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Amazon.co.jp ・マンガ (200ページ) / ISBN・EAN: 9784046820037
作品紹介・あらすじ
お店の評判を聞きつけた記者・レオンがローシュタインを訪れる。
彼は店主の古い友人のようで、エリヤに取材を申し込むが彼女の答えは……「恥ずかしい」。
話題は”ラウラ夫人の首飾り事件” へ。
名品であること、また懸賞金をかけていることから今注目の事件だ。
そこで、またしてもエリヤが ”思いがけず” 事件を解決に導くことに…!?
ほかエピソードもたっぷり収録。
エリヤの活躍を、きらびやかな宝石とともにお楽しみください。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
静かな雰囲気の中で展開される物語が、宝石商の世界を舞台にしている本作では、エリヤというメイドが様々な事件に挑む姿が描かれています。特に「ラウラ夫人の首飾り事件」では、彼女が思いがけず事件を解決に導く様...
感想・レビュー・書評
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物語自体が静かすぎるかなあ。動静の見せ方が漫画の楽しさと思うけど、あまりに静かすぎる。
あと歴史的なメイドの立ち位置、という観点からするとやっぱりちょっとなあ、という感情が先に来てしまう。上流階級の社交でメイドがメインになるということ自体、その社交界の格が落ちるレベルなわけで。
素材は悪くないけど「メイド」は辞めたほうが良かったと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
■書名
書名:宝石商のメイド 3
著者:やませ ちか (著)
■感想
1巻に記載済み。 -
美しい秘密を抱えて、穏やかに時を刻む。宝石のようなメイドさん。
作品の概要についての紹介は一巻のレビューで先んじて行ったということで、今回も省略させていただきます。ご容赦をいただけましたなら幸いです。とまれ。ここ三巻に関しましては二巻のレビューでも触れたポイントからはおおむね外さず、段階を踏んで世界を広げていらっしゃるように存じます。
ご挨拶はそこそこにして、『宝石商のメイド』第三巻のレビューをお送りしてまいりましょうか。
何度も確認しておきますが、タイトルを冠する主人公の「エリヤ」さんはメイドさん兼接客係です。
中心街から少し外れた路地でちいさな隠れ家のように佇む宝石店「ローシュタイン」は彼女にとっては誇りある職場であり、また温かなホームでもあり。地域のお付き合いを大事にしながら暮らしています。
そんなわけで今回のエリヤさんなのですが、平穏とティータイムを愛する働き者で善良な淑女としての側面が強く出ている風にお見受けられます。
エリヤさんは本日も一対一でお客様と宝石に対して、真摯に、誠実に向き合っていくのですね。
けれど、その宝石の性質と顧客の人柄に正面から向き合う丁寧で確かな仕事っぷり(既刊も参照のこと)が評価されたのか、どうしても周囲が放っておかなくなっていくというのも流れというわけで……。
そういったわけでこの巻のハイライトは、主人公が若くしてトップクラスの宝石鑑定士であるということを、上流階級の衆目の下でショウを行うことで華々しく証明する回となっています。
ここまでに出会った顧客も出席者として招かれて顔を出していたりで、メイドと店主の二人三脚で積み重ねてきた信用が再確認できる作りになっているのもなかなかにニヤリとさせられて良いですね。
そうです。どのような晴れ舞台であろうとも、主人公はワンピースの上にフリル付きのエプロンをしっかり載せた古式ゆかしき良きメイドスタイルを崩しませんでした。
これぞ一張羅とばかりに楚々と、けれど凛々しく前を向いてくれました。
一世一代の大仕事を、裏側の意図まで汲み取ってホストにも花を持たせる形で見事に乗り切ったのです。
そういったわけで、さしずめ物語は第一の幕が閉じて、次の幕が上がるといったところでしょうか。
たとえば、次巻では知る人ぞ知る名店で留まっていたはずの「ローシュタイン」がこの機に注目されて人が押し寄せることになると予告されています。劇的ではなくとも、話が動くと言い換えてもよいかと。
そういえばこの巻の冒頭で新聞記者(店主の友人)がやってきましたが、話の要請上納得でしたね。
物語は好評を得てまだまだ続くのでしょうけれど、この先やってくる波乱にどう向き合うのか、波乱は去るのか、はたまた波は波のままで落ち着いてしまうのか、それはわかりません。
ただ、店主の「アルフレッド」さんが四巻では自身のバックボーンを明かすのと合わせて店についてのアレコレを教えてくれるらしいので乞うご期待! と言って胸を震わせるのがよいかも。
まぁ、それはそれとして。ここ三巻に至りまして本作はいよいよ連載としてこなれてきた感もあります。
たとえば主人公であるエリヤさんのかんばせにせよ、硬質な顔とふんわりとした輪郭を同じ巻中で上手く使い分けられている風に見えました。今までの巻では印象を切り離していたように感じられましたから。
一読者の感想ではありますが、硬い表情とふんわりとした光を宿す印象と、どちらも宝石のようなメイドさん「エリヤ」の本質であるかのように描き表されていて「おお……」となっております。
それと作品を通して動きという意味ではさほどなく、佇んでの物静かな雰囲気が支配的なはずなのに、今回は先に挙げた劇的な一幕を演出してのけました。漫画としてのクオリティーも確かに上がっています。
それと宝石の良さは高嶺の花としての魅力だけでなく、路傍にひっそりと咲く野の花の良さでもあるというメッセージが置かれているのも本作の特徴のひとつなのですが、そちらでも手を抜いていません。
事実、この巻でも主人公が研磨前の原石を通して行う草の根的な活動がしっかり描かれていますし。
子どもたちを生徒に迎えたエリヤ先生の原石教室も二巻から引き続いて健在だったりします。
宝石に象徴されるように物事には、光の当て方によってそれぞれ違った見え方が生まれ、人によって解釈が分かれようともきっとポジティブな見方を見出すことができるわけで。なんでしたら宝石はあなた自身の瞳であるのかも? ……というのは一読者としては気取った物言いにも程がありましたか。失敬。
総じて本作は、人にとって「宝石」とは何なのか?
避けて通れないテーマに真摯に向き合っておられるように考えられます。それに加えて三巻では人間ドラマに宝石が介添えするというより、宝石を巡っての人の営みにも注目されているように感じられました。
経済は元より、人の心さえ動かし、誇りさえ賭すに値する価値を秘めた宝石は人の手によって磨かれるのですが、それは職人のことのみを指すのではありません。
この巻では職人さんに注目した回も収録されているので大きなウェイトを占めているのも確かですが。
すなわち宝石の価値とは確かな知識に下支えされた鑑定士の目と言葉から見出されるものでもあり――、金銭的な価値だけでは語れないものを語ってくれるからだと再確認できた、ここ三巻であったのです。
というわけで以上、三巻のレビューをお送りしました。
今までは連作短編のフォーマットに忠実で一歩、また一歩と着実にステップを踏んできただけに、今後もしも一足飛びで展開が進んでしまったならバランスを崩してしまうのでは?
などと不安は皆無ではないですが、作者と読者の双方にある信頼は確かです。きっと杞憂でしょう。
ああそれと。この巻でお披露目された晴れ姿からもわかる通り。
一読者目線に立っても、メイドさんという装飾を抜きにしたエリヤさんが想像できなくなっているのは確かなのかもしれません。あまりにもメイド姿が板につきすぎている。
けれども変わりなき部分とは別にして一歩一歩、主人公のルーツの断片らしきものはみせてくれていたりもしますね。果たして、宝石商のメイド「エリヤ」とはいったい何者なのでしょうか?
まぁ、そういった謎解きはいったん置いておいて。
いまを生きるエリヤという女性からは、とても豊かで美しい人間性が見え隠れします。
番外編を含めたこの巻のエピソードからは見えてくるのはきっちりかっちりしていて四角四面で几帳面な一面だけではありませんでした。
ロマンチストで可愛らしい側面をあまり隠さず、むしろ大きく見せてくれたのは彼女もまた周囲に向けて心解いてくれたからでしょうか? それとも読者の鑑定眼も磨かれてきたから?
と。理由もこれまたさて置いて。一見揺るぎのない表情に隠された感情のうねりのことを、読者もまた知りえているのかもしれませんね。もちろんアルフレッドさんに次ぐくらいにはと断った上として。
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