ノーベル文学賞を読む ガルシア=マルケスからカズオ・イシグロまで (角川選書)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 78
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047036420

作品紹介・あらすじ

ノーベル文学賞受賞から、ベストセラーはカズオ・イシグロ一色に。しかし、受賞作のうち何作読んだことがあるだろう? 古今東西の受賞作を読み直し、多様な作品たちの「面白さ」を作る仕掛けに迫る!

〈目次〉
はじめに
ノーベル文学賞を読むということ

一九八〇年代
一 章 めくるめく勘違い小説『眩暈』            エリアス・カネッティ
二 章 ラテンアメリカと魔術的リアリズム         ガブリエル・ガルシア=マルケス
三 章 アラビア語圏のリアリズム              ナギーブ・マフフーズ
 
一九九〇年代
  四 章 「黒人」「女性」作家                ト二・モリスン
  五 章 「情けないオレ語り」と日本文学        大江健三郎

 二〇〇〇年代
  六 章 中国語としての表現の追求           高行健
  七 章 ワールドワイドで胡散臭い語り      V・S・ナイポール
  八 章 「他者」と暴力の寓話              クッツェー
  九 章 非非西洋としてのトルコ          オルハン・パムク
  十 章 共産主義体制下の静かな絶叫        ヘルタ・ミュラー

 二〇一〇年代
  十一章 ペルー、あるいは梁山泊      マリオ・バルガス=リョサ
  十二章 中国版「魔術的リアリズム」           莫言
  十三章 信頼できない語り手            カズオ・イシグロ

 終わりに
 ノーベル文学賞受賞者出身地分布
 索引

感想・レビュー・書評

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  • 1980年代から昨年まで、ガルシア=マルケスからカズオ・イシグロまでを範囲とした、ノーベル文学賞のいわば「受賞作史」。文学賞を軸にしたこの種の本はかなり珍しい部類に入るのではなかろうか。文学史よりミニマルで、作家論より文脈が鮮明に理解される一冊となった。
    ノーベル賞受賞作家は、その直後大々的に取り上げられるけれども、長くは続かず、読み返される機会はそう多くない。こういう「受賞作史」という仕方で作家を再評価し、読者に読み直しの機縁を与える意義もあるように思う。

  • ノーベル文学賞を読む ガルシア=マルケスからカズオ・イシグロまで (角川選書)、読了。受賞作に共通するキーは、孤独だと感じた。民族としての孤独、性別としての孤独、個人としての孤独。孤独が複雑に絡み合って、透明な世界を作っている。孤独こそが人間を形成しているのかも

  • 個人的に文学賞への興味が覚めやらぬ今日この頃、本屋さんで色々物色しているさなかにふと見かけて、これは買っとかんとってことで。小説のみならぬエンタメ全般をひっくるめても、基本的に80年代以降が好物っていう、自分の趣向ともピッタリ合う。という訳で、読む前からつまらない訳はない状態なんだけど、やっぱり楽しく読めました。読んだことのない作家が過半数で、またまた気になる本が数多出てくることになったけど、それもまた良し。読んだことある中で、マルケスと莫言の類似性が指摘されているけど、実はマジックリアリズムとして真逆の手法、っていうのにはなるほど、って納得。きっと、それぞれの作品を読んだ後に紐解くと、また違った味わいがあるんだろうな、っていう。そういう意味で、手元に残しておいて、タイミング毎に読み直したい内容でした。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:902.05||H
    資料ID:95180497

  • 著者の橋本さんが言及しているように、ノーベル文学賞というと、「村上春樹さんが受賞するか」とか「日本人がいただいたか」ということのみが話題になってばかりという印象を私も常々感じていた。ではそういう私自身もノーベル文学賞をとった方の作品を読んだことがあるかといえば恥ずかしい事に全く無いと言ってもよい。(川端康成さんの作品でさえ、きっちり読んだとは言えないていたらく…)村上春樹さんの作品はほぼほぼ読んているのですが。
    とうしてもハードルが高いと思い込みがちだったが、橋本さんの解説で私の中でだいぶハードルが下がったので、読んでみたいという気持ちが強くなった。ガルシア・マルケスの「百年の孤独」は以前から読んてみたい気持ちはあったし、他のあまりこれまでの生活で接点のなかった国々の作品にも挑戦してみたい。

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著者プロフィール

1982年埼玉県生まれ。慶應義塾志木高等学校卒業。慶應義塾大学大学院文学研究科中国文学専攻博士課程単位取得。博士(文学)。専門は、中国語を中心とした文体論、テクスト言語学。現在、お茶の水女子大学基幹研究院准教授。著書に『物語における時間と話法の比較詩学 日本語と中国語からのナラトロジー』(水声社、2014年)、『越境する小説文体 意識の流れ、魔術的リアリズム、ブラックユーモア』(水声社、2017年)、『物語論 基礎と応用』(講談社選書メチエ、2017年)、『中国語実況講義』(東方書店、2020年)、『中国語における「流水文」の研究 「一つの文」とは何か』(東方書店、2020年)、『「文」とは何か 愉しい日本語文法のはなし』(光文社新書、2020年)などがある。

「2022年 『中国語とはどのような言語か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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