わたしは、あなたとわたしの区別がつかない

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  • KADOKAWA (2024年7月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784046836618

作品紹介・あらすじ

15歳、自閉症当事者が書き下ろす
みずみずしくも胸に迫るエッセイ

自閉症者は何を考えているのか?
世界がどういう風に見えているのか?
その心の声を真っすぐに書いた自伝の登場!

(――五章 中学生編「あなたとわたしの区別がつかない」より)
わたしは、あなたとわたしの区別がつかない。
自分と他人の区別がつかないのは赤ん坊だそうだ。赤ん坊が成長して、一歳ごろに自分以外に人間がいることに、気がつく。これを発達と言う。保健の教科書にそう書いてある。二歳ごろになると、他の人は、自分と違うことを考えていると理解する。このあたりで、世界には自分と、自分ではない誰かがいるとわかるのだ。
わたしは精神の一部が、いまも二歳以下であるようだ。わたしの中に二歳児がいる。怖くて、しかし面白い。わたしがわたしであるように、同じように誰かも誰かである。自分でない誰かは、わたしとは違う人間である。別々の心を持っている。ゆえに、わたしが体験したことは、わたしだけのものである。あなたが体験したことは、あなただけのものである。説明されれば理解はする。何度も口に出して言ってみる。だがしかし、ほんとうのところではわからない。わたしが知っていることは、みんなも知っていると思ってしまう。

【著者プロフィール】
4歳の時に自閉スペクトラム症の診断を受け、小学校では支援級に在籍。中学受験を経て現在は私立高校に通う。
中学3年時に夏休みの課題の作文「自閉症を持つ私から見た日常」が文部科学大臣賞を受賞。
自身が経験した、外見や行動が相手に与える誤解、コミュニケーションに生じる不調や、脳の特性による世界の見え方などを綴り、SNSでも大きな話題となった。

みんなの感想まとめ

自閉症の15歳の著者が、自身の心の声を率直に綴ったエッセイは、発達障害についての理解を深める貴重な作品です。彼は、自らの経験を通じて、世界の見え方や他者との違いを探求し、感情や葛藤を美しい言葉で表現し...

感想・レビュー・書評

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  • 15歳の自閉症の藤田壮眞さんのエッセイ。
    私は発達障害について、一般の方よりも知識があると思っています。発達障害のあるお子さんを持つ親御さん達の気持ちもある程度分かっているつもりです。
    でも、ご本人の感じていることは想像するしかありませんでした。気持ちは聞くことができても、見えているもの聞こえているものを共有することはできません。それをここまで具体的に言葉にしてくれているとは!
    それも15歳とは思えぬ文章!感性!
    定型発達の15歳の少年で、ここまで自己分析をして、それを言葉にできる人はいるだろうか?いや、◯歳の中年の私だってこんなことはできない‥‥
    読んでいて、こんなこともできるんだ、楽しく通学もできているんだな、なんて思ったりもしたのですが、本当に辛かったことは書きたくないし思い出したくもないとありました。毎日が試練の連続なのだということが一冊でとてもよく分かりました。
    でも、自閉症でも定型発達でも変わらないよ!と思ったことは思春期の親子のぶつかり合い。
    タイトルにもなっている『わたしは、あなたとわたしの区別がつかない』。これはある意味、どの親子でも言えることなのではないのかな、と思います。親も子もこの時期に自分達は別の人間なんだ、とはっきりと自覚するのではないでしょうか?(作者の言いたいことはこういうことではないと思いますが‥‥ごめんね、壮眞君)
    壮眞君と、お母様の日々の葛藤、努力が痛いほど伝わってくる本書。あとがきに覚えておきたい言葉があったので、記しておきます。

    ”けんかしてもいいけど、敵にしないこと。誰もが良い心と、そうでない心を持っている。わざわざ相手の悪い気持ちを引き出しても、良いことはない。憎まない。ものごとの悪い面ばかりを見ない。必ず良い面もある。泣いてもいいけど、立ち上がれ。”

    発達障害のある子を持つ親御さんにも、発達障害に詳しくない人達にも、幅広い人達に読んでもらいたい一冊です。



    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      こっとんさん、おはようございます♪
      本書、とってもよかったですよね!
      なんて爽やかで心洗われるような尊さ、
      って感じ!
      人を見る確かな眼差し...
      こっとんさん、おはようございます♪
      本書、とってもよかったですよね!
      なんて爽やかで心洗われるような尊さ、
      って感じ!
      人を見る確かな眼差しは、私たちも
      見習わなくてはいけませんよね(^^)
      2026/03/29
    • こっとんさん
      本とコさん、おはようございます♪
      出合えて良かった一冊です。
      素晴らしい本を教えていただき感謝です(о´∀`о)
      本とコさん、おはようございます♪
      出合えて良かった一冊です。
      素晴らしい本を教えていただき感謝です(о´∀`о)
      2026/03/29
  •  15歳の藤田壮眞くんが記した「自閉症から見える世界」です。当事者(こんな若い子)の自伝は、とっても素晴らしい内容でした。自分と向き合い必死に綴った文章は、読むほどに爽やかで魅力的です。

     内容は、幼稚園〜小学校〜高校(現在)と続く9章構成で、経験したことを振り返りながら、現在地(成長した)視点で描かれます。
     自身の外見や行動が相手に与える誤解、苦手なコミュニケーションで生じる不調、特性による世界の見え方・聞こえ方など、興味深いことばかりです。

     壮眞くん自身は、本書を「自閉症のわたしの取扱説明書」と例えています。なるほど、同じ自閉症でも個々の特性は違うらしいですが、読み手への貴重な記録とも言えます。壮眞くんの見え方や聞こえ方と、一般の我々の感覚や思考との相違は、"目から鱗"でした!
     
     本文中から、その"目から鱗"の一例を挙げます。
    ────────────────────────
     幼いわたしは、店先でおもちゃが欲しいと泣いたことがない。
     たまに店先で寝転がってジタバタしている子供に出会う。横たわる場所ではないのに横たわるとは、わたしの仲間かと思った。後になって聞いてみると、違った。欲しいものがあって、それを買ってもらえず、抗議行動をしているそうだ。このような場所で、自分の欲しいものを判断し、しっかり自己主張ができることを賢いと思った。しかも大人がかなり劣勢である。
    ────────────────────────
     どうでしょう? この情景描写と見方、流れるような筆致、言葉選びとユーモア! ホントに感心します。その後、ひっくり返って騒ぐ行為を、「恥ずかしい」と思えるまで成長した壮眞くん。温かくうれしい気持ちと今後の健やかな成長を願って止みません。


     2023年(中3)時に書いた作文「自閉症を持つ私から見た日常」が、全国小・中学校作文コンクールで文部科学大臣賞を受賞し、広く紹介されたことが本書の原点と言えるようです。この作文の終末を原文のまま紹介します。
    ────────────────────────
     私達にはみんなと同じだけの未来があり、期待を持っている。私が間違った時は、あきらめないで教えて欲しい。私もこの困難な世界に向き合い、痛みを知っているぶんだけ、弱さを持っているぶんだけ、他の誰かに優しくなれる大人になりたいと考えている。
    ────────────────────────
     
     もう、泣けますね。尊いです。関西人じゃないけど、壮眞くんを悲しませたら「あかんやないか!」です。
     壮眞くんは、発達障害を面倒だけど仲良くしている相棒と言えるまでになり、将来、自分のように空気が読めない人を助け、発達障害の研究に関心を示しているそうです。涙がちょちょぎれます!

     でも、自閉症の子たちの大半は、壮眞くんのように自分の気持ちを上手く言語化できない子たちでしょう。社会や仕組みをつくっている大人の責任は重いですね。老若男女、万人の必読書と言えます!

    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      壮眞くんは現在17歳です!
      たまたま今日の朝刊(地方紙です)に、本書の紹介
      と本書を持って微笑む壮眞くんの写真が載って、
      ビックリ! こんな...
      壮眞くんは現在17歳です!
      たまたま今日の朝刊(地方紙です)に、本書の紹介
      と本書を持って微笑む壮眞くんの写真が載って、
      ビックリ! こんな偶然ある?((((;゚Д゚)))))))
      そんなことよりも、aoiさん、ぜひご一読をm(_ _)m
      2026/01/06
    • こっとんさん
      本とコさん、こんにちは♪
      今年もよろしくお願いします(о´∀`о)
      本とコさんはいつも私の琴線に触れまくる本を読んでくれますね〜(*ᐛ )
      ...
      本とコさん、こんにちは♪
      今年もよろしくお願いします(о´∀`о)
      本とコさんはいつも私の琴線に触れまくる本を読んでくれますね〜(*ᐛ )
      本書も是非とも読んでみたいです。
      今年もたくさん参考にさせていただきます(*ˊ˘ˋ*)
      2026/01/07
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      こっとんさん、こんにちは♪
      ご挨拶が遅れました。こちらこそ、
      今年もよろしくお願いしますm(_ _)m
      「琴線に触れまくる」本…うれしいお言...
      こっとんさん、こんにちは♪
      ご挨拶が遅れました。こちらこそ、
      今年もよろしくお願いしますm(_ _)m
      「琴線に触れまくる」本…うれしいお言葉(๑˃̵ᴗ˂̵)
      「逆鱗に触れまくる」本( *`ω´)を挙げないよう
      今年も読みます!
      2026/01/07
  • 十五歳の自閉スペクトラム症当事者の藤田壮眞さんが書いた心に響くエッセイ。

    壮眞さんは四歳の頃にADHD優勢の自閉スペクトラム症と診断されている。

    幼稚園、小学校のつらかったことや、自分がどのように、世界を、他者を理解している(いた)かを、うつくしく読みやすい文章で書かれている。

    書いてくれてよかった。読んでよかった。

    親近感と驚きがほどよく混ざった読書となった。

    御本人はたぶん詩的にしようとは思ってない、詩的な表現にくらくらとする。

    しばしご友人たちに「宇宙人」と言われる、独特な世界の見方に、発見が多い。

    短歌の世界に来てくれないかなー、それとも現代川柳?と夢想する。

  • この本を知った時に、近くの図書館になくて『読みたい』に入れてあたためていました。
    しばらくして図書館に入ったのに安心して、またあたためて・・・。やっと手にした本です。
     自閉症 自閉スペクトラム症 発達しょうがい その世界が少しでも知りたくて。
     ひとつじゃないなと それぞれかかえている悩みや支援して欲しいところは違うなと。
     作者のお母さんもすごく頑張っていらっしゃるんだろうなと思います。
     
     この世の中に生きている全ての方々が生きやすい しあわせな世の中でありますように。
     エネルギー頂きました。
    明日の会議、子どものためにみのりあるものにします!
     

  • とても読みやすい本でした。

  • 一人ひとり、違うけれど、自閉症の方達がこの世界をどう見て生きているのかを知る手助けになる。
    こだわりが強い、ルーティンから外れることが起こるとパニックになる、騒がしいのが苦手等
    中でも表題であるわたしはあなたとわたしの区別がつかない。
    これは、共感性や感情が読み取るのが苦手なことに繋がる。
    「誰か」を認識できないんだそうだ。
    なので、自分が知ってることは、みんなも知ってると思ってしまう。
    友人から自分がどう思われてるのかなんてことは考えたこともない、「誰か」の視線を感じることがないからだと彼は語ってる。
    人前も怖くない、知らない誰かに話しかけるのも躊躇もない…そこはちょい羨ましい
    また、ありがとうとは何なのか理解できなかったと
    感謝のシステムを理解するには自分以外の存在を意識する必要があるからだと。
    なぜ怒ってるのか、泣いてるのかも分からない
    感情も相手を認識することによって発生するからなのしれない。

    この状態でなんとなく空気で伝え、共感性を求められる日本で生きるのはほんとに大変だろなと思う。
    海外でははっきり伝える文化があるので過ごし安かったようだ。

    今は本人の努力や先生や母親などの周りのサポートによってこれらもかなり認識できるようになり、しょうがい逃れられないかもしれないけれど、受け入れて高校生活をゆっくり歩んでいる。




  • 自閉症への理解が変わった。

    自閉症の方は、感覚のある一部をとても過敏に、ある一部をとても鈍感にして世界を見ているのかな、と。
    今までは勝手に距離を感じていたのだけれど、その距離が縮まったような気がした。

    印象的だったのは以下

    「わたしは明言されないやりとりは、まったくわからない。

    だから友達になるまでの微妙なやり取りは、なにが起こっているのかわからない。あなたの態度が不愉快なので、やめてくださいと言ってくれる人はなかなかいない。あなたの態度が好きなので一緒にいましょうとも言わない。

    友達関係だけではない。生活面でも海外ではこんなことをしてはいけないとガイドブックに書いてある。言葉の意味も書いてある。さらに、行く前に授業でこんなときはどうするかシュミレーションもやった。

    日本では行動の仕方が書いてある本がない。
    日本語は暗黙の了解が多い。それをやってはいけないと知っていますよね。そんなルールの上で社会が回っている。これがわたしたちにはしんどい。」


    そうなの!私もそれはしんんどいよ!って答えたくなってしまった。

  • 自閉症の著者が、普段どんな風に世界を見ているのか、何を考えているのかについて、とても分かりやすい文章で綴られている。
    幼稚園の先生を車だと思っていたり、猫と言おうとして山羊と言ってしまったり、当事者だからこそわかるリアルな視点に学びを得た。
    もちろんこれが当事者全員に当てはまる訳では無いということを念頭に置いた上で読むのが大事だと思った。
    自閉症の一端を知るのに最適な一冊。

  • 自分のことを15歳でこんなにも客観視して言語化できていることに驚く。
    それだけ(彼の言葉を借りると)事件がたくさんあり、サバイバーだからなのだろう。
    発達障害が描かれると本でもドラマでも映画でも、どうしても誤解が生じる。発達障害の人はみんな驚くと走り出しちゃうんでしょー!?みたいな感じで。
    この本を読みながら著者である彼の想いや特性が自閉症の人の普遍的なものだと読者が誤解しないか心配になった。が、あとがきを読むとちゃんとその辺も書かれていた。
    お母さんの手記も良かった。

    一つだけ…。学習障害のくだりだけ、誤解を招く書き方が気になった。

  • 当事者が書いた本。
    こういうふうに見えてるんだ、感じているんだと知ることができて、嬉しかったです。

  • いろいろな感情が湧き上がってきました。
    4歳の時に自閉症スペクトラム症と診断された16歳の藤田壮眞さんが自分自身の過去と未来について書いた本です。
    自分自身のことを客観的に取扱説明書のように書いていてすごいの一言しかないです。
    この1冊を作り出すまでどれだけの時間を費やしたのか、どれだけ沢山の人が関わったのかを想像すると、この本の意味、重みがとてつもないものに感じます。

    9章「これからのことについて」で、「もう少し、あとしばらく子供でいい。」と言う壮眞さんは、すでにもう思慮深さを携えた大人なのだと感じました。
    「逃げるのは、理想と違う自分を許すこと。たぶん、そういう意味だ。」

    繰り返して読もうと思います。

  • まずはタイトル、「私は、あなたと私の区別がつかない」
    どゆこと?発達障害の人って世の中全部の人が自分なの?
    「サリー・アン課題」の例えがわかりやすい。自分の知ってることはみんなが知ってる。他人に感情があることも認識できない。
    他にも彼特有の世界があるのだが、健常者向けにできている社会と彼の間に強烈な齟齬があることがわかる。

    オーストラリア研修を体験して、
    筆者には英語のダイレクトさと社会のストレートさが生きやすいと述べていた。日本語も日本の社会も曖昧さや暗黙の了解が多いが、彼には苦手な分野だ。

    しかし彼は諦めない。がむしゃらに困難に(主に学習)立ち向かう。彼の「快適な居場所を失いたくない」という執着が積極性を生んでいるのだろう。そのエネルギーに脱帽。

    「一番、逃げたいのは、発達障害からだ」

    「逃げるのは、理想と違う自分を許すこと。多分、そういう意味だ。」

    誰もが他人と違う特性を持っている。私も怒りを不要に長引かせ、周りの雰囲気を壊す困った癖がある。そのような特性の現れが社会生活に困難が生じるレベルかそうでないかの違いだけ。その線引きに絶対の指針はない。住んでいる国、環境、時代によって変わると思う。

    「発達障害は治らない、でも成長することはできる」。彼の言葉の力強さ。

    私にできることは多分多くない。
    私に見えている世界が絶対でがないと認識することがまず第一ステップ。

  • 中学3年生夏の作文コンクールで文部科学大臣賞をとった自閉症の高校1年生が、これまでに見て感じてきた、自分のうちとそとのお話。

    悩みながら生きるということはだれにでも共通しているが、自閉症の人にはパターンがあるので、パターンのカテゴリ分け、自覚、継続して覚える、ということで成長していくらしい。家族や友達や先生との会話が多く、そこからたくさんの糧を得ているのだろうと思わせる筆致が美しい。普通のエッセイとしても十分におもしろい。

  • 発達障害をもつ子供の親としてこの作品は現実的で学びの多いものでした。
    特性は人それぞれだとして本としての容量を書き上げられたことは凄いなと。今までのことを記憶出来ているから恐らく純度の高いまま綴られたのだろうな。

    本人ですら自分の特性、苦手なこと好きなことを理解し他者に伝えるのは難しいのにそこを理解したうえで、そんな自分をけして卑下することや不貞腐れることなくこの自分と生きる限り付き合っていかなければならない。と考えられるのは本人の努力は勿論学校や医師や支援されていた方達の誠実さゆえなのだろうなとも思いました。

    作中で急に電車が止まってパニックになってしまったとき、お母さんに電話をして振替便に乗ることができた経験が綴られています。このとき、著者は何もない空っぽなOSに新しくやり方をインストールすることで次回から同じことでパニックにはならないだろうとあります。
    これが私には衝撃で、新たな価値観としてそうなんだ、と腑に落ちました。子供達がなぜ出来ないのだろうと考えてもインストールされていなければ知らないままなのです。
    やり方を知らないから、出来ない。こういうときこうするものじゃん、と思えるのはこちらだけで当事者の彼等には何のこっちゃなんだなと。

    発達障害に対して大きな偏見もないけれど理解はそこまで、という人に手にとって見て欲しい作品です。理解云々よりも同じ世界を見ているとしても同じように見えているとは限らないんだと知ってもらえたらいいなと思いました。

  • ずっと気になっていた本。
    高校1年生の自閉症当事者の方が書いたエッセイ。

    自閉症をもつ人がどのように感じているか、どのように世界を見ているかの一面が知れてとても興味深かった。

  • とてもわかりやすかった。
    本人ももちろんだが、お母さんの懐の深さと理解に驚いた。

  • 「基礎からやってもらえない。みんな知ってるけど、それをどこで習いましたか、わたしは知らないのですと毎日思っている。」p142

    「わたしは、わたしの中の発達障害の子を飼い慣らす。(中略)彼をたしなめてサポートしながら生きていかなければならない。」p212

    ------------------------------------------------

    高校生の自閉症当事者によるエッセイ。

    とにかく著者の言語化能力がすごい。幼稚園、小学校、中学校……と特別な成功体験でも特別な不幸体験でもない日常がありのまま淡々と書かれているのだが、自分の特性(感覚)をコンピュータやヘレン・ケラーなどに例えていて分かりやすく、当事者ならそうそう、ときっと頷けることもあると思う。

    一方で、あれは辛かった、これも辛かった、と悲観的に書きそうになってしまいそうなところを、“今の著者から見て”さらっと客観的に綴っているところに、著者の人間としての成長が表れているように思うし、成長しながらこんなにも自分自身をよく観察しているのだな、と感じた(私は障害者歴5〜6年になるというのにまだまだである)。

    「自閉」「発達障害」というと世間ではどうも悪いイメージが付きまとうが、各ページには著者の体験や頭の中をイメージした手書きのイラストも収録されていて、自閉症者(発達障害者)は定型発達者が思う以上に内面世界が豊かなのではないか、と私は思う。



    「あらゆることは今起こる 」「ADHDですけど、なにか?」などもそうだが、発達障害当事者が書くエッセイは良い意味で皆それぞれの体験(スペクトラム,幅)があり、当事者から見てもやっぱり面白いなあ。

    「この絶妙に奇妙な風景を伝えたい」p219 という著者が、これからどのような経験をし、どのように「絶妙に奇妙な風景」とその変化を伝えてくれるのかがとても楽しみだ。

  • 本人の健気さや明るさも良かったけど、
    お母さんやホストファミリーなど
    周りの大人の懸命さにも泣けてくる。

    ノートの落書きみたいなイラストが
    とても愛らしいし、落書きではなく
    ちゃんとイメージ化してくれるから
    見てる世界がわかりやすい。
    イラストも相まって、自閉症の彼には
    どんな景色が見えてるのかが伝わってきた。
    景色を文字で表すって相当難しいと思うけれど、
    本当に上手な表現で(でもシンプルでわかりやすい)
    素晴らしかった。
    ────────────────
    ・幼稚園の頃のわたしは困っていなかった。代わりに母が困っていた。

    ・羞恥心。これはかなり高度だと考える。理解するには、わたし以外にも心を持った人間がいると気がつかなければいけない。他の人からの視線を意識できて、見られていると感じなければわからない。

    ・定型発達の人たちには、あたりまえなのかもしれない。ひとつひとつの情報を、取捨選択する。それを自動化して、いらない情報をフィルタリングする。全ての情報から、必要なものだけが存在することにして過ごす。(略)しかし、わたしは全部が見えている。(略)情報は全て並列に追ってくる。順番や距離はない。新しいも古いもない。必要と不必要。重要性。時系列でも並ばない。

    ・困ったことがたくさんあっても、自分を卑下しない。不貞腐れない。気高く生きるとも言える。

    ・友達関係だけではない。生活面も海外ではこんなことをしてはいけないと、ガイトブックに書いてある。(略)日本では行動の仕方が書いてある本がない。

    ・母がいなければ、わたしは生きていけないかもしれない。(略)これに対し、母はそんなに動じていない。
    人はいつか死ぬもの。そして何事もなく、日常は進むもの。あなたはちゃんと生きていけるから、大丈夫。あなたの準備ができるまで、お母さんは生きてるよ。なんの根拠もなく、母は言う。ふと思いついた不安も、うっかり口にできない母も大変だと思う。

    ・ちょうど良い加減。やはり分岐点は、通り過ぎてからじゃないと分からない。わたしには、
    逃げ時が分からない。いつか、わたしもいまよりもっと世界を掴める日が来るだろうか。

    ・逃げるのは、理想と違う自分を許すこと。
    たぶん、そういう意味だ。

    ・この絶妙に奇妙な風景を伝えたい。旅行に出掛けたら、その風景を誰かに見せたくなるように。見たことのない柄の猫に出会ったら、思わず写真を撮ってSNSに投稿してしまうみたいに。わたしの話は、そんな気持ちで公表している。涙と関係のないところで、自閉症の話がしたい。(略)自閉症は、イコールで不幸では
    ない。つらいことも、そうでないこともある。

  • 著者は15歳。自閉症当事者。
    自らの見えている世界を文章で表現した本。

    「私はこの本に書いたように、幼い頃は周りが見えなかった。いはま見えている。わたしたちは、ゆっくり成長するのだ。いつまでもずっと同じ自閉症ではない。」
    あとがきより


    こんなに自分のことを客観的にとらえられ、文章にできるのがすごい。自分と他人が違うということを認識するだけでなく、何が違うかまで説明できている。きっとそこに至るまでの背景にたくさんのトラブルがあり、その都度その都度、親御さんや支援者の方々がひとつひとつ説明してきたんだろうなぁと思う。

    周囲から言われてきたたくさんのことを自分の中で消化して「理解できたし求められるようにふるまえる事」「理解できないけど一般的に求められるふるまいができる事」「ふるまうことも難しい事」の区別ができているのもすごい。

    敵を作らないよう育ててきたお母さん
    「学校と戦って、学校を敵にしてしまうのはダメだ」P82
    「けんかしてもいいけど、敵にしないこと。誰もが良い心と、そうでない心を持っている。(中略)憎まない。ものごとの悪い面ばかり見ない」p220

    きっとたくさん大変な思いをしてきた中で、お母さん自身が自分に言い聞かせてきた側面もあったのではないかなと想像する。


    あくまでひとつの事例だけれど、自閉症当事者の、幼少期から高校生になるまでの本人の視点や思考を知るができてよかった。

    中学の担任の先生の言葉「逃げていいから、生きなさい」
    壮眞くんの案アンサー
    「逃げるのは、理想と違う自分を許すこと。
     たぶん、そういう意味だ」

    ――――――
    装丁が「私は私のままで生きることにした」を彷彿とさせるものでちょっともったいないと思った。
    表紙の色も、タイトルに人称代名詞が重ねて使っているところも似ていて、実際、最初は自己啓発系の本と思っていた。

  • 15歳でここまで書ける文章力がすごいです。
    とても分かりやすい文章でした。

    オーストリア研修はとても楽しかったようで生き生きと書かれており、自分も読んでいて楽しくなりました。

    そしてお母様のサポートやアドバイスが素晴らしいです。

    20歳ぐらいになったら、また是非本を書いてほしいですね。(その前に書いてくださってももちろんいいんですけどね。)
    応援しています。

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