やさしい精神医学入門 (角川選書 473)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047034730

作品紹介・あらすじ

うつ病、統合失調症、発達障害-。人はなぜ「心の病」に陥るのか。その原因や症状にはどのような違いがあり、医療現場の最前線ではどんな治療が行われているのだろうか?回復可能な病までを「障害」と呼ぶ弊害、投薬治療に対する根拠のない批判、名前ばかりが一人歩きする「心のケア」など、多くの誤解がつきまとうさまざまな精神疾患を、豊富な症例とともに臨床医学の見地から解説。精神医学の基礎を分かりやすく学ぶ。

感想・レビュー・書評

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  • 借りたもの。
    精神医学の現場ではどのような治療が行われているか、を丁寧に解説する。
    その中で、投薬の必要性、重要性を説いている。
    精神医学がまだ未解明――よく言えばまだまだ発見の余地がある――学問であり、それ故に試行錯誤の連続であることが伺えた。

    精神医療の歴史についても書かれている。
    精神疾患の患者は治療の対象ではなく、管理(隔離、収容)する存在だった時代を経てから、有効な治療方法の模索、確立、待遇改善など……さらには精神疾患の患者による犯罪と責任能力の問題まで。

    投薬についての意思の考え方が見える点で興味深い一冊。
    安藤たかゆき『こころを病んで精神科病院に入院していました。』( https://booklog.jp/item/1/4040677382 )、杉山なお『精神病棟ゆるふわ観察日記』( https://booklog.jp/item/1/4800274443 )にも紹介されていたことの詳細である。

    併読した西多昌規『自分の「異常性」に気づかない人たち』( https://booklog.jp/item/1/479422236X )にもあった様々な障害に対し、どの様な薬物療法を用いるかが紹介されている。

    いとうせいこう『ラブという薬』( https://booklog.jp/item/1/4898154735 )でも言及されていた、内因性と心因性(p.57)の詳細を理解する。
    ただ、科学的な対処療法に重点を置いてはいるものの、「それで本当に治療できるのか?」と疑心暗鬼になるところがあった。
    症状を抑えるために投薬する……私はそのために疾患、障害と“せざるをえない”?可能性もあるのではないか?と読んでしまう。
    投薬に効果があるのは事実だが、個人差があるため投薬量を増やすケースがあった。それでも効果が目に見えてよくなるわけでな内容なので、素人は不安になる。
    のんた丸孝『縁距離な夫婦 躁うつといわれた嫁との20年日記 』( https://booklog.jp/item/1/4022141891 )の奥様は凄い量の服用に、自己判断で薬をやめてしまう。
    それに類似するケースも紹介されていたが、そうさせないための手段については何も書かれていない。

    メディアの投薬批判――行政や製薬業界への不信感――に対する、お門違いな偏見に憤っていた。(p.141)

    著者は体面によるカウンセリングに対して、保険がきかないことでの患者(クライアント)の負担が増すことへのネガティブな印象があるようで、私はそれも理解できる。とはいえ、意外と薬に頼らなくても改善するうつ病はあるだろうし……できれば『ラブという薬』に紹介されていたカウンセリングと投薬の二刀流について、その効果と可能性についてはどう考えているのか、知りたかった。

    本の最後には、実際の事件に基づいた模擬裁判員裁判の簡易的な内容も掲載。この内容は衝撃的だった。被告の妄想は客観的にロジックは無いに等しいが、当事者はそれを事実だと思い込んでいる。二転三転している自覚も無いため、罪の意識を持っているようで持っていない。
    判断が難しかった……

  • 基礎的な考え方をはっきり示している点がよい。とても冷静で、難しい面にはほとんど突っ込まず、ちゃんと入門レベルで書かれている。ただ、どうも批判的な文章に思える。

  • 暇暇に読んでいたら、いつの間にか読み終わっていた。
    精神医学について、まとまった知識を得たような、得てないような、特別、勉強になったという感じはしなかった。
    もともと、一般の人向けの解説書なので、これを読んだからと言って、臨床に応用できるわけじゃないし、まぁ、そんなものかと一人で納得。

  • うつ病、統合失調症、発達障害―。人はなぜ「心の病」に陥るのか。その原因や症状にはどのような違いがあり、医療現場の最前線ではどんな治療が行われているのだろうか?回復可能な病までを「障害」と呼ぶ弊害、投薬治療に対する根拠のない批判、名前ばかりが一人歩きする「心のケア」など、多くの誤解がつきまとうさまざまな精神疾患を、豊富な症例とともに臨床医学の見地から解説。精神医学の基礎を分かりやすく学ぶ。

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著者プロフィール

昭和大学医学部精神医学講座主任教授

「2023年 『これ一冊で大人の発達障害がわかる本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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