プラトン ソクラテスの弁明 (角川選書 シリーズ世界の思想 1002)

  • KADOKAWA (2018年8月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784047036369

作品紹介・あらすじ

古代ギリシアを代表する哲学者ソクラテス。
その生涯は刑死という衝撃的な最期を迎えたが、その裁判の一部始終をプラトンが記録したのが『ソクラテスの弁明』である。誰よりも正義の人であったソクラテスが裁判で何を語ったかを伝えることで、彼の生き方を明らかにした名著。

幸福であるためには、何が自分にとって善であるかを知っていなければならない。これが知恵や真実を求める意味であり、この意味での善悪の知が魂を優れたものにするーー。古代ギリシア哲学の白眉ともいえる『ソクラテスの弁明』の全文を新訳とわかりやすい新解説で読み解く。「徳」と訳されるアレテーなどギリシャ哲学の概念にも触れつつ、ソクラテスの言動や思想を通して哲学とは何かに迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 哲学なんて興味がなくても誰もが名前は知っている《ソクラテス》。
    ご本人は著作を残していないので、プラトンさんが師匠であるソクラテスが裁判で語ったことを本にしたのが『ソクラテスの弁明』。
    「こんなの当たり前やん」とやっぱり誰もが思う。自分でも、中身を何となく知ったような気になっていたが…お恥ずかしながら、実際に通して読むのはこれが初めて。
    個人的には『弁明』の部分よりも死刑が決まった後にソクラテスが語る言葉の方に重みを感じた。
    長い間、他の文庫本版の『ソクラテスの弁明』が“積読“になっていたのは、この弁明の滑り出しの部分が何度チャレンジしても、正直なところ面白いとは思えなかったからなのだと今回気がついた。
    もちろん、これは人それぞれ。
    《弁明》の部分に充分な意味を見出せる人も多いはず。
    何と言っても哲学の古典中の古典。これを読まずして哲学を語ること勿れって本なのですから…
    これで私もようやく『ソクラテスの弁明』を読んだ人の一人になれました。

    評価にも感想にもなっていないけれど、この版は文字が綺麗で大きいのと、細かく区切って簡単な解説が付いている点で読み易く、挫折せずに済んだ一因。
    この短い書を「何故か分からないが読み通せない」っていう同志の方々にはお勧め致します。

  • ソクラテスとは、どのような人物だったか。

    知恵や真実に気を使い、魂を優れたものに、という思想。無知に対する無自覚ぶりと、無知を自覚している自分の優越性を背景に、ソクラテスが賢者であるという評判が広まる一方で、無知を指摘された人々やその関係者からは憎まれ、数多くの敵を作る事になった。

    授業料も受け取らない。当時、授業料をとって教育するソフィスト、つまり家庭教師的な存在は、国家有数の人物となるための能力、具体的には説得の技術としての弁論術を教えていた。弁論が巧みで博識なソフィストによる普遍的教養の理念とは、人間をより高めることを目指し、他に論争術、競技問答、今で言うディベートの技術の教育が中心。しかし、これは面白い。弁論術を鍛えるためには基礎知識が重要であり、これが博学に通ずるならば、弁論術が学問の基礎になる事もおかしな話ではない。

    やがて、憎しみは募り、ソクラテスは「アテナイの国家が信じる神々とは異なる神々を信じ、若者を堕落させた」と裁判へ。ソクラテスは魂が優れてある事が、人間としての徳(アレテー)であると考え、ソフィストの弁論術に抗わず、死刑を甘受。こうしたソクラテスの生き様を語ったのがプラトンによる『弁明』である。

    本著はこの流れを詳しく解説してくれるので、時代背景も含めてよく分かる。良書だった。

  • アリストテレス、ダレス、スピノザ等掻い摘んで読んでみたがよく分からず。

    こちらの書籍は読者と一対一で寄り添ってくれ、一つひとつ丁寧に解説してしてくれる良書。

    ソクラテスが何を語り、そして何を語らなかったか。彼の語った言葉を正確に読み取ることから何が見えてくるのか。非常に良い読書体験でした。

    アカデミックでシンプルな表紙も良い。

  • 「ただ生きるのではなく、善く生きる」
    自分の生き方、信念に対して、ソクラテスに「それでいいのだ!」と背中を押してもらった感じ。
    いつの時代も、周りがどうであれ、私はやはり、「人として善い生き方」をしたい。無知の知を自覚し、真理を求め、徳を備えられるよう精進しなければ。

    P113
    「お金ができる限り多く入ることには気を使い、そして評判や名誉には気を使っても、知恵や真実には気を使わず、魂をできるだけ優れたものにすることにも気を使わず心配もしないで、恥ずかしくはないのか」

    →魂を優れたものにすること=徳をもつこと

    P160
    「できるだけ善い人、思慮ある人になるように自分自身に気を使い、それより先に自分自身に属するものに気を使うべきではない」
     
    →自分自身に属するもの:富、名声など

    P114
    「お金から徳が生じるのではなく、お金や他のものすべてが人間にとって善きものになるのは、公的にも私的にも徳による」

    →お金や社会的地位がある=「徳」のある人ではない
     徳=魂が優れていること

    徳があってこそ、お金(や、その他)は善いものになる。どう使えば善になるかを知るために知恵や
    真実に気を使わなければならない。

  • 【知らないことを知っている】
    ・固定概念からの脱却。
    ・知の追求。
    ・多数決では計れない真実とは?
    ソクラテスが超人なのか?プラトン、親友クリトン。
    ソクラテスの周りにいる人が卓越されているのか?
    時代を超えて、なおも現代に影響を与える重厚さ。
    今聞いても鮮度が維持される。
    不思議な感覚を体感した。
    時代も土地も環境も違うにもかかわらず、なんだろう?
    善と悪。為になる事とならない事。洗練されたシンプルで美しいと言って良いのか?魂の磨き。
    言葉として言うのは簡単だが、言葉の奥に映る何かがある。
    そこに気づきを求めていく事。
    他人ではなく、常に自分に影響を与え続ける事で周りにも伝播する。
    時間の流れによる知の探求。
    スタートと今と未来とでは必ず考え方に変化が訪れている。
    終わりはない。
    進化し続ける。
    生物としての礎。


  • 岸見先生の本が好きで読んでみました。
    当時の文化や時代背景、政治や裁判の仕組みについても岸見先生の言葉でわかりやすく補足がされているので、哲学の観点以外からも楽しんで読めます。
    「弁明」自体からは話がそれますが、ソクラテスがその生涯をかけてしてきたように、「対話」から得られる自発的な「気づき」が人間の成長に重要だと感じました。
    今後、人に「教える」場面や、立場や考え方の異なる人との議論の際には辛抱強く「対話」するという意識で接してみようと思いました。

  • こういう難しい本や古い本は頭をしっかり使いながら読まなきゃ理解ができないからしんどいけど、まずは乗り切れてよかった。
    本書については、解説や訳はある程度理解ができたけれども、その解説必要?とか文の構造がおかしくて理解し辛いとかいう部分があったので、そういった点で理解に苦しんだ。
    魂を優れたものにする、そのために真実や知恵に気をつかう。自分に付随するもののうち何がためになるのか、それをどう使えばためになるのかみたいなことはあまり考えず、体裁ばかり気にしていた自分にとっては読んでいて苦しかった。こうやって堅苦しく生きてたら精神がもたなそうなので、そこそこ真実や知恵に気をつかいながら生きていきたいね。今の積読減ってきたらパイドンも読んでみる。

  • オススメの古典で出てきたので、手にとってみた。
    「魂の世話をする」という言葉が心に残った。 自分自身も付属するものよりも自分を磨かないといけないと改めて思った。でも、やっぱり付属するものも手に入れたいな

  • 真実によって裁かれる。自分の生き方を正しくない方に持っていき楽をすれば後から真実によって裁かれ辛い思いをすることになる。だからこそ1番楽で安全で容易な道は、間違えに気付いたらそこで改めて正しい道を生きようとすることである。

  • 解説が丁寧で理解しやすかった。

  • 最初からこれ読んでれば良かった

  • 幸せになる勇気を読んでアドラー心理学とギリシャ哲学に興味を持ちこの本を読んだ。非常に面白くあっという間に読んでしまった。岸見一郎先生の翻訳で読みやすく、時代背景やソクラテスの心情が詳しく解説されているのでよく理解できた。
    2500年も前に人間の徳について語っている人がいた事に衝撃を受け、確かにこの考えは今の時代にこそ重要な意味を持つものだと感じた。
    ソクラテスは対話による議論を重視していた点と、ソクラテス程の知識があり人でも知らない事は知らないと自覚しているところが特に共感できた。

    哲学に興味がない人にもおすすめしたい一冊。

    哲学者とは知を愛し求める者
    善美の事柄
    善とは自分のためになること
    無知を自覚しているという知

  • 無知であるというのは全く何も知らないということではなく、「善美の事柄」「最も重要な事柄」について知らないという意味ってあるけど、「善美の知」とか「最も重要な事柄」ってのは詳しくはどういうことなんかな?とモヤモヤした〜

  • 系・院推薦図書 総合教育院
    【配架場所】 図・3F開架 
    【請求記号】 131.2||KI
    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/455851

  • ソクラテスの最期について、プラトンの手によって語られる真相。自分に正直に、まじめに生きたソクラテス。悪と分かりつつ見て見ぬ振りをする。ダイモーン、心の中で正直になれない部分でのザワつきが多い限り善を求めるには時間がかかる。

  • 何度か読んだ『弁明』も、こうして章ごとに平易な解説付きで読むと、今まで読み流していた重要なぽいんとに気づかされ、有益。

  • 東2法経図・6F開架:131.3A/Ki58p//K

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著者プロフィール

岸見 一郎(きしみ・いちろう):1956年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋古代哲学史専攻)。京都教育大学教育学部、奈良女子大学文学部(哲学・古代ギリシア語)、近大姫路大学看護学部、教育学部(生命倫理)非常勤講師、京都聖カタリナ高校看護専攻科(心理学)非常勤講師を歴任。専門の哲学に並行してアドラー心理学を研究、精力的に執筆・講演活動を行っている。著書に『アドラー心理学入門――よりよい人間関係のために 』(ベスト新書)『エーリッヒ・フロム――孤独を恐れず自由に生きる』(講談社現代新書) など多数。共著に 『嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社)がある。

「2025年 『自省のすすめ ひとりで考えるレッスン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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