老い衰えゆくことの発見

  • KADOKAWA (2011年9月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784047034952

作品紹介・あらすじ

老い衰えてゆくなかで老人は、そして介護者はその事実とどう向き合うのか。複雑な感情に彩られた高齢者ケアの実像を家庭や介護施設の具体事例で描き、老いを柔らかく支える社会制度を介護の場から展望する。

感想・レビュー・書評

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  • 自尊心と自己同一性を守るために繰り広げられる対処が痛ましい。自らを守るはずの盾が相手を攻撃してしまう矛となってしまうのは、なかなかに悩ましいところだ。「できること」を基準にしているからこそ「できないこと」が否定的評価となるのだけど、「できること」以外に基準となるスケールは無いのではなかろうか。

  • 老いとケアをめぐって、ほぼどの頁にも鋭い切り込みが見られる。そこはきわめて政治的な場だったのだ。ミクロとマクロをつなぐ記述が見事。しかし、見事などと手放しで言ってられないほど、自分事であるのが老いとケアである。

    また、本書の真価を理解するためには、社会学が切り開いてきた地平を知っておくことが必要であろう。それはジェンダーであり、家族であり、国家であり、組織であり、施設化である。

    この本には答えはないかもしれないが、答えを出さねばならない切実な問いと、答えを出すための材料はふんだんにある。ヒントは自尊心を手なづけることに、あるのではないか。

    ・「できる私」の物差しこそが<老い衰えゆくこと>を過酷にする
    ・「『忘れたこと』を忘れた状態」であることは強く感受する
    ・忘却と記憶という情報処理装置で自己を保っている
    ・周りに先取りして、自分をバカにし、命がけで自らの存在を守る
    ・他者へのまなざしの敏感さ、他者からのまなざしの敏感さ
    ・そこで語る/語られる言葉が、介護者の現実の参照点となっていた
    ・罪の意識、嘘の意識、自己の燃え尽きという特徴的な態度
    ・相手の気持ちを考えてしまうが故の閉塞状況

  • できていたことができなくなる体、そしてこころも含めてどっちつかずの存在だと語る。老いは個人の事象でありながらも、高齢社会の多数派となった時、その存在の意味は社会的なものになる、いわば社会学として取り上げた時には・・こうなるというのは分かったし、規範化された社会的な老いからの俯瞰する姿を予測させてくれたのは意義あるが・・。
    老い衰えていくことを社会の軸として見ていくことの方向と回答はどうなのだろうか。

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著者プロフィール

天田 城介(アマダ ジョウスケ)
社会学者。1972年、埼玉県生まれ。中央大学文学部人文社会学科社会学専攻教授。著書に『老い衰えゆく自己の/と自由』(ハーベスト社)、『〈老い衰えゆくこと〉の社会学 増補改訂版』(多賀出版)、『老い衰えゆくことの発見』(角川選書)など。

「2024年 『臨床哲学への歩み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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