作品紹介・あらすじ
「困ったときの神頼み」とはよく言われる言葉だが、じっさい日本の神々は古来、人々の暮らしのなかで「都合よく崇め、招き奉られる(旅する)」存在であった。
大国主神の放浪の旅、山幸彦の海中への旅、吉備津彦命の助っ人の旅、倭姫命の伊勢への旅など、記紀等にあらわれる神々の姿を遡りつつ、連綿と日本の中で受け継がれる「原初」の信仰や神事の姿を掘り起こす。
感想・レビュー・書評
絞り込み
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大国主神、倭姫命、倭建命など、記紀等の旅をする神々の足跡を辿ることで、日本の原信仰を探る本。
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私自身の古事記についての知識が浅く、いまいち理解ができないところもあったがとても面白かった。
時代とともに神々も進化していく、寛容な時代があったのだなととても癒された。
吉備津彦命と倭建命の章は、元ネタをなんとなくだが知っていたので理解しながら読めて大変面白かった。
古事記と日本書紀は完全に別物だと思っていたので、古事記がさらに編纂されたものが日本書記と知って驚いた。この辺りの知識をつけたい。
山幸彦の章で、お産の立会いが昔はタブーだったと知り驚いたとともに、その理由が
p92「妊婦の健康を維持するための隔離であった。家事からも夫の世話からも解放された。」とあり、現代でもタブーにした方が妊婦さん休めるのではないかな?と思ったりした。
また、著者の遊廓成駒屋を拝読し人柄に惹かれこの本を手に取ったので、ひめを比売と書くことに興味が湧いた。なぜ売るの字が使われたのかしら。
原始信仰から西洋では一神教に日本では自然信仰を残しつつ神仏習合と地域の来訪神の多様な信仰へ
島国と島続きの違いなのかわからないがこの違いが気になっていたので、終章で西洋では土着の来訪神がキリスト教と融合して伝わったのではないかとあり、なるほどなと思った
伝わる宗教もその土地や国との相性によるのかな?と思ったり
古事記をちゃんと理解してからもう一度読もうと思う。
著者プロフィール
神崎 宣武(かんざき・のりたけ):1944年岡山県生まれ。民俗学者。武蔵野美術大学在学中より宮本常一の教えを受ける。長年にわたり国内外の民俗調査・研究に取り組むとともに、陶磁器や民具、食文化、旅文化、盛り場など幅広いテーマで執筆活動を行なっている。現在、旅の文化研究所所長。郷里で神主も務めている。主な著書に『大和屋物語 大阪ミナミの花街民俗史』『酒の日本文化』『しきたりの日本文化』『江戸の旅文化』『盛り場の民俗史』『台所用具は語る』などがある。
「2023年 『わんちゃ利兵衛の旅 テキヤ行商の世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」
神崎宣武の作品