ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI

  • KADOKAWA (2020年12月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784046802453

作品紹介・あらすじ

高畑勲・宮崎駿両監督と共に、数々のアニメーション映画を世に送り出してきたスタジオジブリプロデューサー・鈴木敏夫。
商業的な成功と作品の質の高さを両立させ、スタジオの経営までをも担ってきた彼の幅広い活動は、いまや映画業界に留まらない。
ふつうのプロデューサーとはひと味も二味も違うと言われるのはいったいなぜなのか!?
『アニメージュ』時代からジブリ設立、2020年12月放送の『アーヤと魔女』までの仕事の軌跡を、数々の直筆資料とともに収録。
鈴木敏夫の過去、現在、そして未来をめぐる、すべてを凝縮した1冊。

収録資料例:
『風の谷のナウシカ』取材応対マニュアル/「スタジオジブリ」社名案/『もののけ姫』予算超過報告書/『となりのトトロ』『火垂るの墓』関係者向けパンフレット&ラフ/大学生時代の同人誌 ほか、もりだくさん!

みんなの感想まとめ

鈴木敏夫の生き方や仕事の哲学が深く掘り下げられた一冊で、スタジオジブリの歴史と彼の足跡が描かれています。彼のプロデューサーとしての手腕や、宮崎駿や高畑勲との関係性が明らかになる中で、作品のクオリティを...

感想・レビュー・書評

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  • 先日、「プロフェッショナル 仕事の流儀」宮崎駿スペシャルをみた。御大の凄さは周知のとおりである。しかし私は、違う人物の一挙手一投足に目を奪われていた。今やスタジオジブリの最重要人物、なぜか肩書きが代表取締役「議長」?となっている鈴木敏夫氏である。

    この人、只者ではないと感じたのは、今は亡き高畑勲監督と進行の遅れを話し合う緊迫したシーンでのこと。作品の完成度を追求し、スケジュールの遅れをものともしない高畑。一触即発の高畑との間合いをはかり、感情を抑えつつ毅然と説得を始める姿にシビれた。

    本書は、鈴木氏のこれまでの仕事ぶりを振り返る、いわば個人の年史である。企画書、制作進行などの内部資料が惜しげもなく掲載されており、この期間であのクオリティの映画が作られていたのかと驚く。テキストもストーリーの変更経緯など裏話が盛り沢山で終始飽きることはない。

    ディズニーの黎明期を支えた『白雪姫』に当たる作品が、ジブリでは『風の谷のナウシカ』である。アニメ誌の編集長の一言を受けた鈴木氏が、宮崎駿を、高畑勲を、徳間書店社長を、博報堂を動かす。宮崎の高畑への愛憎半ばの感情など一筋縄ではない人間関係のややこしさも面白い。

    曲折ありプロデューサーを引き受けると決めた高畑は、逆に鈴木の手落ちに対して一喝する。高畑の要求水準は高く、アニメーターの大半を不合格とし、一からスタッフを探す徹底ぶり。それが許された時代といえばそれまでだが、原理原則に立ち返り合理性を追求する人の凄みを感じた。

    「観客には何を伝えるのか? 管理社会の窒息状況の中で、自立の道を閉ざされ、過保護の中で神経症になっている現代の若者たちに心の解放感を与える。」(企画書より)…そうなのか。でもこれは企画を通すための方便であって、本当はもっと深い思いが三者にはあるのではとも思えてしまう。

    後半、鈴木氏の絵心のあるイラストやコンテ、味のある筆致などが並び、彼自身のクリエーターとしての資質の高さも窺わせる。最後の氏のルーツをたどる章では、影響を受けた書物が紹介されている。個人的には、茨木のり子「詩のこころを読む」(岩波ジュニア文庫)の積読を思い出した。

    • 傍らに珈琲を。さん
      harunorinさん、こんばんは
      プロフェッショナル見ましたー!
      鈴木さんの徹底した姿勢にも痺れましたが、この時の番組の見せ方が映画キャラ...
      harunorinさん、こんばんは
      プロフェッショナル見ましたー!
      鈴木さんの徹底した姿勢にも痺れましたが、この時の番組の見せ方が映画キャラクターと互い違いに宮崎さんを捉えていて、番組製作の皆さんに拍手!でした。
      亡き高畑さん、翻っては仕事と迫りくる老いとの緊迫シーンと、ある種の寂しさに、涙してしまいました。
      鈴木さんが居るからこその宮崎さんなのだと、強く感じた番組でした。
      2023/12/28
    • harunorinさん
      傍らに珈琲を。さん こんばんはー
      コメントありがとうございます(*´꒳`*)
      プロフェッショナルご覧になったのですねー
      ドキュメント72時間...
      傍らに珈琲を。さん こんばんはー
      コメントありがとうございます(*´꒳`*)
      プロフェッショナルご覧になったのですねー
      ドキュメント72時間とこれ、好きなんです!
      確かに、この回は特に長尺なことも気にならず、すごく惹き込まれる感じがしました。どおりで、編集とかの見せ方も秀逸だったんですね!
      高畑さんが亡くなった後も、宮崎さんが長期間とらわれるほど大きな存在だったことが、痛いほど伝わってきました。
      老いからなのか、ゾーンに入ったからか、物忘れをして消しゴム?を探すシーンが印象的でした。鈴木さんも大らかに受け止めていたところも良かったです。
      2023/12/28
  • 鈴木敏夫の生き方とアニメージュとスタジオジブリの歴史は、ジブリの映画よりも面白かった

  • 面白い、とにかく面白い鈴木敏夫さんの自伝だった!

    鈴木敏夫さんのアニメージュ時代の編集者としての働き方、スタジオジブリでのプロデューサーとしての働き方。そしてコピーライターとしての作品。

    それぞれの時代での情勢や環境は違うのですが、考え方は共通点があり面白かったです。

    またジブリ映画が出来上がるまでの裏側が詳細に載っていて面白かったです。鈴木敏夫さんを知らなくてもジブリファンなら楽しめる一冊になっていると思います。

    この本を知ったきっかけが鈴木敏夫さんのラジオ「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」でした。

    https://podcasts.apple.com/jp/podcast/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E6%95%8F%E5%A4%AB%E3%81%AE%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%AA%E6%B1%97%E3%81%BE%E3%81%BF%E3%82%8C/id267982154?i=1000513005127

    ちょうどこの本の特集会があり、流して聴いてたら面白く「これは本をちゃんと買って読んで後に聞いた方が良いな」と思い、ラジオを一時停止して買いました。

    本は結構厚いのですが、あまりに面白く届いたその日の内に読んでしまいました。

    個人的にこの本の中で鈴木敏夫さんが書いた題字を取り上げたページがあり、この中の作品が心に響く文体があり良かったです。

    思わず声に出してみたくなる、そんな作品が沢山載っています。

    興味がある方は是非一読してみてください。

  • 3週間かけてじっくり読みました。

    もともと鈴木さんの生き方や考え方が好きで著書を色々と読んできましたが、これは4200円出す価値がありました。本当に面白かった。
    ラストの方にありましたが、鈴木さんは仕事をする上で徹底的に参考となるものを研究して必要要素を洗い出したり、不安要素を事前に潰しています。そして何か予想外の展開が起きればすぐに対策を打つ。
    文章にすると自分もできると思うかもしれませんが、実際この本に載っている多くの鈴木さん手書きの資料を見ると、ここまでやるべきなのだと実感できます。

    そして、本当にいつも誰かのために動かれてます。資金調達、宣伝計画、脚本の案だし、取材旅行、あらゆる角度から鈴木さんが今までやってきたことがまとめられていて、とても読み応えのある一冊でした。
    これから自分の本棚に大事にしまって折々に見返していきたいと思います。

  •  鈴木敏夫、という名前に見覚えはありませんか。日本を代表するアニメ制作会社・スタジオジブリで現役活躍中のプロデューサーです。先日、そんな存命の「人」に注目した展覧会「鈴木敏夫とジブリ展」に行ってきました。
     等身大でふわふわのトトロのオブジェがある撮影スペースや、湯婆婆・銭婆婆の口に腕を入れる奇妙な占いコーナー、東京の三鷹の森ジブリ美術館から持ってきたという物販などたくさんの見所がありましたが、展覧会のメインは鈴木さんの生い立ちから現在までの公私入り乱れた人生を跡付ける夥しい量の資料でした。
     社内資料や日記、自作の書画などは勿論ユニークで貴重なものですが、驚いたのは鈴木さん個人の蔵書がクローズアップされていたことです。とりわけ影響を受けた本数冊が取り上げられるだけかと思いきや、展示の大トリに自分の蔵書約8000冊を全て持ち込み、自宅の書斎を再現するというサプライズが用意されていました。本を手に取ることはできませんでしたが、往年の大衆文学から思想書、タレントの写真集や最近の漫画に至るまでほとんど包み隠さず並べられていて、壮観でした。こんな興味深い催しがあるとは知らなかったため、誘ってくれた妻に感謝が尽きません。
     日本において公共図書館の歴史が本格的に始まるのは戦後、つまり今と地続きの現代史と呼ばれる時代と重なります。しかし現代史は政治的中立性をもって語ることが難しく、義務教育でも盛んに取り上げられているとは言えません。鈴木さんはジャーナリストに始まり、雑誌を取りまとめる編集長、作品の実現に奔走するプロデューサー、という来歴を辿り、それはメディア激動の時代と大きく重なっています。公共図書館の成立した時代背景や様々なメディアやコンテンツを取り巻く人間模様に触れる格好の副教材と考え、今回の展覧会で図録として販売されていたものを入手し寄贈しました。
     『ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI』はこの展覧会に先立って出版された本で、展示の
    キャプションの多くが本文から転用されていました。後の2冊は図録購入者に配布される典型的な「灰色文献」で、『名古屋の鬼ばばあ』は鈴木さんとその娘による破天荒な身内を描いたエッセイ、『読書道楽』は蔵書を眺めながら自分のルーツを語るインタビュー記録となっており、いずれも読み応えがあります。故きを温ねて新しきを知る、私の好きな言葉です。

    国文学科 ふくい

  • p.2022/5/24

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