

「2018年 『旧朝香宮邸物語―東京都庭園美術館はどこから来たのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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