転生魔女は滅びを告げる 4 (フロース コミック)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 88
感想 : 1
  • Amazon.co.jp ・マンガ (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046804884

作品紹介・あらすじ

火のドラゴンを従える“覇王”アイザックに召喚され、
キースとともに隣国・フォンドナ帝国へ赴いたセナ。
そこで見たのは、魔法の鎖で拘束されたドラゴンの王の姿だった。

ドラゴンを使役し、詠み手を挑発するアイザックに
セナの感情が爆発し、魔法を暴発させてしまい――!?_

感想・レビュー・書評

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  • 言葉がなければ伝わらないと、彼らはいつ気づくのだろう。

    火のドラゴンの王「ギデオン」とそのパートナーたる大国の若き覇者「アイザック」、一見従属と支配に似た二者の関係の謎を追っていく「フォンドナ帝国」編、終幕となります。
    次は水のドラゴンの王「シーリィーン」と、現在地から海を挟んでの彼女が属する大国「シエプラ王国」編なのでしょう。

    なんでしたらこの巻のラストでシーリィーンの方からして飛んでやってきてくれて、かつ「私を殺してください」というショッキングかつ端的な願いをおっしゃってくれます。話が早くて助かるようです。
    一聴すると不可解ながら、心を病んだ風でもある彼女からじっくり現状を聞き出し、本当の問題を把握して解きほぐしていく過程が望めるので新展開には期待が持てそうです――。

    などと、この巻の〆から先に述べたことからお察しいただけるかもしれませんが結論から言わせていただけば、私個人の感想と断った上で、ここ四巻単独の評価としては酷評寄りかもしれません。
    作品全体の流れを阻害するほどの構成の失敗はなく、あくまでこの章に瑕疵がついた程度の評価に留まりますが、ネタバレ込みの上いささか穿った文面となります。どうかご容赦ください。

    よって、この巻単独でみるなら従来の星四つから星を一つ落としての星三つとさせていただきました。
    単行本でまとめて読むと流れとしては納得がいき、テンポとしてはそう悪くないように感じられたのですが、三巻からの流れを踏まえて読むともうちょっと圧縮できたんじゃないかなと思うことしきりなので。

    画のクオリティと作画担当の「sora」先生のマルチワークを考えれば、この巻付近の連載更新ペースが遅め(隔月)であることも足を引っ張った印象ですが、その辺は作品とは関係ない情報なので参考程度で。

    ここで三巻の流れを振り返っておきますね。
    ドラゴンの王たちの心と体を癒し、解き放つ力と持つ主人公「セナ」を巡って傲岸な覇者「アイザック」と、そんな彼の魔手から彼女を庇護しようと動く小国の第六王子「キース」の鞘当てが続きました。

    それを受けての四巻ではアイザックの不可解な動きの理由が明かされます。
    いわく、アイザックの目的はセナを挑発して潜在能力を引き出すことであり、特殊な魔法の鎖に繋がれて苦痛にあえぐギデオンを解放させよう、ついでにあわよくばセナも手中に入れようというものでした。

    正直言うと、キースを除いたセナとアイザックとが事情を説明しておけば一瞬で片が付いた(少なくとももう少しはスムーズに事が進んだ)問題だと思います。
    真相としては三巻時点で透けて見えている部分もあって、回り道をさせられた徒労感がひしひしと。
    事態が解決してから回り道が正解だったように補足がされますが、それこそ結果論に過ぎませんし。

    アイザックがわざわざ迂遠な手管を取ったせいなのか、キースが終始邪魔をして話をする機会を断ち切ったせいなのか、いずれにせよどちらも得をしないストレスを割り引けば流れとして理解はできます。
    なんにしても外から見るとコワモテの帝国が、内情としては守成に入っており、身内に数えている火のドラゴンの一族を徹底的に庇護する態勢に入っていた、というのは意外な展開でここは唸らされました。

    ただ、重箱の隅を突っつくような指摘であると勘定されることを承知で言わせていただければ。
    なんで外から見ると拡張主義かつ武断派の大国が抱える潜在戦力である火のドラゴンを懐にまで潜入して狙う頭の悪い密猟者なんてわけのわからない存在がいるんだよ、というマイナス点が大きい。
    しかも他国の息がかかっているならともかくこの巻単独で読み取れる範囲ではおそらく後ろ盾のない類。

    帝国の内情を言葉でなく行動で説明するための演出と言ってしまえばそれまでなのでしょうが、ちょうど主人公が通りがかったタイミングで掃討に入るという見計らい方に、特に説明がないのが痛い。

    ドラゴンたちの心情に寄り添いながら詩情めいた激しい癒しの言葉で彼らと向き合っていく主人公セナと、それを支えるキースの関係性という意味ではしっかり盛り上げてくれたと思うのですが……。
    外見と内面のズレという「謎」の提示から、その謎の解法自体は申し分なくともその解き明かす過程が厳しい。登場人物たちの行動に一々疑問符が浮かぶというか、筋書きと帳尻合わせをするかのような無茶な心理が散見されることが看過できなくなってきました。

    全体像を見れば問題ないのですが、細かいマイナスの積み重ねで評価を下げるパターンだなとしみじみ思う次第です。
    主人公コンビだけに注目すれば、この巻で焦点が当たる火のドラゴンたちと同様の「偽りの虜囚からの解放」という符合を持ち、問題の解決に導く流れとしてしっかり納得できるだけに惜しい。

    以上。長々と申し上げました。
    切り分けさえすれば評価点の方が目立つ構成になっているのですが、問題点ばかりが鼻に付くような物言いとなってしまい申し訳ありませんでした。

    さて、改めて次巻以降に目を向けますと七体存在するドラゴンの王、それぞれが持つ問題を解決していくというストーリーラインはみっつめの具体例を得ていよいよ見えてきました。
    とは言え、単独のエピソードの糸をどう繋いでいき、最終的にどういった方向性で物語を織り成し、畳むかについては心配する段階にないと私は感じています。今は、次章に注視する時に他ならないと。

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