百人一首で読み解く平安時代 (角川選書)

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  • KADOKAWA/角川学芸出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047035164

作品紹介・あらすじ

天智天皇にはじまり順徳院に終わる私撰和歌集「百人一首」。ここには平安朝の8人の天皇や、保元の乱の勝者・藤原忠通と敗者・崇徳院、歌人としては一流ではなかった紫式部などの和歌が番号順に並ぶ。藤原定家はなぜこの百首を選び、なぜこの順番に配列したのか。日本を代表する百人一首の研究者が、定家の王朝への想い、巧妙な歌の配列と撰歌意識を読み取りながら、百人一首を新解釈。歴史書としての新たな側面を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 百人一首とは何か。
    ―和歌で綴る平安朝の歴史―
    これが筆者の答えだ。
    巻頭の天智・持統天皇と巻末の後鳥羽・順徳院はともに親子天皇として対をなしている。
    また、筆者曰く、桓武天皇の曾祖父にあたる天智天皇は平安朝天皇の始祖、一方の巻末は、承久の乱で鎌倉幕府に敗北した平安朝終焉の天皇である。
    この対によって百人一首は、平安朝という歴史を作品の中に封じ込めている。

    また、百人一首は、勅撰集から撰ぶという原則が存在するらしい。なお『古今集』の編纂方針は、『万葉集』歌は除く、というものだった。そして『万葉集』は百人一首の撰集資料ではないため、額田王・山上憶良などの一流歌人は撰入されていない。
    ところが、99番「人もをし」歌と100番「百敷や」歌は、百人一首成立時期において勅撰集撰入歌ではなかった。このことから逆算して、実はこの二つの歌は当初『新勅撰集』に撰入されていたにも関わらず、鎌倉幕府への政治的配慮から外されたと考えられている。つまり、定家にとってはれっきとした勅撰集撰入歌であり、それを外さざるをえなかった無念さが、百人一首成立の原動力になったのだと。

    本書の特徴は、一首または歌人を他の秀歌撰の評価と比べている点で、百人一首に撰ばれていない代表歌なども引き合いに出し、百人一首の特異性、なぜこの歌人・この歌を撰んだのかを考察している。

  • 中学生のときに百人一首って覚えたな〜という懐かしさから読んでみました。ただふだんこういう本を読み慣れていないのと、古語の知識もほとんど忘れてしまっていたので読み進むのにちょっと苦労しました。
    といっても難しい学術書というわけではなく、なぜこれらの歌が選ばれ、この順番に配列されたのかという視点から書かれていて興味深く読めました。単に歌が素晴らしいからというだけで選ばれたわけではなく、いろいろな思惑が働いて選ばれた歌もあったみたいです。そういうのって、いつの時代も変わらないんですね。

  • 百人一首関連の本をたくさん上梓されている吉海さんの最新刊。ありていに言って、タイトルや「百人一首は『和歌で綴った歴史書』だった!」という帯から受ける印象ほど、吉海さんの他の本との違いはない。とはいうものの、他の吉海さんの本と同様、丁寧にまとめらている。百首それぞれの詳細な解題がメイン。

  • 百人一首はご存知、藤原定家が撰んだ和歌集です。
    様々な人の様々な解釈本が古今通じて出版されていますが、
    今まで、個人的にはそのような解釈本は避けてきました。
    競技かるたから百人一首に入った自分としては、
    百人一首は声で、音で楽しむもので、
    詠み人や撰者の撰歌意識などはあまり考えずに、
    素直に感じたまま楽しむのが好きだったからです。

    ただ、百人一首はそれぞれの歌人の代表歌を撰んだものではなく、
    詠み人が詠んだときの解釈と撰ばれたときの解釈が異なっているものなどもあって、
    深く読み込むと、それはそれで面白そうだ、
    ということがこの本を読むとわかってきます。

    百人一首は選者・藤原定家の秀歌意識や当時の時代背景のほか、
    詠み人の詠んだあとの人生をも包括しています。
    当時は承久の乱後の、武家政権が確立した時代。
    公家衆はすでに政治の表舞台にはいませんでした。
    それゆえ、上級貴族であった定家らは、
    王朝全盛期であった平安時代を懐かしみ、
    かつ厭世的になっていたことでしょう。
    滅びゆく者たちの歌に、我が身を重ねていたのかもしれません。
    この本は「百人一首で読み解く平安時代」という書名ですが、
    それ以上に「百人一首で読み解く鎌倉時代の貴族社会」、
    という感じがします。

  • 基本的に低い評価、もしくは別に代表歌があっても、定家の好みと独断で集まった作品なんだなぁ…

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