和本への招待 日本人と書物の歴史 (角川選書 492)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047034921

作品紹介・あらすじ

平安時代の物語が、なぜ今も読めるのか?1300年の歴史をもつ「和本」には、日本人の知恵、技術、美意識や読書熱がたっぷりと内包されている。素材や綴り方、写本の手法、本屋の仕事など、和本にまつわる歴史を辿り、日本独自の豊饒な文化を一望。『源氏物語』などの古典から江戸の大衆小説、市井の本屋の日記まで、時を超え、今も手にとって愉しめる和本の"ものがたり"を解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 0円購入2012-02-02

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  • <閲覧スタッフより>
    神田・神保町の古書店誠心堂書店の店主が語る和本の魅力。1200年以上の歴史を誇る和本。今の本とは違うところ、変わらないところ・・・和本に魅せられた著者が和本の魅力を存分に紹介します。

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    所在番号:022.31||ハシ
    資料番号:10207815
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  • 2013 11/16読了。同志社大学今出川図書館で借りた。
    図書・図書館史授業用。近世までの図書館史関連。
    これはかなり当たりだった。
    以下、授業用メモ。

    ===
     ・まえがき
      ・源氏物語は正式な本ではないので最初から冊子?
      ・冊子は「そうし」とも読み、「草子」とも書く・・・正規の書物=本ではない、雑草・根無し草のような一段低いもの、との考え方が背景に
      ・平安時代の物語は「草」⇒鎌倉時代には古典=本扱いに、今度は「御伽草子」などが「草」⇒江戸時代には古典などの「物之本」と演劇・戯作などのエンタメ・「草紙」がはっきり別れる
      ・「冊子」の期限は「草子」で「正規の本じゃないもの」ってのは面白いので授業中にプッシュするか
     ・第1章:源氏物語の話
      ・紫式部は源氏物語を「源氏物語」と名づけて呼んではいない。後世にタイトルとして固まったもので、同時代には物語に「正式なタイトル」を定める習慣はない
      ・平安時代・・・物語を書物にする、という考え方が世に現れてくる
       ・当時、物の怪・怨霊の話を「語る」ことには怨霊を鎮める効果があると考えられていたという・・・その語りを文字化する=書物に
       ・当時の正式な文書は漢字で書かれるが、漢字で「物語」は難しい・・・日常の言語と違うので/そこで物語は多く、かなで書かれる
        ・かな/カナは10世紀ころには成立している・・・心情を吐露するような日記や物語に使われる/史実を書き留めるようなのは漢字
       ←・当時ヨーロッパでは中世後期、ラテン語で、羊皮紙で、宗教理論と解説書が専ら流通している時期。まだ自著する人も少ないようなレベル
        ←・そういう意味では漢字はラテン語に近い位置づけとも言える・・・かながあって紙があってよかったね!
      ・あくまで正式な本ではないもの扱い。なので中身も書き写すときにけっこう変えられてしまう
       ←・校訂は13世紀、藤原定家などによってなされているが、まだはっきり固まったわけではない・・・と言われるとか。文学部の皆さんのが詳しそうだけど
      ・平安時代、正式な書物は巻物・・・文字を書いた紙を糊でつないで巻く
       ・唐代に生まれ、宋代に流行りだした折本・・・よく使う経典などでは採用される
       ・そして冊子・・・平安時代中頃の粘葉装(でっちょうそう)が日本初。古くは9世紀初頭に出てきている
        ・学問用のメモ書きとかで使われる
       ・粘葉装は糊を使うのではがれるし害虫もつく・・・数枚分を糸で縫い、それら全体をさらに糸で綴じたもの=列帖装(れつじょうそう)が後に出てくる。特に日本で主流
       ・他に大和綴じあるいは結び綴じと言われる方法も・・・単に紙を重ねて太めの紐でとめるだけ/どれだかはわからないが、源氏物語は最初から冊子だったことは確かそう
       ・優れた紙の供給も既に実現していたことに要注目・・・その点は日本は恵まれている
      ・当初の源氏物語・・・句読点はない/かな文字で構成される
       ・音読すればいい+西洋式との書き方の違い・・・意味的なつながりごとで分かれることはある+墨のつけ方で字の濃さは変わるので、文の冒頭が濃くなるようにしている
        ・中世ヨーロッパの写本なんかとは違ってすらすら書いてはいるので/全部漢字で構成される写経等はかなり細かい。字はずっと同じ濃さ、文字数もずっと同じetc
        ・かな文字はその後、近世に入ってもこんなかんじで枠にはめない
      ・もろもろ考えた復元図・・・粘葉装のとじ方で、結びとじ??
     ・第2章:中世の本づくりの話
      ・前章のような物語たちの多くが現存しているのは・・・後の世、藤原定家のような校訂作業を行なって遺そうとした人物がいたから
       ⇔・cf. アレクサンドリア図書館とホメロス
      ・中世、本に関わる役割を専ら担っていたのは寺社勢力
       ・武家はまだそこまで文字の読み書きに強くない/公家は読み書きに秀でているけど勢力弱小/知識人階級を構成するのは寺社のヒエラルキー上層
       ・書物の収集・保存、書写・校訂作業・注釈作業、新たな本の執筆などを担う
       ・世俗勢力は栄枯盛衰がある⇔寺社は(まあ焼かれたりもするけど)平気で数百、数千年続く・・・物持ちの良さ
        ・日本の文書資料残存度は国際比較しても世界一レベル・・・これは専ら寺社のおかげ
       ・特に力が入っていたのは注釈・・・なんかヨーロッパを彷彿とさせるな・・・
       ・書写は功徳を積む行為。そして優れた偉い僧が句読点を入れたり校訂・注釈を入れたりしていく
        ⇔・つくづくどっかで見た感じだなあ・・・現在ではかえって注釈が邪魔扱いされたりするのも似ている
      ・木版印刷・・・これも寺社が専ら担う
       ・摺経
       ・春日版
       ・鎌倉/京都の五山版・・・仏典に加え漢籍も刷ったりする
      ・中世の本の入手・・・基本的には書写/わずかに本屋の芽生えも?
       ・仏教の経典製作者が、直売りしていたような記録も遺っている/ただしあまりおおっぴらではない・・・経典の売買だし、ということかなあ?
      ・袋とじ・・・16世紀、明代に出てきた、その後すぐ日本にも入ったらしいと言われるが正確には不明。あまりに便利だったのでそれ以前からの本も直すとき袋とじにされるから
       ・誰にでもできる+誰にでも修復できる+糊使わないので害虫とかにも強い
       ・これが普及したことで巻物はぐっと減っていく。正式な本=巻物、という考えはここで途切れる
     ・第3章:売れる本づくり
      ・朝鮮出兵・・・印刷技術を日本に持ち帰る。これが日本の書物観に大きな変化を与える
       ・古活字最大の意義・・・過去、印刷されることのなかった仮名まじり文の印刷につながったこと
       ・嵯峨本の『伊勢物語』が最古か? 連綿体を再現しているのでかなや感じの種類分だけ作ったわけでもない・・・かなりの作業
       ・ん? ここだと嵯峨本=光悦本、という扱いか。樹村房の誤り? あとで事実確認しておく
       ・古活字本、特に嵯峨本『伊勢物語』・・・せいぜい100部の印刷だったが、けっこうな人気でじわじわ売れ続ける
        ・爆発的なわけでもないので、いっきに200-300部刷ろう、ともならない
        ・一定数売れるたびに、再販しようと思うと活字を組み直して刷る・・・再販するなら、また組み直す。無駄! 手間!
         ・ちなみに近代は?⇒活字を作る・・・厚紙で型を取っておく⇒再販時にはこれに鉛を流してもう一度版を再生。簡単!
        ・ずっと売れ続けるような本は当時の活字では無理だ(+以前にも話した、そもそも活字作るのも手間+絵を入れるなら無駄)・・・木版でやろう!
         ・木版・・・大事に保管すれば長持ち。鎌倉時代の版すら現存している。そして5,000部くらいは印刷可能
         ・ロングセラーは木版にしよう、ということに・・・『伊勢物語』も後に木版化/近世では木版が主流/これは他のアジア諸国も一緒
        ・そんなわけで最終的に技術敗北するが、活字が出たことでかな交じり文も刷ってみるか、と思わせ、その民間需要を掘り起こしたのはかなり大事・・・商業出版の始まり!
      ・古活字で出版は商売になると気づかせる+民間の書物ニーズも掘り起こす
       ・1624~寛永年間に転換点。古活字⇒木版へ、商人のはっきりした関与、「出版者」の事実上の誕生
       ・商売にするんだから・・・より読みやすく、おもしろく
        ・漢文を刷るなら最初から訓点を入れる
        ・刷るもの自体を辞書、教科書、随筆などに広げる・・・『徒然草』なんて中世より江戸時代の方が知られているとも。
        ・挿絵を足したり、ついには仮名で書いたエンタメ作品を印刷して出すように・・・仮名草子
       ・まずは京都で本屋は成立・増大・・・17世紀末で100軒、18世紀前半で200軒以上
        ・17世紀末には大坂でも本屋が出てくる・・・井原西鶴登場後は京都を圧する勢いに
       ・元禄期には海賊版・パクリの問題すら出ている(重版・類版という。現在の重版とは意味が違う)・・・17世紀末には大坂・江戸の本屋がタッグを組んで町奉行に重版取締を願いで、取締対象にもなったり
        ・実際は本屋たちは本屋仲間という同業者集団を形成、そこで解決。解決できないときに町奉行へ
       ・江戸で出版が盛んになるのは18世紀くらいから
        ・特徴の一つ・・・挿絵画家が個性を発揮し、絵師の名前も本に書かれ、むしろ絵師の名前を売りにする本も。例えば:菱川師宣
        ・その段階でもまだ上方に上るような本はあまりなし?
       ・18世紀半ば、1750年くらいから三都間での書物流通が実現してくる
       ・当時の本屋は手広く商売・・・自分が出版したものだけでは充分な利益が出ない
        ・よその本もあわせて手広く品揃えを作る/古本の買い取りも
        ・来店者に売るほか、上客には新入荷本を配って回って買うかどうか訪ねたりも/目録売りも含め、いわゆる「外商」にかなり力
        ・貸本業を営む本屋も
       ・「本替」・・・今に通じる、本屋同士が品物を現金の替わりにやりとりする
        ・いったん現金化⇒相手の品物を現金で購入、という手間が省かれている
       ・いろいろシステムを発達させていたが・・・近代にはぶっ潰されている
        ・一つには西洋式の印刷や、出版・小売の分化
        ・もう一つは・・・国文の人は違うかな? 自分も含め、大半の日本人は、くずし字読めない・・・くずし字教育をやめてしまっている=版木はあれど・・・
     ・第5章・・・草と本
      ・草・江戸時代に花開く・・・仮名草子、浮世草子、草双紙、浄瑠璃本。特に浄瑠璃本は最底辺。書籍目録に載りすらしないことも
       ・さらに人情本、洒落本、読本etc・・・また、ずっと出続けている仮名草子は古典になって物之本扱いになることも

  • 読めもせんのに、また「和本」本を買ってしまった。和本というと江戸時代が頭に浮かぶけど本書では源氏物語から語り起こしている。

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