「待つ」ということ (角川選書)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
3.60
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本棚登録 : 1040
レビュー : 73
  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047033962

作品紹介・あらすじ

現代は、待たなくてよい社会、待つことができない社会になった。私たちは、意のままにならないもの、どうしようもないもの、じっとしているしかないもの、そういうものへの感受性をなくしはじめた。偶然を待つ、自分を超えたものにつきしたがう、未来というものの訪れを待ちうけるなど、「待つ」という行為や感覚からの認識を、臨床哲学の視点から考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 「待つ」ということを、ずっと無意識にしてきたつもりだった。
    待ち遠しくて、待ちかまえ、待ち伏せて、待ちあぐね、とうとう待ちぼうけ。待ちこがれ、待ちわびて、待ちかね、待ちきれなくて、待ちくたびれ、待ち明かして、ついに待ちぼうけ。
    「待つ」ということがこんなにも複雑に枝分かれした行為だったなんて、深く考えたことがなかった。
    恋にも祈りにも介護にも、そして死の訪れにも。
    「待つ」ことは、希望を棄てたあとの希望の最後のかけらである。聴くということも「待つ」ということであり、それは言葉が不意にしたたり落ちるのを、ひたすら待つこと。解決できない問題は、結果を迎えにいくのではなく、流れる時間を信じて待ち続ける……
    「待つ」って難しいことなんだ。

  • 著者は哲学者みたいですから…少々難しかったけれどもまあ、分からんでもないところはありましたよ!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    この本が出版されたのは2006年らしいのですけれども、当時よりも今の方がより、人々は「待てなく」なっているんじゃなかろうかと思います…誰もがスマホを手にする時代……買い物などもネット上で容易にできるのであって、わざわざ実店舗まで行ってレジに並んで買う必要などない…

    便利ですけれども、その便利さに慣れすぎて待てなくなっている人が多くなっている…と著者は嘆いていましたね。待てない人というのは往々にしてイライラしているものですから、そんな人が多々増えたらどうなるか……きっと殺伐とした世の中になると思います!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    とりま、この本で紹介されていた太宰治の「待つ」という短編が気になりましたね。機会があれば読んでみますか…。

    さようなら…。

  • 評価をすることも、今の私には憚られる。
    どう表現すべきかも、躊躇われて上手くできない。
    ただ、この本は、いつでもなくまさに今の私に必要だった。
    この折に、じっくりと、時間をかけて読むことができたことが、何よりも有難く幸運なことだと思う。

  • 難解。普段意識していない待つことを意識させられた。

  • 中学の国語で一部を読んで放置していた本。なつかしい。
    待つことに関してのゆるやかでさまざまな考察。待つことの甲斐なさ、時間の流れと言葉、期待と祈り…こういうことだなあと思った。
    待っていることを忘れること、忘れることを待つことが、いつも難しいなと私はよく思う。

  • 2019年10月1日 97冊目(10-1)

  • 体調不良で読めなくなったので中止

  • 子どもの発達において、いちばん難しいけど、いちばん効果的なのが「待つ」という行為だと、子どもを診てくれている精神科の先生がおっしゃっていた。
    そして『精神病棟の二十年―付・分裂病の治癒史』の著者(当事者)が、「親というものは待てないものだ」的なことを書かれていたので、その言葉にハッとして、そう言えば私も子どもの発達ぐあいに関しては、全然待てなかった…と思い、「待つ」ということについて知りたくなり、この本にたどり着きました。

    難しかったー。延長1回して2カ月かかって読了。もっと時間をかけて読まないといけない本だと思う。深くて大きくて全体像が私には見えなかった。だけど介護、認知症の看取り、発達障害児の遅い成長の見守りにも通じる内容がありました。引用が豊富で気になる本が増えてしまいました。
    「遮断」「予期」「冷却」「是正」「省略」「膠着」「退却」は、心の深く入り込んできた。
    中井久夫、春日武彦、宮地尚子、小澤勲、、、興味深い本が多かった。

    「時のしずく」(中井久夫)、「傷を愛せるか」(宮地尚子)へ飛んでみたい。あと『認知症とは何か』も。

  • 結構骨があり簡単には読み進められないが、かと言って歯が立たないという風でもない。蔵書にしてこれから何度か開いてみたいと思わせる何かを感じる。

  • 「待つ」って深い。
    私は何かを待って生きてきたなぁ。これから先も何かを待って生きていく気がする。

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著者プロフィール

1949年京都生まれ。お寺と花街の近くに生まれ、丸刈りの修行僧たちと、艶やかな身なりをした舞妓さんたちとに身近に接し、華麗と質素が反転する様を感じながら育つ。大学に入り、哲学の《二重性》や《両義性》に引き込まれ、哲学の道へ。医療や介護、教育の現場に哲学の思考をつなぐ「臨床哲学」を提唱・探求する、二枚腰で考える哲学者。2007~2011年大阪大学総長。2015~2019年京都市立芸術大学理事長・学長を歴任。せんだいメディアテーク館長、サントリー文化財団副理事長。朝日新聞「折々のことば」執筆者。
おもな著書に、『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、サントリー学芸賞)、『「聴く」ことの力』(ちくま学芸文庫、桑原武夫学芸賞)、『「ぐずぐず」の理由』(角川選書、読売文学賞)、『くじけそうな時の臨床哲学クリニック』
(ちくま学芸文庫)、『岐路の前にいる君たちに』(朝日出版社)。

「2020年 『二枚腰のすすめ 鷲田清一の人生案内』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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