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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784047035300
作品紹介・あらすじ
〈目次〉
プロローグ
第一章 新生「大宝律令」の子
阿倍仲麻呂の生年
大宝律令の子、阿倍仲麻呂
大宝律令完成の自負
栗田真人の学識と容姿
阿倍氏の複姓
阿倍氏の神話的祖先
阿倍氏の本拠地
阿部一族の人びと
阿倍仲麻呂の父
阿倍仲麻呂は日本の「大学」で学んだか
大宝律令の子、大学に学ぶ
第二章 日本から唐へ
旅立ちの時
ようやくの長安
書物を求める遣唐留学生たち
四門学助教、趙玄黙
疑われた東脩の布
日本の遣唐使は大言壮語して真実を語らない
第三章 科挙への挑戦
太学入学へ
太学で得た人的ネットワーク
太学修学期間の推定
仲麻呂が及第した科挙とは
科挙と文学用臣
科挙に及第するには
第四章 官人として宮廷社会を生きる
九品の人、仲麻呂
崔日知の推薦
文壇の要人、仲麻呂
新旧『唐書』の阿倍仲麻呂伝
第五章 知恵が救った四人の命
天平の遣唐使たち
悪風たちまち起こりて
平群朝臣広成らの運命
致死率九割の熱病、そして幽閉
阿倍仲麻呂の登場と玄宗の援助
渤海経由での帰還を実現させた仲麻呂
仲麻呂は天平の遣唐使とともに帰国を決意した
第六章 阿倍仲麻呂帰国
文学の臣の時代
天平勝宝の遣唐使
御曹司・藤原清河
天皇は歌を贈って寵臣をいとおしむ
天平勝宝の遣唐使たちの長安での活動
朝賀における日本と新羅との席次争い
仲麻呂の帰国
送別宴詩群存在の理由
友情の文学としての唐代送別詩
離別と離別を歌う詩とのあいだ
玄宗皇帝の日本国遣唐使を送る詩
仲麻呂が送別の宴にやって来た人びとに示した詩
李白の歌う仲麻呂の死
第七章 阿倍仲麻呂と王維
一〇五句五四五字の詩序を読む
文壇の寵児・王維
詩序の注解に挑戦
圧巻まさに圧巻
知の共同体の構造
第八章 天の原ふりさけ見れば
遭難、そしてふたたび長安へ
清河・仲麻呂の死
語り継がれる伝え
天の原ふりさけ見れば春日なる御蓋の山にでし月かも
『古今和歌集』の詞書と左注
『土佐日記』の語り
『古今和歌集』と『土佐日記』の語り
実作説・偽作説・仮託説・伝承歌説
エピローグ
阿倍仲麻呂罪人説
本書が描く仲麻呂
あとがき
参考文献
参照テキスト
本書を読むための年表
みんなの感想まとめ
歴史的な人物、阿倍仲麻呂の生涯を深く掘り下げた本書は、遣唐使の背景や文化的影響を豊かに描き出しています。著者は資料を基にした検証を行いつつ、叙情的な要素も取り入れており、読者は仲麻呂物語の語り手となる...
感想・レビュー・書評
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上野先生の本は、資料から検証していく形式を取りながらも、叙情的な部分にも言及しているので、読みやすく感情的にストンとくるので好きだ。
阿倍仲麻呂の生涯、背景をつぶさに解説しているとともに、伝承とのかかわりも紐解いている。「読者たちはいつしか仲麻呂物語の語り手のひとりになってしまう」というのは本当にそうだなあ、と。王維の漢詩の解説は勉強になった。「知の共有」がなければ漢詩は理解できず、これを理解できることが非常に重要なのだということが肌で分かった気がする。現代でも中国の人が詩的なフレーズをはさみこんでくるのも納得。(あと、仲麻呂と李白と王維はほぼ同い年だったのか!)
遣唐使に興味があるものの、遣唐使のどこに惹かれるのか言語化することができなかったのだが、本書を読んで遣唐使たちが抱いていたであろう理想や大志の形を具体的に感じられた、というのが個人的に収穫だった。あと、平安時代の人たちが和歌や漢詩や楽に興じていたのは、唐の文化を重んじる、もしくは文化も政治の一部(しかもかなり重要な位置づけ)という価値観が影響しているのかな、と思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
阿倍仲麻呂への王維の送別詩の序の解釈が載っているので読んだ。
この注釈について、著者は、なにかたいした仕事をしているような口振りで書いているが、そんなに難しい文章だとも思えない。典故については、万葉学者の著者には難しかったかもしれないが、中国古典文学者にとって、そんなにたいしたものだったとは思えない。岩波文庫の王維選集にこれが省いてあるのは、小川環樹が読めなかったからではなく、長くて、いちいち注釈をつければさらに長くなってしまうだけだろう。
高島俊男も長いからと省略していた。(「中国古典詩聚花8 友情と別離」) -
人物叢書の仲麻呂の後に読みました。
人物叢書とは違う説もあり、また上野先生らしく叙情的な詩や歌の訳が読みやすく面白かったです。特に王維の仲麻呂への送別詩の章がなるほど圧巻。意外に天の原の和歌は伝承的な面からのアプローチがメイン。
唐での仲麻呂に関しては人的ネットワークを重視しておりましたね。上野先生は科挙及第説だけど、科挙及第してない説の人物叢書でもその辺りが重視されてたような。やはり仲麻呂に対面的な人間関係構築の才能があったと思われる。
仲麻呂を語る上で真備が必須(あるいは逆も)なのはこの本でも同様でしたが、やはりこの二人全然違うな!というのが色々読めば読むほど実感されますね。そもそも遣唐使がこのタイミングで無かったら全く接点が無かったかもしれない。
天の原の歌に関しては、この歌の余白部分とそろそろ伝説の人に近い阿倍仲麻呂の人生とがセットになった時に増幅されるイメージが後世として語り継がれやすいものだったという気がします。
仲麻呂や清河などの過去の遣唐使が後世同じ遣唐使発遣の際に贈位されたりしてるのは怨霊信仰のようなものだとありましたが、和歌で語り継がれるのもそれに近いと思いました。
やはり遠い世界の伝承の中の人物のイメージのほうが強そう。 -
1年間留学した身としては、まじですごい。言葉も文字も分からんし、周りに日本人がいないのに官僚まで上り詰めるなんて。えげつない。
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上野氏の著作を初めて読んだが、とても読みやすい。阿倍仲麻呂についてわかることとわからないこととを分けながら、しかし当時の状況がイメージしやすく、どんな人生だったか夢見られるようになっている。何度も読みたくなる本。
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さいきん、近代以前の日本と外国との関係に対する興味がふくらみ、関連する本を読んでいます。
この本は、西暦700年頃に生まれた阿倍仲麻呂の生涯を、万葉集の研究者が検証した一冊。
中級貴族の家に生まれ、その学識により遣唐使に選ばれた仲麻呂。
717年頃、唐に渡った仲麻呂は、その目的である学問をさらに重ね、科挙に及第したと言われています。
唐の宮廷社会の中で人脈を作り、出世していく仲麻呂。
皇帝の信頼も得た彼が、長い在唐期間を経て選択したのが「日本に帰る」ということ。
しかしその彼に待ち受けていた運命は・・・。
当時の「先進国」である唐に入り、李白、杜甫、王維といった一流の知識人たちと交流し仲間となった日本人がいたことに、今更ながら驚きました。
科挙については以前、浅田次郎の小説でその過酷な受験の様子が描かれていたので、日本に生まれ育った人がどのような勉強をしたのかと、当時の様子を想像してしまいました。
そして当時の日本という新しい国がいかに、唐という大国に学び国としての形を作ろうとしていたのかも、リアルさを持ってイメージすることができました。
本書のクライマックスは、友人となった王維が、日本に帰る仲麻呂にあてた詩の解釈の部分になっています。
その背景としてに、中国で政治を司る人々に何が求められていたのかが説明されているので、これまで理解できなかった、「歌を読む」という行為の意味がようやく、理解出来たように思います。
小説と比べると読みやすさという点では割引が必要ですが、今の自分にとてもフィットした、知的好奇心に応えてくれた一冊でした。 -
遣唐使を経て、科挙に及第、皇帝から寵愛を受けるまでの高級官僚になった阿倍仲麻呂。遠い昔にこんな日本人がいたことにまず驚くが、そんな遠い昔を史実を調査し続ける研究者(著者含む)たちの情熱に感嘆する。
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最近読んだ本のどこかで、
阿倍仲麻呂と李白等の交流について
ちらりと触れられていたので、
改めてその生涯を知りたくなって読んでみた。
阿倍仲麻呂と言えば、
遣唐使として唐に渡り、帰国が叶わなかった人、
ぐらいにしか覚えていなかったので、
唐での活躍ぶりを知り、驚いた。
そういえば、唐で重用されたと
日本史の教科書にも書いてあった気がするが、
これほどまでとは思っていなかった。
そして、東の最果てから来た留学生が、
皇帝の近くにまで出世することができるとは、
唐帝国の国際性にも驚いた。 -
中国の科挙で登用された文人官僚たちは、四書五経を初めとする基本書の暗誦をベースとする共通知のいわばパターン・ランゲージに支えられて、国政や文芸のコミュニケーションを行う共同体であった、という分析が面白かった。
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