妖怪学の祖 井上圓了 (角川選書)

著者 : 菊地章太
  • KADOKAWA/角川学芸出版 (2013年1月24日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047035188

作品紹介

明治時代、人々は狐憑きやコックリさんなどの怪現象に右往左往していた。若き哲学者の井上圓了は、それらに合理的な道筋をつけることこそが哲学普及につながると信じて奔走。柳田國男からは見地の違いから「井上圓了君には徹頭徹尾反対」と言われながらも、開学した「哲学館」(現東洋大学)で「妖怪学」の講義を行い、日本各地で膨大な怪異談を収集した。妖怪学者であり、哲学者、宗教改革者であった隠れた偉人、初の評伝。

妖怪学の祖 井上圓了 (角川選書)の感想・レビュー・書評

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  • タイトルが妖怪学の祖となっているが、哲学者・宗教学者・妖怪学者として突き進んだ偉人のお話。
    妖怪学者といっても、妖怪として信じられている迷信を打破することに邁進した学者で柳田国男とは対極の存在。

    とにかく幕末〜明治時代の人の話はどれを読んでも凄い。
    活力と不屈の精神に圧倒される。

  • 明治の時代に狐憑きやコックリさんなんてのはタワゴトだと証明したくて全国の怪現象を収集したために後世の人から「妖怪学の祖」と奉られることになった男の生涯。紙数が限られるのにハーンや柳田など著名な同時代人との交流や思想なども書き分けているため、井上圓了の思想がかえってぼやけてしまった印象。数ある講演の一つでも再録されていたなら、もっとわかったのではと思えるのだが。小説の主人公の京極堂との比較が分かりやすく、「この世に不思議などない」という点では共通だが、打倒否定されるべき前近代の迷信とまでは考えていない。

    現在では妖怪というと、すでに「モノ」化した一個のキャラクターと考えるが、明治の頃には、それぞれの地方で形を変えて存在している「コト」としての怪異現象だった。この点は重要で、それだけ不思議さと異様さが生々しく感じられたのだろう。

    柳田も妖怪研究を行なっているけど、彼の書いたものは物悲しくて文学的すぎて、現代人には井上の方が私情もなくかえって都合が良かったのだろう。

  • 井上圓了って名前よく聞くけどあんまりちゃんと知らないな、と思って手にとってみた本。
    妖怪学って妖怪の迷信を打ち払うために始まったんだとか、でもその中に「真怪」がある可能性は否定していないとか、某ラノベの設定って結構事実に即してるとこあるんだねーとか思いつつ流し読んだ。

  • 近頃では妖怪学関連で知られるようになった井上円了の伝記。
    かと思って読んだら、円了自体はうすーい扱いだった。
    このタイトルをみて自伝だと思った私は悪くないと思う。

    著者は哲学とか宗教とか論理とか教育とか、その辺に興味のある人らしい。
    近いけれど広い世界だから、全部書こうと思うと散漫になる。
    だから円了というロープをつたって、そこから見える範囲をひとつの本にまとめてある。
    このジャンルにそれなりの興味があればそこそこ面白いけれど、本当に興味があって調べている人には薄い内容だと思う。

    この本のテーマは別に円了じゃなくてもいいんじゃないか。
    同時代という以外に接点がないような人を無理にこじつけて関係者にしたてているようにも見える。
    そもそも読み方があやしい。
    たとえば私が理解できる部分だと、京極堂のところ。
    「妖怪を調べるために本屋をやっている」などの認識を見ると、他のテキストも好きなように読んでるんだろうと思ってしまう。

    あとがきに、円了はきちんと知られていないからこの本を書いた、とある。
    知りたくて読んだのに、円了を知ることができないこの内容なのはがっかりだ。


    著者の姿勢も好きじゃない。
    「哲学にこれほどの期待をかけられるなんて、哲学とは何か、なんて考えている「私たち」にはまぶしい」とか書いてある。
    マイナーな哲学の学校を建てて、時代遅れの仏教や妖怪を真剣に考えた人を書きながら出てくる感想が「あの時代いいなーうらやましい」なのか。びっくり。
    せめて一人称は「私」にすればいいのに。


    文章は読みやすいけれど、ベストセラー新書にありがちな読みやすさ。
    読者を馬鹿だと思っているのか、馬鹿でも読めるように書かないと売れないのか、がんばって面白く書こうとしている雰囲気が好きじゃない。


    p195にある円了の言葉。"非僧非俗心常穏、無位無官身自軽"
    小出裕章がそんな感じのことを言ってたのを思い出した。

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