邪馬台国の考古学 魏志東夷伝が語る世界 (角川選書 503)
- KADOKAWA/角川学芸出版 (2012年3月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047035034
作品紹介・あらすじ
九州説か畿内説か。『三国志』東夷伝倭人条(「魏志倭人伝」)の解釈から、数多くの議論がなされてきた邪馬台国論争。本書では、まずこの東夷伝がそもそもどんな天下観で記されたものかをはじめて解明。従来の「解釈」に決定的な楔を打つとともに、3世紀東夷諸国の境域・王都・墳墓・遺物などと邪馬台国との関連を考古学的に論証。卑弥呼=箸墓古墳説の補強、難升米=黒塚古墳の新説を展開し、東夷伝の新たな世界を描く。
感想・レビュー・書評
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「あとがき」にありますが、著者は1973年の志賀島の金印出土推定地の発掘調査、1975年の邪馬台国への道「野生号」の公開実験への参加が魏志東夷伝研究の始まりだとしています。
そして、「魏志東夷人伝」を倭人伝だけでなく『三国志』および『三国志』「東夷伝」のなかでとらえている。
東夷伝には魏の天下観ゆえに国家的政治利害関係がからみ、事実(史実)と虚実が入り混じっているとしている。
また、天下思想にもとづく侵略戦争、征伐の問題も見えてくる。
つまり、東夷伝には、扶余、高句麗、韓、倭などの「東夷」諸種族について書かれているのだ。
ということは、倭のみならず東夷諸国にとって、貴重な文献資料である。
しかしながら、邪馬台国はごこだったのか?
重要なことは、『三国志』の夷狄思想からの脱却ができるかがポイントであると著者はいう。
内容ですが、
第1章 魏志東夷伝と天下概念
第2章 東夷伝の国々――その王都と境域
第3章 洛陽・帯方郡・倭
第4章 韓の辰王と倭の卑弥呼
―—月支国・狗耶韓国・邪馬台国
第5章 帯方郡から万2千余里――邪馬台国へ
第6章 邪馬台国への道――洛陽から万7千余里
第7章 倭国王と邪馬台国
——邪馬台国に存在した2系列の王
第8章 巨大前方後円墳と東アジアの王陵
です。最近の数々の新たな古墳発掘により、倭国の王都の解明が進んでいるようです。
今後ますますの進展がまたれるところであります。詳細をみるコメント0件をすべて表示