- Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047040113
感想・レビュー・書評
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集中力
谷川浩司
2000年12月1日初版発行
2017年7月17日読了
第一部
トップ棋士の条件
トップ棋士への道
第二部 勝負に勝つ能力を伸ばす
集中力、思考力、記憶力、気力
1962年生。
加藤一二三に次ぐ史上2人目となる中学生(14歳)で四段プロになり、21歳で当時史上最年少で名人位を獲得。「十七世名人」として永世名人の資格を持つ。終盤の寄せの速さから「光速の寄せ」の異名を持つ。
羽生善治のライバルとして数多くの対局をこなす。既に公式戦で115局以上(執筆当時)。年齢は羽生さんの8歳上。
世代でいうと、大山康晴、米長邦雄、中原誠、に次ぐ世代として次代の羽生世代とも数多く対局をこなしている。
読んでいて思ったのは勝負の世界で結構な苦労人という印象。
21歳という若さで名人になった後のスランプ、まだ昔ながらの「豪傑」が住まう時代の将棋界(昔はプロ四段になれば後は本人次第で何をしても良い。酒やギャンブルに没頭する人も)、羽生善治という最強棋士の台頭、そして嫉妬。
阪神淡路大震災での被災。羽生さんの七冠制覇を許すことになった相手が谷川浩司でもある。など。
そうした谷川浩司九段の考えが見えたのは興味深かったです。
勝負の世界の厳しさを谷川浩司の経験値から語っているのだけど、その裏側には人としての弱さもあるのかなあ。と感じる言葉もありちょっと意外に思いました。スランプの時、また羽生さんに対する過剰意識から羽生さんのような真似をして、ますますスタイルを崩してしまったとか
勝負においてリードしてる局面からやや後退してしまった時にまだ五分以上の局面なのに「自分はどちらかというと悲観的になるタイプ」とも言っており、強靭な精神力の持ち主や楽観主義者ではない事が書いてあって知らない谷川浩司の一面を知れました。
他にも棋士として羽生さんも語っている捨てる力=忘れる必要性とか、棋士は基本的に自分で考え抜く力がないと上には行けないとか、効率性だけを求めたやり方は結局は力にならない、自分から「やろう」と考える強さが必要など実生活にも生きる話もあります。
勝負における谷川流の理論を学べる一冊。中々の良書です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第一線で活躍する人は、やっぱ考え方が違うな、と。
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羽生さんをはじめ、棋士の著作を読むのが結構好きです。といって将棋は門外漢でほとんど分からないですが、明晰な頭脳を持つ棋士がどのように論理展開をして将棋を指していくのかとても興味があります。
本著は真剣に考えること、つまり集中について御自身の体験をちりばめて書かれています。
少年時代から天才棋士であった著者が天才の上にあぐらをかかず、集中して将棋に打ち込んだからこそ名人になれたというのがよく理解できました。
いみじくも「天才と呼ばれるのは本意ではない。それでは、費やした時間や努力がかさいそうというものだ」と著者が言うとおり、天才と呼ばれる人は、途中で飽きて投げ出してしまわずに集中を持続させたものが初めて得る称号だと思います。
好きだから持続が出来、持続が天才が生むのではないでしょうか。
以下印象に残った文章
・好きなものがあり、それにどれだけ深く集中して打ち込んでいられるかだと思う。好きなものに打ち込んで育てた集中力があれば、一時は誘惑に引きずられることがあったとしても、すぐに立ち戻れるだろう。
・問題は毎日継続して続けられるかということ。そのためには、好きになることだ。
・朝が来ない夜はない。夜明け前というのは、実は一番暗いのです。
・先を読むのが仕事の棋士から見ると、情報をどんなにたくさん集めても、ロジカルに分析するだけでは情報におぼれるだけということを経験から知っている。(中略)私が将棋を指す場合は、直観によって読む場合が多い。その時の判断基準は完成である。(中略)強い棋士は、奥の深い感性を発揮するのである。
・何事に対して「できる」という方向で考えないと物事は進まないのである。「できる」という方向から攻めると、思わぬアイデアが生れるものだ。また、これは「自分がやるのだ」というやる気を持てば、ぎりぎりの線までがんばれ、そこから不可能に思える目標も可能に見えてくる。
・後悔と反省は違う。失敗の記憶は分析し、整理する。
・いい時ほど記憶が消える。より本能に近かったからかもしれない。何週間かたって、ふっと記憶が戻ったりすることもある。
・調子の良い時に、もっと積極的に問題意識を持ち、現状を打破する気力が必要だ。 -
棋士である谷川さんの一冊。
将棋界のトップを走り続けてきた谷川さんからは学ぶことが多い。
将棋を通して書かれてあることだが,おっしゃっていることはきわめて一般的。大変勉強になりました。 -
まーちゃんの将棋歴はかれこれ25年ほどになるのだが、小学校・中学校に新聞に載る対局情報はほぼ谷川浩司だった。その後羽生さんが出てきてマスコミにも注目を浴びていたが、まーちゃんの中では将棋=谷川である。
将棋をやるということのメリット(とくに集中力が磨かれる)ということがよくわかったが、なるほどいえる部分が多々あった。
①勝負事の勝ち負けは終わった時点ですでに結果であり、それを変えることができないが、かっても自信過剰になり、努力を怠れば勝ったことがマイナスになる。負けたとしても、その敗因を冷静に判断し、次につなげるべく努力して行けば負けたことがプラスになる。
②30代で必要なことは、自分を知ること。後輩たちの新しい感覚をうまく取り入れる必要があるが、あまりに取り入れすぎると自分を見失う可能性もある。自分の長所短所を分析し、独自の武器を持つことが大切だ。30代は自分探し、自分を発見する旅であり、その過程の中で、その人の人間としての幅が広がり、魅力も生まれてくる。
人生論的な本はたくさんあるが、この本はよかった。さすが谷川先生である。早速集中力の訓練と思い、娘に将棋をレクチャーし始める。谷川先生が覚え始めたころの兄のエピソードを参考に、娘に根気強く負けてやりながらやる気を高めさせる教えかたをしたい。それは自分にとっても訓練である。 -
[ 内容 ]
ひとりの人間が大事を成し遂げるためにはいかに集中力が大切であるか、またその集中力をどのように身につけ磨いたらよいのか。
時間に追われつつも結果を求められる現代人必読の「谷川流集中力」!
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
<感想>
将棋棋士の方の2冊目の本書。
将棋は一定レベルを超えると、理論の世界から感覚の世界へと変わる。
感覚の世界とはまさにスポーツの世界であり、そこに興味がある。
だからこそ、脳科学的にも研究対象になるんだろう。
本書の中で結果は周りの期待にも影響されるという点に興味を持った。つまり、周りに期待されるとうな人でないと良い結果は生まれにくい。
<要点>
■才能という言葉が必要になるのは、ある高さまでいってからで、努力によって自分の力を最大限まで高め、その限界を乗り越えようとするときに、初めて才能というものが必要になってくるのではないだろうか。
■勝負に限らず、自分のペースを守り、集中力を維持するには、感情をコントロールすることが大切だ。怒りで冷静さを失い、自分を身う品てしまうのは損でしかない。焦らない。あきらめない。
■新入社員の心得
①プロ意識をしっかりと持つ。
②仕事で常にしっかりとした結果を出す。だらだらとした仕事ぶりは、信用をなくす。
③仕事の目的をしっかりと定めて集中する。「明日がある」はいい加減な考えでしかない。
この3点を踏まえて初めて他社に存在を認めさせ、自分の仕事ができるようになるのである。
<実践>
○才能がないと諦めず、努力する。
○常に冷静に。感情をコントロールする。いらいらしても損なだけである。
○周りに期待されるような行動をする。そのためには常に期待以上の結果を出す必要があるだろう。 -
著者は、史上最年少の21歳で名人位についた人。その棋風は「光速流」と称される。谷川氏が名人位に就いたとき、私は当時12歳と言うことになるが、当時はけっこう話題なったニュースで、「凄い人が現れてたんだな~」という印象を漠然と持ったことを覚えている。当時学校では将棋が流行っていたこともあり、そのニュースも印象的だったのだろう。
当時颯爽と登場した谷川氏も40を越え、キャリアから言えばベテランの部類に入っていくのだろう。そんな師が、どのようにトップ棋士としての気概を維持してきたのかをこの本で述べている。集中力をつけるための具体的な方法論ではないが、とても参考になる一冊である。人の運、不運には波がある。特にこのような勝負事に於いては、勝ち負けがはっきりと出るので、好調と不調の波をもろ受けにこともあろうかと思う。そしてその波の中で受けるプレッシャーも相当なものであろう。
そういったプレッシャーや波の乗り切り方を‘棋士’という特殊な勝負師の視点で率直に記している。
この本の中で私が特に印象に残っているのは、谷川氏がトップ棋士に登っていくために、相当の時間を将棋に費やしているところである。ともすると史上最年少名人の肩書きは天才を連想しがちであるが、その背景には真剣に将棋と向き合ってきた長い時間があるのである。
これを読んで、思ったことは、もしものにしたいものがあるとしたら、まずは下手でもいいから、その好きなものに時間をかけることだろうということだ。好きなものにかけた絶対的時間は、その実力を上げこそすれ、下げることはない。しかし逆に言えば、かけた時間が少なければ、それなりの結果しか出ないということだ。
「努力に勝る天才はない」
こんな言葉を頼りに今日も自分の研鑽に励んでいこう。
それにしても、私の将棋はとても弱かったな・・・。 -
将棋の棋士 谷川さんが書いた本
僕が小学生の時に谷川さんは21歳という最年少で名人でした。
内容は…
羽生さんの決断力と同じような構成でした。
谷川さんの方が先に書いていることから、羽生さんが谷川さんの本を参考にして書いたことが分かりました笑