源氏物語の真相 (角川選書)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047034648

作品紹介・あらすじ

光源氏と多くの女性たちの物語は、藤原氏全盛の世にあって、天皇の后を目指す姫君たちや摂関家の子息に、教訓も含め、多くのことを教えてくれる最高の教材であった-。歴史との深い関わりを踏まえ、数々の和歌から巻ごとの物語がどのように作られたのかを徹底的に追究。『源氏物語』の巻々は、源氏が活躍し得た時代の歌や行事を基に、天皇と后の理想の姿を描き、源氏や中関白家など滅びた一族の魂を鎮め、遺された人々を慰め癒そうとしたこと等々、いくつもの真相を明らかにしていく。

感想・レビュー・書評

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  • 源氏物語は紫式部自身が「源氏の物語」と呼んでいたとのことから、これは光源氏ではなく、当時の本当の源氏をさしているとして延喜天暦の治の時代に活躍した源融、源高明がモデルであって藤原道長はモデルではないとのこと。源高明の屋敷・別邸の名前が似ていること、天皇の名前が、小説中では桐壷・朱雀になっているが、この2人が延喜天暦の醍醐・村上天皇に比することが自然と考えられることなども、小説の時代設定が思ったよりも過去になっている可能性がありそうですね。源氏にとっての過去の良き時代を描いたものでしょうか。そして後半には光源氏を藤原伊周、敦康親王(一条天皇・藤原定子の子)の人生と重なる部分もあるなど、源氏物語が必ずしも1人の人物をモデルとした1つの小説として出来上がったものではなく、短編集が天皇・皇后の人生を想起させる部分が多く含まれ、彼らのために書かれていったものであるという説を展開していきます。54巻の名前の由来、本筋と番外編のような2つの流れがあることなども興味深い説明です。巻名の多くが掛言葉からなっている「葵とあふ日」「澪標と身を尽くし」「明石と明かし」「御幸と深雪」などがその例です。幻の書があったのではと言われる「輝く日の宮」は藤原彰子中宮と敦康親王の関係を慮って道長が削除させたのではないかというのも大胆な推理です。  また、藤原氏は「春日」という言葉が象徴していることから、玉鬘が藤原氏の姫としての扱いになっていると思われる記述があることから、むしろ父の頭中将が藤原氏ではないかという著者の推理は大変説得力があります。

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