あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか (単行本)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
3.55
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本棚登録 : 88
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046539809

感想・レビュー・書評

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  • ☆2(付箋4枚/P191→割合2.09%)

    魚と真水の関係、森と海の関係。とても大事ですね。
    人と海の関係もよく考察されていて、適切なインセンティブ制度が本当に大事だし、可能なのだと勉強になりました。


    ・中国の回転寿司ではシャリ玉があって、すでに切られたネタを乗っけてるだけだった。そのネタも真空パックに入って、冷凍されたモノだ。滑稽だったのは、ただネタをシャリの上に乗せてるだけなのに、やってるヤツは真剣そのもので、それを見守る上司の厳しい目。そしてときどき上司からお叱り(中国語だからわからねぇが)が飛んでいた。何度も繰り返すが、ネタをただ乗せるだけなのに、だっ!
    何軒かの回転寿司屋を回って、あることに気がついた。それは、日本では当たり前の水場がないってこと。前にも書いたが、魚を処理するときには、流水でやるってのが基本だ。しかしホテルの風呂でさえ、入った瞬間に足の裏にジャリって感じを受けるような水で、魚を扱ったらたまらない。
    そして最終日の夜、高級ホテル内にある、日本から来てる有名店に行ってみたんだ。日本人の板さんでホッとしたのをよく覚えてる。
    「ココにある魚、日本から持ってきてるみたいだけど、どうやっておろすの?水はどうしてるの?」とぶっちゃけ聞いてみたんだ。すると板さん、よくぞ聞いてくれたとばかりに、
    「そうなんですよ!間違ってもココではおろせません。ここは5つ星ホテルですから、ホテル自体に二つの浄水器がつけられています。それでも危ないから、ウチの店には三つつけてるんですよ。それでも私は、歯磨きすらしませんよ」
    「じゃ、どこでおろすの?」
    「ちゃんとした水がある工場でやるんですよ」
    と言っていた。
    帰りにお勘定をしてみて、あまりに高価で目ン玉が飛び出たが、店のほかに加工場まで設けてやらざるをえないんだから、仕方がないと思った。同時に、日本はなんて恵まれているんだろうと思った。

    ・たとえばサンマだったら、今年はこれだけ取ってよいですよぉと発表される。
    もしあなたが漁業者だったら、このときにどう考えるだろう?少なくともオレだったら、「なるほど!TAC数量に達したら終漁になっちゃうんだな。だったらその数量に達する前に、他船より早く、より多く撮ってやろう」って気になる。
    漁業者みんながこう考えて先を競ってやたらと捕る、イコール乱獲が起きてしまう。これがTAC制度、別名オリンピック制度と呼ばれるこの方式の最大の弊害なんだ。

    ・(IQ 漁獲枠個別割当制度が導入されれば)漁業に限らず、すべての売上ってもんは「数量×単価」で決まる。今まではこの「数量」を稼いで売上を上げるって考え方をしてきた。ところがその肝心の「数量」がきめられちゃったんだから、今度は「単価」を上げる工夫をしなくちゃならねぇ。単価を上げるにはどうしたらよいのか?高く売れる魚を捕らなきゃいけないよね。じゃ高く売れる魚ってどんなのだろうと考える。するとおのずと答えが出てくる。消費者、すなわちマーケットがよいと認める価値の高い魚だ。要するに、大きくて丸々太ったおいしい魚を捕らなきゃならないってことになる。…その結果、市場価値がなかったり、養殖のエサにしかならないような小さな魚は、海に残されていく。

    ・2014年10月末に、日本とメキシコとの間で、太平洋クロマグロの漁獲削減の国際交渉があった。
    日本は50%削減を主張し、メキシコは25%削減を訴えた。当然これだけ聞いたら「さすが日本だ。資源管理に前向きだねぇ」とだれでも思う。
    ところがこれには、からくりがある。なんと実質の削減量はメキシコのほうが多かったんだ。日本はとても豊漁だった年の50%を主張し、メキシコは漁獲量の少ない年の25%だった。そして水産庁はメキシコに対しあらゆるプレッシャーをかけて50%削減を勝ち取り、マスコミは「メキシコの消極的な25%ではなく、資源管理に前向きな日本が50%でおしきったっ!」的な報道をした。ちょっと調べればわかることなのに、ジャーナリズムも地に落ちたもんだ。

  • 恥ずかしながら著者を知らず。
    勝川先生の本を借りる時に目にとまり、「魚河岸の三代目?何で専門家でない人がこんな本を…」と思い、面白そうだったので一緒に借りてみた。

    所謂科学的な専門家ではないけど、あらゆるジャンルから魚を勉強されているようで、とても良い本でした。

    主張は勝川先生の本と同じ。
    日本の漁業を立て直すにはどうしたらいいか。
    でも一般の読者に寄り添ってる感じで、共感しやすい。
    勝川先生もこういう本出せば良いと思うんだが。

    悪い言い方をすると感情論が挟まってるんだけど、思わず共感してしまう。
    例えば、
    「日本の魚の繊細な味、外国人にはわかんないだろうなぁ」的な文。
    外国の方を差別するわけじゃないんだけど、これはほんとにそんな気がするのだ。
    日本人は漁法、〆方、食べるまでの日数、捌き方、寝かせ方、味付け、料理法、食べ方…獲ってから食卓に並ぶまでのあらゆる行程を試行錯誤してきた。しかも魚種毎に。
    この行程1つ1つが美味しく食べれるかどうかを大きく左右する。
    日本人だってわかってない人がほとんど。
    三枚卸の技術も無い国々に、この味の違いを語れる訳がないのだ。これはしょうがない。

    「『魚が獲れなくなっても養殖技術があるんでしょ』という理屈は大嫌いだ」という文。
    ほんとに!科学的に養殖にはいろいろ問題があるという点を差し引いても、この発想ほんとムカつくと思ってた。
    ああいう、「頭の良い人達が善きに計らってくれてるんでしょ」的な他力本願世代、まぁ正に私の世代を含めなんですけど、こういう人間達が日本を駄目にしてきたんだよ。

    勿論この本は感情論の本ではないのでご安心ください。

    生田氏は一般市民でありながら、実際に行動に移してる所がすごい。
    海外に行って実際に見てみたり、著書で人々に訴えたり。段々研究者、マスコミ、政治家にも味方ができてきたり。
    そのせいでバックが付いている怪しい人と思われる事もあるようだけど(笑)

    国民1人1人が意識を変えれば、大袈裟でなく、日本や世界のあらゆる問題が解決するかもしれない。
    今まで魚に興味が無かった人にも読んでほしい1冊。

  • 日本は海に囲まれた島国だ。国土の面積は約38万㎢で世界の61番目だが、その細長い形状から海岸線の長さは3万5,558㎞もあり、何と豪州、米国を抑えて世界第6位だそうだ。そして「ここまでは自国の海」と決められている国土から200海里の排他的経済水域が国土面積の約12倍の447万㎢で、これも世界第6位だ。暖流と寒流が流れ込む豊かな海に囲まれて、日本が昔から海の幸に恵まれていたのも納得だ。そして山があり森があるのできれいな水がふんだんに使え、魚を美味しく料理するのに最適な環境なのだ。
    著者は東京の築地市場にある魚河岸の三代目、海産物を美味しく食べる方法を熟知している魚のプロフェッショナルだ。旬の、身がふっくらとしたあさりの酒蒸し、脂がのったカツオのたたき、香ばしいアジやサンマの干物などの描写には思わず生唾を飲み込んでしまう。
    ところが、この豊かであるはずの日本の海から魚が消えつつあるという。漁業生産量は1984年をピークに下落を続け、この30年でピーク時の37%にまで落ち込んでしまった。かつてはひとりでは食べきれないほど大きかったホッケの干物も最近はアジの干物程度だ。ホッケの漁獲量はこの15年で75%も減り、大きなホッケはもう捕れなくなったという。
    なぜこんなことになったのか。それは日本が魚の「乱獲・乱売・乱食」という負のスパイラルに陥っているからだ。魚の群れへ大挙して押しかけ、産卵前の魚や成長途中の稚魚も根こそぎ捕ってしまうということを繰り返してきたのだ。次世代を残すことができなければ絶滅へ向かってまっしぐらなのは子どもでも分かる。実際にニシンは乱獲が原因で一度絶滅している。
    魚を増やすにはどうしたら良いのだろう。簡単なことだ、捕り過ぎなければよい。日本の水産資源の管理は自主的管理と公的管理となっているが、漁業者の自主的管理には当然限界がある。ほとんどの漁業先進国では、行政が商業価値のある多くの魚に対して「総漁獲可能量(TAC)」と「漁獲枠個別割当制度(IQ制度)」、「譲渡可能個別割当制度」を設定して魚資源の管理をしている。日本も一応「総漁獲可能量」を一部の魚を対象に設けてはいるが、有名無実で全く機能していない。水産庁は魚資源の枯渇問題にはまともに取り組む姿勢を見せていないと著者は憤慨している。このままではいずれ日本の近海に魚はいなくなり、日本の漁業は廃れていくだろう。
    しかしまだ日本の漁業には復活のチャンスがあると著者は希望を持っている。東日本大震災の原発事故の影響で漁業が自粛されていた福島県沖では、3年間で魚の量が3倍に増えたそうだ。たった3年で魚は帰ってくるのだ。日本の海はまだ力を失ってはいない。日本の豊かな海を取り戻すために必要なのは、先ずTACの厳格化、IQ制度の導入、そして私達消費者が少しずつの我慢をすること、無責任なマスコミに踊らされず自ら率先して食べ物について学び正しい知識を持つことだ。国連海洋法条約には「魚は人類共有の財産」だと定義されている。「日本の海を豊かな海に戻し次の世代に渡そう、今ならまだ間に合う!」と著者は心から訴えている。これからも美味しい魚を食べ続けていくために、私達も漁業資源について真剣に考える時が来ている。

  • 生き物好き。ようやく魚をおいしく食べられるようになったので、興味をそそられて読みました。難しい分析みたいな本じゃないし、面白かったです。なんとなく獲りすぎは良くないと思ってて、読んでいくうちに「ああ、やっぱりな」でしたが、それがあまり厳しく取り締まられてないこととか、外国との違い、今後どうしたらいいかなど、知らなかったことがたくさんありました。水産資源の大切さを知る、いい入門書になるのではと思います。

  • 著者は築地の水産卸の社長さん。
    前半で、日本がいかに水産資源に恵まれているか、新鮮な魚を簡単に食べることができるのは、冷蔵技術、輸送技術により、実はつい最近のことであることなど、なんとありがたいことかと思わせる。
    後半は一転、日本の水産資源の危機、しかも政策対応の遅れなど人為的なことだと。
    題名から想像した内容とは違ったが、素晴らしい水産資源を大切にしたい、としみじみ思わせる一冊。

  • カバーのフォント、とにかくひどすぎる。
    こんな文字使って、何を表現したいのだろうか…。
    と思いながら読み進める。
    ホッケが小さくなったのは結局、漁獲量の減少が原因だという話。かつてのニシンを引き合いに出しての説明は、よく聞く説であるし、知っていることではあるが、それから何も反省していないのか日本の漁師たちよ。と思わずにはいられない。
    本書では漁師だけにその責を求めるのではなく、広く政府の政策にも呼びかけが必要だとしている。その意図には充分賛同するが、いかんせん各章の節毎に表示されるフォントをみて、説得力がガタ落ちだよなあ、と残念な気持ちになるデザインである。

  • 多くの人に読んでほしい、知って欲しい、腹が減る本。

  • ここ4-5年で本当に小さくなって、且つ値段も上がってしまったホッケ。。どうして?居ないの?。。。その率直な問いかけの答えがここで述べられている。

    溢れる生命力とポテンシャルを有する日本の海なのに、魚資源が枯渇していく現実を著されると、なんだか歯痒い思いが頭をよぎる!

    僕にも一因があるんだなぁ。
    国産の身振りの良いホッケを、いや、魚を、
    これからも食べたいなぁと思います。

  • 最初から最後まで江戸っ子口調?読みづらい…
    本の要点は最後1/3に書かれていて、内容は他の食料と同じく大量生産し大量消費し大量にゴミにする問題で、この点には感心する。が、これなら書評とか著者インタビューで充分だったかと。
    海底の栄養塩が日光で植物プランクトンに変化するとか、江戸の外食文化は末期になってからだとか、謎な記述も散見された。

  • ホッケの話かと思ったらいきなりマグロから始まってちょっとびっくり
    なにげに面白かった

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著者プロフィール

築地魚河岸マグロ仲卸「鈴与」三代目昭和37(1962)年東京都中央区月島生まれ。高校卒業後、家業を継ぐ。マグロ仲卸業を営む傍ら、講演会や執筆活動、ブログ、テレビ、ラジオ等で魚食文化の普及に努めている。築地市場内仲卸業者「鈴与」代表取締役、一般社団法人シーフードスマート代表理事。

「2017年 『報道特注(本)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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