妄想かもしれない日本の歴史 (角川選書)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047034853

感想・レビュー・書評

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  • もうちょっとトンデモの話と思ってたら、ちゃんとした話だったのでちょっと拍子抜け。
    関西人としては、「関西」という呼称の話が面白かった。

  • 歴史エッセイ。着眼点さすがに面白い。歴史の現場に趣きその地の人の声を差し込むあたりも上手いな。

  • ●:引用

    ●プロ野球の世界に、沢村賞という賞がある。(略)その名は、往年の名投手・沢村栄治に由来する。沢村はプロ野球がまだ職業野球とよばれていた時代に、活躍した。当時の東京巨人軍(現読売ジャイアンツ)で、マウンドをまもったああエースである。(略)戦時下の日本にあって、沢村は三回兵役についている。そして、その三度目に、戦死した。(略)巨人軍はあの戦争で偉大な投手をうしなった。巨人軍もまた、戦争の被害者であると、(略)たしかに、沢村は巨人軍の大エースであった。しかし、三度目の出征命令がきた時には、もうその力をおとしている。投手としては峠をこえ、みかぎられていた。そのため、巨人軍は沢村の解雇に、ふみきっている。(略)現役に未練のあった沢村は、南海軍へ身をよせようとした。(略)南海軍と沢村が、契約をかわしあうところまでいったどうかは,わからない。(略)すくなくとも、巨人軍が沢村を出征前にてばなしていたことは、まちがいない。(略)巨人軍が戦争のおかげでエースをうしなったのでは、けっしてない。(略)南方の海で戦死したのは、巨人軍からすてられたかつてエースなのである。(略)この話に関するかぎり、巨人軍は被害者たりえない。(略)にもかかわらず、たいていの人はこの物語を巨人軍とかかわらせて、思い出す。南海軍を沢村の戦死とつなげて考える人はほとんどいない。(略)けっきょく、こういうことなのだろう。東京巨人軍、読売ジャイアンツは、読売新聞にささえられている。そして、読売とその系列グループには、歴史をつくる力がある。しかし、南海軍、南海ホークスのうしろだてとなった南海電鉄に、その力はない。このちがいが、世間に流通する歴史を大きく左右した。巨人軍をうるわしくかざる話が、まかりとおってきたのはそのためであろう。(略)ここには歴史を考える、そのかぎがひそんでいる。歴史は誰がつくるのか。また、どうしてあるかたよりをもった歴史ばかりが、ひろまってしまうのか。そのからくりを見せてくれるうってつけの事例だと思い、あえてここに披露した。

  • 手軽に楽しめた。
    そして内容は知りたかったことばかり。

  • 思っていたのとちょっと違っていた…。

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著者プロフィール

建築史家、風俗史研究者。国際日本文化研究センター所長。1955年、京都市生まれ。京都大学工学部建築学科卒業、同大学院修士課程修了。『つくられた桂離宮神話』でサントリー学芸賞、『南蛮幻想』で芸術選奨文部大臣賞、『京都ぎらい』で新書大賞2016を受賞。著書に『霊柩車の誕生』『美人論』『日本人とキリスト教』『阪神タイガースの正体』『パンツが見える。』『日本の醜さについて』『大阪的』『プロレスまみれ』『ふんどしニッポン』など多数。

「2023年 『海の向こうでニッポンは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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