- 本 ・本 (439ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047033078
作品紹介・あらすじ
野外性交はアブノーマルな楽しみとされているが、二〇世紀中頃までは日常的光景だった。日本人の男女が愛し合う場所はなぜ屋内に移ったのか? その過程と意味を報道記事・文学作品に探る、性愛の建築史!
〈目次〉
第一章 森の恋人たち
皇居前広場
『ぬれずろ草紙』の女たち
占領軍兵士の性行動
森へ行こう
北海道の性愛事情
「須磨子抱月物語」
都市公園での性交渉
しろうととくろうと
野性の演出
第二章 芸者たちと、待合と
待合とラブホテル
男のあそびと水商売
芸者を買う男たち
売買春か性愛か
抵抗した芸者たち
芸娼妓の時代相
風俗警察と、待合と
警八風と、そのゆくえ
船宿から待合へ
風俗警察の防衛線
第三章 ソバ屋のできごと
場所えらび
ソバ屋へもくる芸者
食と淫がわかれるまで
東京名物とよばれた場所
ソバ屋の北海道
だるまがさわぐ店
銘酒屋の女中たち
別間をそなえた木賃宿
第四章 円宿時代
郊外へ
円タクと、円宿と
円宿へいたるまで
砂風呂の女給たち
女中と鍵
ダブルベッドがしめすこと
アパートの女たち
ラブにつられる男たち
伝統とともに
第五章 鏡と風呂
戦後復興
クラゲのさかだち
共同浴場
家族風呂
鏡の誘惑
娼館のインテリア
待合にあそぶ粋人たち
最後の待合
第六章 ラブホテルの時代
平安の王宮とベルサイユ
女がよろこぶもの
電動ベッドと回転ベッド
電気アンマの可能性
アワおどりもできる部屋
赤線がきえてから
「トルコ」とパンマ
ラブホテルをつくるもの
第七章 意匠、風俗、そして警察
クリスタルな部屋えらび
ベッド・テクノロジーの終焉
シティホテルへむかう恋
性の呪縛をのりこえて
ディズニーランド
新風営法とラブホテル
ビッグ・バン
犯罪と風俗
あとがき
感想・レビュー・書評
-
昔はどこで致したか、という興味深いテーマ。子供の数も多い長屋生活でプライベート空間はどこに。どうやら、野外の場合が当たり前にあったらしく、それが当然のように行われる時代は戦後まで続く。皇居前広場と言うと敗戦後は多くのカップルにとって野外で性行為をするための場所だった。そして、その場所を最初に利用し始めたのは米兵と商売婦。やがて日本人カップルに引き継がれる。女性の背中に落ち葉がついていると勘繰られるから、紳士的に払う。なんとも風流である。
曖昧屋、木賃宿、円タク、円本など聞き慣れない言葉が多い。曖昧屋とは、表向きは料理屋・宿屋に見えながら実は売春婦を置いている、いかがわしい稼業の家という意味。何だか普通に人に対して使ってしまいそうな言葉だ。
日本人の性愛空間を探る面白い本。誰にでもオススメできるものでもないが、そこから見えて来る世界も、あるかも知れない。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
愛を確かめ合う場所
皇居前広場 ソバヤノニカイ
寝@食&淫
ディズニー宮殿 クリスタルホテル
という変遷 -
性愛空間についての研究書。
待合等の施設、屋外から屋内への変遷、などなど色々知ることができた。
最終的に印象に残ったのは、買売春の威力の凄さ。それは色々なものを動かす力を持っているんだと初めて知った。
それにしても人間はセックスしたがり。 -
愛の付いたホテルの歴史の本でした。
-
↓貸出状況確認はこちら↓
https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00158549 -
室内外装飾の変容が玄人素人の差によるという判断。
-
[ 内容 ]
終戦直後には「皇居前広場」という言葉が性交を連想させるほどに、かつては野外性交が一般的だった。
しかし、待合、ソバ屋、円宿、ラブホテルなどの施設がうまれ、人々はもっぱら屋内で愛し合うようになる。
それらの性愛空間は日本独特の意匠をこしらえ、ついにはディズニーランド風の建築に発展するのだった…。
日本人の男女が愛し合う場所の移り変わりを探る、性愛空間の建築史。
[ 目次 ]
第1章 森の恋人たち
第2章 芸者たちと、待合と
第3章 ソバ屋のできごと
第4章 円宿時代
第5章 鏡と風呂
第6章 ラブホテルの時代
第7章 意匠、風俗、そして警察
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
江戸時代の待合から現代のラブホテルまで、日本の性愛空間の変遷を綴った怪著。下世話な話が好きならとりあえず読んどけ!!
著者プロフィール
井上章一の作品





