- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047035140
作品紹介・あらすじ
命を言祝ぐ歌、愛しき人を恋い慕う歌、魂を鎮める歌…。112首の歌を収める『古事記』を歌謡劇として読み解くと、神々の息遣いが今ここに甦ってくる!自らの命を犠牲に子をなすイザナミ。母を知らず、乱暴狼藉を尽くした果てに一転、英雄神となるスサノヲ。蛇にも化身する恋多き神、大国主…。命の再生と祝祭、悲嘆と鎮魂に彩られた日本の始まりが見えてくる超『古事記』入門。
感想・レビュー・書評
-
『古事記』をテクストとしてではなく、「うた」や「舞」による神話的生命との共振として捉えなおす試みと言えるように思います。おそらくは、折口信夫の著作を読むような仕方で本書を読むことを、読者に求めているのではないでしょうか。
『古事記』には、数多くの歌謡が含まれており、歌物語や芸能的な要素を持っています。天地自然に対する祭りがあって初めてまつりごとがある、つまり神事優先こそが古代歌謡のコスモロジーだと主張する著者は、『古事記』に登場するさまざまな神々のエピソードを紹介しながら、彼らがどのように歌い、どのようにまつりごとをおこなってきたのかに注目しています。
また著者は、『ギルガメシュ伝説』や『旧約聖書』、『アーサー王伝説』といった世界各地の神話や物語と『古事記』の内容を比較していますが、そこでも問題になっているのは、テクストとしての神話の根底にあると想定されている、身体的な共振に根差した生命との感応のあり方の違いであり、いわばそれぞれの神話の「しらべ」や「ひびき」に耳を傾けることで、『古事記』の独自性を明かしているように思われます。
少し気になったのは、著者は『古事記』において神々の「笑い」が「咲ひ」と表記されていることに触れて、神々の笑いに花が咲くような生命の原理を見ようとしている点です。これは順序が逆ではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんか、古事記とカタカナって合わないなと。