- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047033689
作品紹介・あらすじ
江戸時代の大名にとって、後継者の確保はお家の存続にかかわる重大事であった。幕府に対する無届(公辺内分)や年齢詐称、当主や嫡子の入れ替えなど、公的な表の史料からは決して窺えないお家相続の実態と、その実情を承知しながら黙認した幕府と大名家との関係を改めて問い直す。
感想・レビュー・書評
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読んだ本 お家相続 大名家の苦闘 大森映子 20230722
これは、小説の題材として読んだものです。
江戸時代の大名の相続は難しい問題を抱えていて、そもそも江戸幕府の初期(~家光まで)は、安定政権を築くために外様大名に対する改易を繰り返してました。とはいえ、平和な時代が三百年弱続くんですから、すべて否定するわけにはいかないんですが。
その改易の理由として後継ぎがいないというのが、無嗣断絶として、全体の半分くらいはこれに当たっていたというもの。
①後継ぎをあらかじめ届け出てなければいけない
②養子を定めて届け出てもいい
③でも、実子に継がせたい(まだ生まれていなくても)
④死の間際や死後の養子届は認められない
⑤時代的に大名も後継ぎ候補も簡単に死んでしまう
ってなことで、家を存続させるのって本当に難しかったようです。
家光の後、家綱以降は大分緩くなったみたいですが、決まりごとは生きていて、幕府に大名の死を隠して一生懸命養子縁組を画策したりする。その事例がこの本では紹介されてるんですが、結構滑稽だったりするし、打算的だったりもするし、興味深い内容でした。
#お家相続 #大名家の苦闘 #大森映子詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった。
末期養子や真逆の立場の「厄介」、華族の家の系譜が複雑怪奇なことなど、これまでいろいろな本から拾った豆知識がどんどん繋がっていく快感があった。何事も因があればこそ果に至るのだなあと思った。
著者はもともとある大名家(池田家)が専門で、その過程で知った相続事例をまとめておりサンプルは偏りがちだが、それはいたしかたのないところだろう。それよりも、本業の途中でふと気になった事象に意味を見出し…という展開が正しく知的で、こういう動機の上に成り立つ本もいいなと思った。
2018/6/5〜6/7読了 -
時代劇に興味がありながら、江戸時代のしきたりや決まり事をしらなかったので興味を持って読み始めました。
大名がどうしてそんなにお世継ぎに必死になっていたのかもよく分かりました。御家取り潰しなんて徳川にたてついたり、反社会的な行為が行われたときくらいかと思ってました。幕府から認めらた正当な跡継ぎがいなければ御家取り潰しとなる訳ですから、必死になって正当性を保とうとする訳です。
遠い親戚を養子にするのは当たり前。年齢詐称、出生詐称更には人そのものの入れ替え。大名や家老の悩みどころだったようです。
幕府側もある程度の事は容認していた節もあり、最後まで面白く読む事ができました。