記憶喪失の俺には、三人カノジョがいるらしい2 (2) (MF文庫J)

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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046826657

作品紹介・あらすじ

明日香、紗季、ひな。三人の彼女と「三股」をかけていることが学校中に知れ渡ってしまった俺・真田勇紀。そんな居心地の悪い空気の中始まったのは訓練合宿。クラスの団結力を高めるって、こんな空気で一体どうやって!? そのうえ、記憶を失う前の俺と今の俺の違いが、どんどん気になり始めて──
「前のあんたを思い出してよ」
「今の方が優しいなって……」
「確かめたいなら、キスしてみればいいんじゃない?」
少しずつすれ違う中、ついに明日香との過去の記憶が蘇る──!?
記憶喪失サスペンスラブコメ、第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 第1巻にて関係性を終わらせようとした筈なのに現状維持として続いてしまった三股関係。多少不本意でも人生をやり直している勇紀にとって救いとなっているのも事実
    前の真田勇紀という人間を消す為に彼がした行動は恋人を標榜する彼女らには意味を成さなかったわけだ。代わりに学校での立ち位置を完全に失ってしまったわけだが

    勇紀が自分の立ち場を失ってしまったのは完全に狙ってやった事なのだから仕方ないけど、それと同じくして夢咲も立ち場を失ってしまったようで
    彼女の場合は虐めの件含め自業自得感は有るものの、ちょっとした拍子で積み上げてきたものが崩れてしまう学校空間の怖さを体現しても居るね

    それも有ってか、そのようなクラスに在籍しつつモデルという居場所を持つ為か浮世離れした紗季の存在は余計に目立つのだけど
    元々三大派閥なんて呼ばれるくらいに目立つ少女。自身は派閥なんて全く形成していないけど、誰も口を挟めない行動力の強さは存在そのものが派閥であるかのよう
    立ち場を無くした勇紀とも夢咲ともクラスの中で平然と接せられる彼女は空気などまるで知らないかの如く振る舞うね


    学校空間での勇紀の立ち位置が好転しないなら、問題となってくるのは彼自身。というよりも記憶喪失による前の彼と今の彼の分断
    前の勇紀によって三股が始まっているからこそ一度はそれを壊そうとしたというのに現状維持となってしまった関係が勇紀に思い知らせるのは自身に向けられる感情の虚しさ

    果たして3人の彼女は今の勇紀を見ているのか、前の勇紀を見ているのか。曖昧な中でそれでも頼りとなったのは紗季の向ける感情だね
    彼女だけは言葉だけじゃなく態度でも今の勇紀を好いていると告げてくれる。それは今の勇紀にとって縋れるものであるけれど、まだ触れ合った時間も質も少ない筈の今の勇紀を何故紗季が好いているのかという点を問題として浮き上がらせてもしまう
    不安定な勇紀を彼女が肯定すればするほど紗季の歪さが強調される

    だから勇紀としては紗季以外の拠り所を欲したと言えるのかな
    訓練合宿でも彼は居場所がない夢咲を助ける為とはいえ余計にクラスの中で味方になりえる相手を失ってしまった。そして紗季すら頼れないなら明日香を拠り所に選ぶのは自然な話だったのかもしれない
    でも、それは拠り所と云うには綺麗な表現で実態は自分を無条件に受け入れてくれて自分自身もそれを負担に思わない関係。だから怪しんでいなかった頃の紗季には縋れたわけだし
    そんな身勝手な感情を、他者に理解されるわけがないと意固地になる激情を受け止められる程に明日香は今の勇紀を見てやれていなくて

    勇紀が必要としたのは今の自分を受け入れてくれる相手。でも医者が語っていたように勇紀自身が相手を受け入れる努力も必要
    ひなは足りなかったその辺を埋めてくれたね。ひなは別に前の勇紀がそれ程好きじゃないという訳では無いが、あの虐め事件を通して今の勇紀への感謝がある。そして前の勇紀と過ごした時間が最も短いから今の勇紀を色眼鏡なしで見られる
    そんな彼女の言葉を受けたからこそ、勇紀の側も彼女の願いを尊重してやれるようになったのだろうね

    今と前の差によって生じる不快感への突破口が見えたなら傷つけてしまった明日香との向き合い方も見えてくる
    まさかあの勇紀が自ら記憶を取り戻したいだなんて思うなんてね

    そうして思い出されたのは勇紀と明日香が恋人になった日の物語。あの時間だけを思い出せるのは少々都合の良さを感じないでもないけれど、それなりの文量を用いて描かれたそれは勇紀にとっても明日香にとってもあの時間がとても大切なもので二人にとって再会と始まりが詰まった瞬間なのだと判るね

    記憶と共に失ってしまっていた大切なそれを取り戻せたなら、今の勇紀でも自分自身や明日香との向き合い方には何の問題も無くなるわけで
    前の勇紀を取り戻そうとしていた明日香だけでなく、自分自身を真田勇紀として受け入れられた彼は大きな障害を乗り越えられた気がするよ

    一つの壁が越えられたなら、見えてくるのは次の壁。いつの間にか死んでいた母親、赤の他人の父親、三股の件
    けれど、最も大きな衝撃を伴って齎された新たなる壁は予想外のものだったね。紗季はこれまで今の勇紀の味方と思えていたけど、実態は最大の敵なのか……

  • 紗季が昔よりも今の勇紀を見ていて、のは、自分も記憶喪失だから?同族への共感意識?

    セリフも含みのあるものばかりだし、謎が多いな。

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