私のジャンルに「神」がいます

著者 :
  • KADOKAWA
4.14
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本棚登録 : 318
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046800268

作品紹介・あらすじ

類まれなる文章力で二次創作界に燦然と輝く天才字書き・綾城(あやしろ)。
同ジャンルの者達はその作品に焦がれ、打ちひしがれ、
彼女に馴れ馴れしくリプを飛ばす「おけけパワー中島」への憎悪をくすぶらせていくのであった……。

天才字書きをめぐる創作者たちの葛藤を綴った連作。

書籍描きおろしとして、綾城が小説を書き始めた頃を描いた「天才字書きの生まれた日」を収録。
綾城と中島の出会いが明かされる――

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。私の知らない文化の話だけど、たしかに流れ星のように現れるインディの作家というのは創作漫画なり音楽なり、どのカテゴリの文化にもいて、彼らや彼女らはよくもわるくも執着がなく、フッといなくなったりする。でもそれは、この漫画の主人公たちも通学の合間に活動をしているとか、なんとなく沼にハマったとか、そういうある種あいまいな背景のもとでプレイヤーになっていったことを思うと、そういうものなのかもしれない。「作家になるのが将来の夢で今は修行しながらその足掛かりを作ってる」などと考えてやっているわけではないし、嫌なことがあったりトラブルがあれば距離を置いたりする。だからこそ、定着のためにコミュニティをつくっていくことが大切だという話にもなるのかもしれない。私は編集者だから、才能のある人は繋ぎ止めなければいけないな、と考えてしまう。

    ジャンルという文化も、むしろゼネラリストであることを是とするカルチャーで育った身としてはよくわからないのだが、しかし、それほど重要なコミュニティの礎であるジャンルを飄々と転々としてしまう綾城さんはいったい何なのか? そして彼女に心乱される私たちはいったい? そんな関係性への想像をさらに膨らませる(つまり二次創作する)のがはかどるという、メタ的な捉え方もできる作品ともいえる、かも?

  •  Twitterで一部界隈を大いにざわつかせた、同人ジャンルにおける神を多視点で描いたTwitter漫画の書籍版である。
     更新されるたびになぜか脇役の「おけけパワー中島」の方がトレンド入りしていたのはご愛嬌だが、綾城という名の天才字書き(二次小説家)=神を中心に、その周囲の人々の視点で彼女を描いた作品である。

     この作品は何といっても、ディテールの描き方と同人界隈の人間の情念を描く様が凄まじい。
     前者においては、例えばそれは検索ワードの選び方であったり、かつての個人サイト全盛期における夢小説系サイトの面倒くさい姿であったり、わかる人にはわかるタイプのディテールの細やかさがこれでもかと描かれている。
     後者はこの漫画の軸と言っていい。
     オタク特有の面倒臭さを一切脱臭せずに描いていて、神と親しくしている人物への嫉妬だとか、同ジャンルで競う相手への反感だとかをまざまざと描いている。
     そしてそのベースには

    「創作を行う燃料は負の感情である(場合が多い)」

     という事実がある。
     感想に一喜一憂するような可愛らしい心情もあるが、神とされる人への「コイツの解釈が正解扱いなの、ホント気に食わない」といった感情まで丁寧に描かれているのだから、素晴らしい。
     腐向けジャンルをベースにしながら、その部分ではきちんと臭みが取られているので、同人や二次に詳しくない方でも読める良質な現場ルポ漫画である。

     地味だが、おけけパワー中島の存在も大きいところだ。
     神の親友というイラっとする立ち位置で出演し、徐々に

    「あれ、コイツめっちゃ良いやつ……」

     と思わせていく構成などもよく計算されている。
     不人気ジャンルに繰り出した渾身の二次創作を一番乗りでお気に入りし、感想ツイートまで上げる彼女はあまりに眩しい存在だった。
     光のオタク扱いを見かけた記憶があるが、まさにそれ。存在自体がエモい。

     正直、紙の本として読むよりTwitter上で読んだ方が魅力を感じやすい漫画ではあると思う。
     ワンクリックとページをめくる動作はどうしても違う。そこに違和感はあった。
     ただ、それを推しても推薦するに足るだけの内容であり、そこで描かれた情念の濃厚さは甚だしいものがあった。

     というわけで、総評として星五つで評価したい一冊である。
     上述したように、腐向け要素はほぼ皆無なので、男性にも問題なく読める作品である点は付記しておきたい。

  • なんだ、この身に覚えのある感
    満載の本は(笑)

    綾城さん、実は本編中に
    「作品」は一行も載ってないのに
    読み手側の「神」感がすごい。
    そして人格者…
    本当にこんな「神」対応してくれたら
    みんなファンになっちゃうよ〜。

    なんだろうねぇ、もうねぇ
    サラっと読んで終わりかと思ってたけど
    しばらくかみしめられそう。

  • わかりすぎて心が痛いw

  • 綾城さんとおけパ中島のシスターフッドがかなり好き。

  • 創作活動をしている人はほとんどの人が「あるある!!」「分かる!」ってなりそうな内容で、でも読んだ後に初心を思い出させてくれた漫画でした!
    おけパさんの存在たるや……っ

  • 連載当時、Twitterで話題になっていた頃から読んでいたけれど、共感できるところがたくさんで本当に面白い。書き手でも読み手でも『あるある』と納得するエピソードの数々に笑いがでてくる。

  •  本屋さんで、ものすごく押されていたので、あまり好みの絵ではないけどお試し購入。
     結論から書くと、わたしの好みには合わない内容。
     同人誌経験がある人には、あるあるなのかも程度だったので、頑張って最後まで読みました。
     買わなくても良かったかな。

  • Twitterですごい話題になっていた同人女の感情が本になったよー
    という本
    2000年代後半くらいのファン活動事情とか詳しくて面白かった。

    私はアニメやゲームにハマったとしても、インプットするばかりでアウトプットが上手く出来ないし、何より書きたいと思えるものがないので、精力的に執筆活動ができるというのは羨ましいな誰でも出来るものじゃないなと感心しました

    だけど前提として、二次創作は所詮他人の褌で相撲を取っているのに過ぎず、純粋にオリジナルの世界観を生み出していない作家を神とまで崇拝して、それとの付き合いに己の価値を投影する人間は好きになれないです
    でもスキルとしてのライター能力良いな〜!

  • 令和の毒吐きネットマナーだ!!!駆け出しオタクは全員読め!

    神作家が生み出すものはほとんどのオタクを揺さぶり作家にはありとあらゆる感情を向けられるけれど、その神作家は「神作品を産む作家」であって「神」ではない。ネット画面の向こう側にもひとりの人間が居るんだよ、という、ま〜〜〜何年も何十年も言われ続けて皆が気をつけようねと言われ続けていることをものすごくストンと落ちやすく漫画にしてくださったなぁ〜!という感想。
    すべての登場人物の感情におぼえがあり、おそらくこれからもオタクとして生きる我々はこのことを漫画を通して客観的にきちんと適切さを自身に戒める必要があるなと感じる。

    出てくるオタク、みんなちゃんと負の感情に向き合って無闇やたらに相手にぶつからないから偉いな〜と思う。アンガーマネジメントがよくできてる。

    でもまぁそれだけじゃなくてオタクとして「好きな事やものは楽しもう」というのがすごくいいなと思う。
    綾城さんの書き下ろし、とってもよかった!

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著者プロフィール

SNSにて作品を投稿する。創作活動をする人の感情、その振れ幅の極致を描く。Twitter:@sanada_jp

「2020年 『私のジャンルに「神」がいます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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