愛情遮断症候群 (角川oneテーマ21 A 5)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047040236

感想・レビュー・書評

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  • 小児科医である筆者の体験を通した、愛情遮断症候群の入門書、もしくは子育て中のお母さんたちへの応援書。
    前半の内容は、臨床の中で出会った、さまざまな愛情遮断症候群の実像を平易な口調で具体的に挙げてあり、大変読みやすく、参考になる。どういった視点でいれば、親からのストレスで子どもが病んでいるか、ある程度察知することもできるようになりそうだ。
    後半は筆者の生い立ちと、子育ての記録。もちろん「愛情遮断」というテーマに収束されるように書かれているが、愛情遮断症候群を掘り下げる方向を期待していた分だけ、読みごたえに劣る印象を受けた。

  • 以前から読みたかった本なんですが、やっと購入。<BR><BR>
    小児科医である筆者は心理の方面では決してプロではないということですが、医師として子供やその母親・
    父親に関わる中で経験した出来事が、専門家の理論よりもリアルで、胸が痛みます。<BR><BR>
    書名の『愛情遮断症候群』という病気は実際に存在し、「親からの母性愛や感情などが阻害されたり、不足されたりすることで、ホルモン分泌が正常に機能しなくなるなどして、行動の障害や無欲状態になるとともに成長障害が認められるもの」という定義だそうです。(本文より引用)<BR><BR>
    筆者自身の子育て歴は8年で、まだまだ半人前というのですから、未婚の私が子育てについて・親子関係について
    語るのは僭越以外のなにものでもないと思うのですが、無関係なことでもないと思うのです。<BR><BR>
    大学で、家族・親族法の勉強をしていると、養子縁組や婚姻問題、はては人工生殖児問題まで、親子関係にまつわる話には事欠きません。そして、他の授業と違い、同じような法に触れる罪であっても、家族の問題がいちばん心に重くのしかかってくるのではないか、と学生半年目にして感じています。<BR><BR>
    本書では、何件もの問題を抱えた親子のケースが紹介されているのですが、どれも傍目には問題が明らかでも、第三者が立ち入ることが何よりも難しい話ばかりなのです。
    <BR><BR>
    「癒し」と言う言葉が殊更取り上げられる昨今ですが、今、家庭は癒しの場にならないのかもしれません。<BR>
    ストレスは子供も、親も、家族そのものを押しつぶそうとしているようです。<BR>
    子供を甘やかすことの問題が取り上げられる反面、愛されない・虐げられる子供の存在も確かに社会問題になっているわけで。<BR>
    私が子供の頃には一般に聞かれなかった、児童虐待やDVは法律を作り出すまでの問題になっています。(昔は無かった、と言うつもりは無いけれど)<BR>
    <BR>
    学問として法の裁きを与え、世論と言う形で良い親子関係、良い家族のモデルを作ることは容易かもしれません。<BR><BR>
    それでも、誰も救われないのではないかと思えたりします。<BR>
    今できることはなんだろう、ではなく、私はこれから先に何ができるだろう。そんなことを考えた1冊でした。
    (2002年10月18日)

著者プロフィール

1957年、神奈川生まれ。
インスリン依存型糖尿病患者会「つぼみの会(東京)」副会長。
信州大学医学部卒業後、東京大学医学部付属病院小児科入局。
八王子小児病院、関東労災病院、国立小児病院を経て、現在、東京大学付属病院小児科助手。

「1998年 『知ってる?子どもの糖尿病』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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