「哲学実技」のすすめ―そして誰もいなくなった・・・ (角川oneテーマ21 (C-1))

著者 : 中島義道
  • 角川書店 (2000年12月1日発売)
3.68
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047040014

「哲学実技」のすすめ―そして誰もいなくなった・・・ (角川oneテーマ21 (C-1))の感想・レビュー・書評

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  • 「あなたにとって真実とは何か」6人の被 験者に対し、著者が直接の対話を通じて、 哲学は今日どこまで実学たるか議論するル ポ。

    一人また一人と著者を嫌い対話会を去っていく。最後のひとりに著者が放った言葉 「出ていってくれ」まで目が離せない。 厳しいんである。

  • 議論  体得、感

    悪 実践

    真理 救済

  • 宇宙ニヒリズム的な考え、とことん詰めて真理を何よりも優先する、そこらへんが哲学者の条件と思う。けどおれもA君みたいな感じだな、それだけじゃ生きられない。

  • 本には二種類ある。ひとつが、知識となり、教養となり、自分の血肉となるもの。もう一方が、自分の目の前にその知識の前提をひっくり返すような「問い」と突き付けて、自ら考えなくてはならないようなもの。
    本書は後者にあたり、対話編を、読みながら、「ああでもない」「こうでもない」と、本当にしっくりくる「真理」を探究していく「対話編」とも言えよう。

    ただ、なぜ、この人の本は、こう、どこかシニカルで「そういうオチか」っていう自嘲的な面白さがあるのだろう。
    章を追うごとに、初めは、社会や世間の欺瞞を哲学によって暴くことに目を輝かせていた人たちが、どんどん、「幸福を求めない」という「哲学すること」に疲れ、一人ひとりと去っていって、結局誰一人来なくなってしまったくだりには「おい!」って思った。

    本書は、ニーチェの言うような大きな理性であるところの「からだ」で考えることを基幹とする。
    それぞれの章のタイトルは
    「健全なエゴイズムを育てる」
    「『不幸』を糧にして考える」
    「あらゆる『悪』を考える」
    「『きれいごと』を語らない」
    「他人を傷つけても語る」
    「身の危険を感じても語る」
    「精神のヨタモノになる」
    「偉くならない」
    「自分から自由になる」

    もう、このタイトルを見ただけで、いろいろと、幸福至上主義者の人々は口を出したくなるだろうが、これらのテーマについて、結論らしい結論を出すこともせず、「ああでもない、こうでもない」とあらゆる角度から、「本当のこと」を吟味していく作業だ。
    私たちも、本書にあらゆるツッコミを入れながら、読んでいくことをお勧めしたい。

    結局、だれもいなくなり、対話は終わってしまうのだが、その過程において、心に響いた言葉を。
    「ぼくがいちばんいらだつのはむしろ自分の中のエゴイズムを直視しようとしない人たちだ。自分が善良と(誤って)自覚している人たちだ。
    彼らはいつも匿名であり集団的であり、顔を見せない。『弱いから』すべて許されると思っている。こうした善良な市民が魔女狩りのように、ありとあらゆるエゴイスト狩りを熱狂的に推し進めるんだ。」
    「真に自分の言葉を獲得するには、絶対的に他者を経由しなければならない。」
    「(幸福論者は)幸福の兆候を認めるや飛びつき、不幸の兆候を認めるやそれを消し去ろうとする。そして、暴力的に、みんな次第に幸福に近づいていくというお話をつくりあげる。幸福という名のもとに真理を押しつぶす。」
    「ぼくらは放っておくと、つい社会的に認知された『よいこと』を語り始める。それは安全で評価されることばだから、つい口に出してしまう。そして、相互マインドコントロールを開始してしまうのだ。」
    「むしろ、『他人を傷つけることに敏感になれ』と言いたいのだ。他人を傷つけることを恐れている人に向かって『なぜそれまでに恐れているのか自己反省せよ』と言いたい。」
    「人々の同情を集めることに成功すれば、思考の体力は限りなくゼロにまで減退する。」
    「同じ言葉を使っていても、その言葉がいかなるところから出ているのかを見極めることが大切なのだ。」

    最後のA君の言葉で本書は、また無意味に戻ってしまう。
    「去って行った人々の言葉を改めて思い返してみると、じつはみんな驚くほど豊かな内容を語っているんです。」
    「先生こそ、『自分から自由に』なっていないんじゃないですか。自分の不幸を理論武装して僕らに押し付けているだけなんじゃないですか。」

    実際に行った対話なのかどうか知らないが、こういういろいろな立場からの目線による対話を実際に書いて、結局対話、問いかけを振り出しに戻してしまう中島義道の自己批判能力には舌を巻かされる。

  • 《感想》

    なかなか面白い趣向の本だ。

    同じ頃に書かれた別の新書を読んで、
    私は著者についてとてもアクの強い偏屈な人という印象を抱いたのだが、
    それは本作においても覆されることはなかった。
    しかしそれでいて、哲学上の思考はとてもスマートだ。
    難解なジャーゴンを繰り出すことは、
    対話篇であるためか、少なくとも本作においては無い。

    哲学を語っているのに、不思議と読んでいて途中で飽きが来なかった。

    そして、著者(と思しきN教授)と聴講生?である6人とを巡る意外な展開。
    ・・・個人的には、終盤は笑える展開といってよいと思う。

  • 不幸論に続き読んだ中島義道さんの本の二作目。

    今回は、中島義道さんの哲学について、講義に来た生徒との対話(生徒からの質問や反論)を通して議論を深めていくスタイルで本が書かれている。本に出てくる人物は、実際にいた人ではないが、実際にいた人を組み合わせたりすることで作ったらしい。

    内容としては、中島さんらしく平易な言葉で、ややもすればネガティブに思われるようなことにぐいぐい切り込んでいく感じで、自分の性に合っていた。
    ただ、その内容をそのまま飲みこんでしまってなんとなく都合良いように考えず、考えを深める上で、生徒からの対話があるこの本はとても読み応えがあった。

    ここで議論されているようなことについて、どう思うか自分もほかの人と話してみたいところである。

  • [ 内容 ]
    学生、サラリーマン、フリーター、主婦、哲学する事に興味がある人が誰でも参加できる塾があります。
    塾生は普段考えているギモンをトコトン中島先生にぶつけます。
    自分から自由になりたい全ての人のための哲学塾。

    [ 目次 ]


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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 06127

  • ちょ、読後感ワルっ。哲学は自分の体験から問いを立て、自分の言葉でそれを語ることってのには共感した。けど正直ちょっとクドイ。

  • 私は常々「事実」「現実」が大事だと考えているが、それを突き詰めるとこういう人間になってしまう危険があるということに気付かされた本。独特の文体が私の肌に合わないし、対話形式が少し読みづらくもあるが薄いのですぐ読めた。書き方はユーモラスというかおちゃらけていて、特に最後のあたりは爆笑、しつつも議論を投げられた感もありちょと不満。まあ、真実を追究するということは考え続けるということで、こういうことになってしまうのかもしれない。世間の日常的な嘘に疑問を感じている人間にとっては興味深く読めると思う。[2006年前半読了]

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