俺の友達♂♀が可愛すぎて困る! 08 (MFC キューンシリーズ)
- KADOKAWA (2023年10月27日発売)
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感想 : 1件
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Amazon.co.jp ・マンガ (128ページ) / ISBN・EAN: 9784046829221
作品紹介・あらすじ
季節は夏! 海に遊びに来ているのについ受験のことを意識してしまう天野滉一。
その一方で自身が女体化してしまうことにも頭を悩ませていた。
そんなある日、女体化している時に知り合いの女の子に出会ってしまい
正体を隠すために悪戦苦闘するのだが……?
既刊重版出来!!
女体化する幼馴染みが可愛すぎてドギマギ!?
禁断のTSF(性転換)ラブコメ第8巻!!
感想・レビュー・書評
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性別が変わったから知りえたことがあるように、年齢が変わったからこその出会いもありました。
TSドタバタ(ラブ)コメディ『俺の友達♂♀が可愛すぎて困る!』八巻のレビューをお送りします。
まず申し上げておくこととして。
この漫画を八巻から読み始めるのはさすがに推奨しかねますので、一巻もしくは七巻からどうぞ。
私もここまでの七巻分のレビューを送らせていただいたのですが、六巻でいったん区切りを迎え、七巻からが新展開である旨で紹介させていただいております。よって割愛ということで、どうかよしなに。
表紙を飾るヒロインたちが本当の意味で一巡したということもあって、ここ八巻の表紙はふたり体制です。
内訳はクリスとミカの留学生ふたりですね。メインキャラはみな仲がいいのですが、この取り合わせは新鮮かもしれません。表紙ひとつとっても色々な切り口が見えてくるのはヒロイン勢のキャラ立ちが秀逸なためか。
これは希望的観測なのですが、ヒロインが主人公含めて七人になった以上はあと三巻は最低でも続く? などと思ってみます。もし二桁台に入るとすれば立派な長期連載ですが、さぁどうなるか。
時に「TS(性転換)」という作劇上のギミックは単独の萌え属性としてプッシュしていっても、途中で息切れすることが多い。――そんな傾向にあるというのは以前のレビューで触れさせていただいたことです。
その点、本作はあまり慣れや飽きをもたらすことなく、新鮮な驚きと萌え要素を読者に引き続き提供いただけているのが素晴らしいですね。原作者・作画担当者ご両名の技量の高さを再確認しました。
その辺の工夫については以前の五巻のレビューでも触れさせていただきましたが、改めて言及しておきます。
他方で「TSF(後天的性転換を題材としたフィクション作品)」というジャンルも成立して久しく、同好の士による分析・研究、ファン層の間での認知が進んだことに助けられている部分もあるのでしょう。
あとTSF系列で近年話題作が続出したこと、例としては『お兄ちゃんはおしまい(愛称:おにまい)』などで一般層でも知名度が上がり、TS概念に対する解像度が上がっているのも大きいのかもしれません。
もちろん、本作が先行作品とは異なった独自路線を打ち出せていることがこのレビュー前提なのですけどね。
ジャンルの盛り上がりを受け、本作に少なからず追い風が吹いている部分もあるとは思われますが。
まぁ、そんな個人的な見解はさておいて本題に入りましょうか。例のごとくネタバレ全開ですのでご注意を。
ということでここ八巻ですが、先の巻で主人公でありながらTSヒロインの仲間入りをしてしまった「天野滉一(コウちゃん)」の視点をメインとして引き続きお送りします。
彼もしくは彼女の愛らしさ、キャラクターとしての完成度の高さについては七巻のレビューで連ねておきました。この巻ではさらに掘り下げが捗った感じですね。それもコウちゃんだけでなく、周りに波及する形で。
ところで、ほかのヒロインたちは性転換体質と付き合ってそれなりに長いわけですよね。
よって、いまさら突っ込んで語られなかった事柄はやはりそれなりに多いわけです。
そこに性転換に対する知識がない主人公を投げ込んでみるとどうでしょう? ……抜群の組み合わせでした。
未知の世界を歩む物語を紡ぐなら、主人公は無知な異邦人にするか記憶喪失にしろとはよくいったものです。
たとえば医学的には、ヒロインたちの口から生理周期や性別の固定条件などを知る機会に恵まれたりもします。それから文化的には、同じ体質の同年代の子たちと改めて交流を持ち、彼(彼女)たちの価値観を知る機会に恵まれたりもします。これら設定開示をコミカルな雰囲気を崩さず軽快に進めるのもいい感じでした。
で、例示したふたつの要素はどちらも大事なのですが、特に後者はヒロインの知人という形のほぼ新キャラ(七巻巻末で予告的に出ています)の意見ということもあり、ここに来て世界が広がった感じがします。
こういうサブキャラがいてくれると、世界そのものの強度も増すのでいてくれると嬉しいわけですよ。
と。世界と言えば、主人公のコウちゃんがまったく別の軸から話を開拓してくれたりもします。
具体的には主人公が女児化したことで、事情を知らない小学生女子の交友関係を結べちゃったりするのです。
もちろんコウちゃん本人にとっては不慮の形であり、言うに言い出せない健気さを演出してくれました。
ここまでの巻で振り回され役が板についていたこともあって、実にかわいさを振りまいてくれましたよ。
人間誰でも変身願望があるといいますが、高校生男子が自分とはまったく無縁のはずだった小学生女子の輪に入ってしまったというのはなかなか背徳的ですよね。
ここまで積み上げてきた主人公の信頼があるので、話がアブノーマルな方に傾き過ぎないのはさすがですが。
TSに限ったことではなく、色々な感情を揺さぶってくれるのでこの手の二重生活モノは好きです。
正体がバレるバレないの緊張感を味わったり、未知の世界への好奇心が心を震わせることができる。
そう考えると、主人公の肉体年齢をTS前後でズラしたのはまさしく英断といえるのかもしれません。
既存の世界とギャップが大きければそこから落差が生まれ、衝撃と驚嘆がやってくるわけですから。
あと、主人公の精神は高校生男子と言っても大人風を吹かせるわけでなく、等身大で対等な目線で小学生女子の世界に向き合うのも素敵なポイントです。わからないからこそ理解を示して、自分から染まる余地もある。
この辺、主人公の性格を振り回されがちな常識人という形でしっかり固めたからこそ生まれる効果ですね。
従来の高校生同士の交友関係から切り離すことで、主人公単独で活躍できるポテンシャルを示せたといえるのかもしれません。現状の動きとしては受動的にならざるを得ないのですが、それでも主人公が話の中心にいるのは嬉しいところです。この辺も主人公がヒロインを兼任したことによる恩恵というやつなのでしょう。
コウちゃんと関わることになる小学生女子三人娘もそれぞれの掛け合いの楽しさも高速でキャラを立ててきてくれているのが上手いところです。
わかりやすい記号性をキャラデザに盛り込んでいますが、この勢いなら単独出演でも問題なさそうです。
それでこの子たちいい子なんだなって作中内外問わず瞬時にわからせてくれるので主人公の内面を揺さぶりつつ、なかなか言い出せない心理も「わかるよ……」って共感を誘ってくれるわけですよ。
なお「天野滉一(コウちゃん)」本人にとって女体化したこと自体はそれまでのヒロインたちのスタンス(もしくは薫陶?)もあって、望まないにせよ悪いこととは思っていません。
あくまで年齢が落ちた点のみが不満だった風に描くことでバランスを取っていたわけですよ。
そこで今回は自分の幼さも込みでかわいいという概念になじませることで、話をさらにポジティブな方向に昇華できていてなかなかにテクニカルだと思われます。嫌味や不快感がないことは、ホント本作の強みです。
それと主人公が自分と属性の似通った周囲と見比べて自身の立ち位置を定めていくのはかつて「沢渡雪緒」が辿った道筋を踏襲しているかのようで興味深いポイントです。あちらよりは精神的に成熟していますけどね。
それと同時に女の子としての自分を形作っていくことで、引き返せない感じも深まるのも見逃せません。
結果、話がどう転ぶかの読めなさを加速させるわけです。
事実、主人公が女子で終わってもまぁアリかなって、現時点ですら私の心境は傾いてるわけですから。
もちろん、読者各々でこの作品が今後かくあるべしという展望は違うんでしょうけれどね。
ちなみに今回はコウちゃん視点が目立った分、ほかヒロインの出番は比較的控えめでしたが、相対的にクリスが目立ちましたね。先述した同じ体質の同年代の子たちの人脈を持ってきたのも彼(彼女)の功績ですし。
ほか四名のヒロインもそれぞれの生活を送る中、要所で印象的なシーンを持ってきているのでけして埋没していないのも積み重ねの妙でしょうか。
反面、表紙にいるもうひとりの方「ミカ」に関しては八巻ではひとつ屋根の下というシチュエーションが控えめだったためなのか、巻末の描き下ろしエピソード(4P)で印象を補っている感じでした。
先述した通り、ヒロイン勢のキャラ立ちが秀逸なので今後のシナリオ作りを疑ってはいませんけどね。
なんだかんだ時間は進んでるし、いつの間にか話も動いてるんだなあと思わせてくれたので描き下ろしの内容は好きです。ここで顔を出したミカのクラスメートふたりにふたたび出番があるかは未知数ながら。
ではレビューを〆に持っていく前に補足情報をひとつ。
連載時から表記が混在していた部分が修正されたので主人公たちの学年は高校三年生で確定です。
個人的にはもう一年ほしいのですがこの漫画が高校二年生スタートであることは覆せません。
それと前年にピックアップされたイベントはさらっと流して、別のイベントに注目していくスタンスのようなので、案外尺に余裕はないかもしれません。この八巻で早くも夏を終らせたわけですから。
ぶっちゃけ、まだまだ楽しいものは見せていただけそうなんですが、さて高校三年生の終わりでどう転ぶか?
惜しまれつつが華か? それとも……? と個人的に煩悶を抱えている今日この頃です。
なぜなら主人公の女子verが個人的にヒットしまくっていることがひとつ。
それに加え、主人公を含めた六名のヒロインたちの性別がどう落ち着くかにシナリオの焦点が絞られている現在、結末を拝むのが怖い面もあるからです。
決まってしまったら、もうもうひとつの姿の君とは会えなくなるわけですし、結構な喪失の痛みがやってきそうで心配です。あとは読者のご想像にお任せするエンドもありっちゃありですが、さて。
それから、この手の選択を迫られるストーリーはどう話を閉じるにしても大量の可能性が考えられます。
主人公(ヒロイン)「天野滉一(コウちゃん)」と第一ヒロイン(?)「沢渡雪緒」がくっつくことを確定としても、双方の性別の組み合わせは男女、男男、女女、女男、いかようにも考えられますから。
昨今、受け入れられ出した分岐エンド制にするのが無難ったら無難ですが、選択と決断の重みを魅せてくるのもアリですし。その辺は読者の要望と作者サイドのさじ加減次第でしょう。
実際のところ、この辺のハラハラ感はリアタイで連載を追ってるものの特権ですね。
ここまで来れば、このレビューを書いている私の七転八倒も込みで連載終了後のほかの読者方々に楽しんでいただきたいと思っているくらいです。
以上。
私は薄情なので無理な引き延ばしに入ったとみれば評価基準を変えるかもしれませんが、作者たる両先生にはベストのタイミングでの完結を目指していただきたいと願う所存であります。
結構な頻度で巻末に最終回を思わせるエピソードがやってくる『俺の友達♂♀が可愛すぎて困る!』なわけですが、だから悔いなきよう私もレビューを送るのですね。では、願わくば次なる九巻でお会いしましょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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