シリーズ世界の思想 プラトン ソクラテスの弁明 (角川選書 1002 シリーズ世界の思想)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047036369

作品紹介・あらすじ

古代ギリシアを代表する哲学者ソクラテス。
その生涯は刑死という衝撃的な最期を迎えたが、その裁判の一部始終をプラトンが記録したのが『ソクラテスの弁明』である。誰よりも正義の人であったソクラテスが裁判で何を語ったかを伝えることで、彼の生き方を明らかにした名著。

幸福であるためには、何が自分にとって善であるかを知っていなければならない。これが知恵や真実を求める意味であり、この意味での善悪の知が魂を優れたものにするーー。古代ギリシア哲学の白眉ともいえる『ソクラテスの弁明』の全文を新訳とわかりやすい新解説で読み解く。「徳」と訳されるアレテーなどギリシャ哲学の概念にも触れつつ、ソクラテスの言動や思想を通して哲学とは何かに迫る。

感想・レビュー・書評

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  • ソクラテスとは、どのような人物だったか。

    知恵や真実に気を使い、魂を優れたものに、という思想。無知に対する無自覚ぶりと、無知を自覚している自分の優越性を背景に、ソクラテスが賢者であるという評判が広まる一方で、無知を指摘された人々やその関係者からは憎まれ、数多くの敵を作る事になった。

    授業料も受け取らない。当時、授業料をとって教育するソフィスト、つまり家庭教師的な存在は、国家有数の人物となるための能力、具体的には説得の技術としての弁論術を教えていた。弁論が巧みで博識なソフィストによる普遍的教養の理念とは、人間をより高めることを目指し、他に論争術、競技問答、今で言うディベートの技術の教育が中心。しかし、これは面白い。弁論術を鍛えるためには基礎知識が重要であり、これが博学に通ずるならば、弁論術が学問の基礎になる事もおかしな話ではない。

    やがて、憎しみは募り、ソクラテスは「アテナイの国家が信じる神々とは異なる神々を信じ、若者を堕落させた」と裁判へ。ソクラテスは魂が優れてある事が、人間としての徳(アレテー)であると考え、ソフィストの弁論術に抗わず、死刑を甘受。こうしたソクラテスの生き様を語ったのがプラトンによる『弁明』である。

    本著はこの流れを詳しく解説してくれるので、時代背景も含めてよく分かる。良書だった。

  • 岸見先生の本が好きで読んでみました。
    当時の文化や時代背景、政治や裁判の仕組みについても岸見先生の言葉でわかりやすく補足がされているので、哲学の観点以外からも楽しんで読めます。
    「弁明」自体からは話がそれますが、ソクラテスがその生涯をかけてしてきたように、「対話」から得られる自発的な「気づき」が人間の成長に重要だと感じました。
    今後、人に「教える」場面や、立場や考え方の異なる人との議論の際には辛抱強く「対話」するという意識で接してみようと思いました。

  • こういう難しい本や古い本は頭をしっかり使いながら読まなきゃ理解ができないからしんどいけど、まずは乗り切れてよかった。
    本書については、解説や訳はある程度理解ができたけれども、その解説必要?とか文の構造がおかしくて理解し辛いとかいう部分があったので、そういった点で理解に苦しんだ。
    魂を優れたものにする、そのために真実や知恵に気をつかう。自分に付随するもののうち何がためになるのか、それをどう使えばためになるのかみたいなことはあまり考えず、体裁ばかり気にしていた自分にとっては読んでいて苦しかった。こうやって堅苦しく生きてたら精神がもたなそうなので、そこそこ真実や知恵に気をつかいながら生きていきたいね。今の積読減ってきたらパイドンも読んでみる。

  • 解説が丁寧で理解しやすかった。

  • 最初からこれ読んでれば良かった

  • 幸せになる勇気を読んでアドラー心理学とギリシャ哲学に興味を持ちこの本を読んだ。非常に面白くあっという間に読んでしまった。岸見一郎先生の翻訳で読みやすく、時代背景やソクラテスの心情が詳しく解説されているのでよく理解できた。
    2500年も前に人間の徳について語っている人がいた事に衝撃を受け、確かにこの考えは今の時代にこそ重要な意味を持つものだと感じた。
    ソクラテスは対話による議論を重視していた点と、ソクラテス程の知識があり人でも知らない事は知らないと自覚しているところが特に共感できた。

    哲学に興味がない人にもおすすめしたい一冊。

    哲学者とは知を愛し求める者
    善美の事柄
    善とは自分のためになること
    無知を自覚しているという知

  • 無知であるというのは全く何も知らないということではなく、「善美の事柄」「最も重要な事柄」について知らないという意味ってあるけど、「善美の知」とか「最も重要な事柄」ってのは詳しくはどういうことなんかな?とモヤモヤした〜

  • 系・院推薦図書 総合教育院
    【配架場所】 図・3F開架 
    【請求記号】 131.2||KI
    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/455851

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著者プロフィール

1956年生まれ。共著書に『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)、訳書にプラトン『ティマイオス/クリティアス』(白澤社)ほか。

「2020年 『自然と精神/出会いと決断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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