誰も知らない防衛庁―女性キャリアが駆け抜けた、輝ける歯車の日々 (角川oneテーマ21)

著者 :
制作 : 小島 武 
  • 角川書店
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047040502

感想・レビュー・書評

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  • 「均等法以前」、しかも、おおっぴらに話題にすることがタブーだった「防衛庁の中」を知ることができます。

    本人の努力とは関係ないところで、環境が変わること。一方で、その環境が変わったとき、それまで自分が築いた努力や別の世界へと飛び出す勇気が加わると、新しい世界が自分のものになることが実感できます。

    あきらめずに強く日々を生きることが正しい、と歯車のひとつとして働くひとたちに勇気をくれます。

    そして、後に、しかも大分あとになって明らかになるる、「日米地位協定」が不意に登場してきます。

    この本で著者がぽつりと感じたことは、今日現在でも、危惧のままだと思います。「本当の有事」には、日本の統治機構はすべて、実質的にアメリカの司令官の指揮下におかれるのではないか、という現実です。
    日本なのに部分的に日本の手が入れない場所、つまり、「日本なのに日本でない」部分があることは、今や多くの人が意識するところになりました。

    一方で、日本の自衛隊が、一般法の下で活動してきた以上、そのまま軍隊にはなり得ないこと。
    それは、「有事立法」をするだけでは足りないことが、この本を読むと理解できます。

    一人の女性キャリアの自伝エッセイとしても、今もそこにある重い現実を知らしめる一冊としても、価値あることは間違いありません。

    そして、最後の部分は、一人の人生におきた出来事としてあまりにも重く、読むひとにも深いショックを与えることでしょう。

    いろいろな意味で「心して」読むべき本です。

  • 入庁して自衛官用のステテコ配りなどの雑用から始まり、内局勤務を経て、行政職から研究職への異例の転向という、興味深いキャリアをもつ女性の自伝。防衛省・自衛隊への辛口ラブレター。組織への愛着の裏返しである厳しい視点で、十数年の防衛庁勤務を語る。

    巷に防衛省(庁)事務官のことを主題にした書籍が自衛官に関するものに比べて少ないので、参考になった。
    部隊では閉鎖的な組織柄(早ければ16くらいから自衛隊という人もいる)どうしても発生する一部の世間知らず自衛官に振り回されて、内局では職員の過労死、ストレス性の各種体調不良のオンパレードの激務って、事務官も楽じゃないな。
    各国駐日武官の話が面白かった。「次はイタリア抜きで」って、ネット上だけのジョークかと思ってたけど、ドイツ人も言ってるのか。
    自衛隊の情報漏洩について著者が危惧するところは、2015年あたりに発覚した元陸自高官の元駐日ロシア武官への情報漏洩の図式と全く同じでびっくり。これにはため息。
    制服組の台頭にも少し触れてるけど、この辺は自分の考え方と近くて、制服組は政治に関心はもつべきだが、自ら政治的に動くべきじゃないってところはその通りだと思う。2016年にはいってからの統幕の、内局からの作戦計画策定の権限移譲の要求の話とか、従来の、幕が運用のみ所管する形から、作戦計画という政治的判断を要する分野まで権限拡大を目指す動きがあるなかで、また内局と制服組との関係については考えなきゃいけない時だと思うから、タイムリーな話だった。これは内局が最後の線を守り通す形で決着するみたいだけど。シビリアンコントロールやいわゆる文官統制の話はもう少し勉強してみたい。自衛官は自衛官で思いがあるんだろうしなぁ。

    かなりの男性社会であった組織で仕事と私事、母親の各立場を両立しながら奮闘する女性の物語でもある。
    「輝ける歯車」論。組織に生きる人の一つの生き方として良いと思った。
    古い本だけど色々と興味深い話満載で、この時期に読めてよかった。防衛に関する話は時事性が高いけど、その他の部分は組織で働く上での考え方や男性社会での女性の奮闘など、社会人全般、特に働く女性にも読んでほしい内容。
    筆者は安全保障に関する専門書も何冊か執筆している。今度読んでみよう。

  • 先生の本。

    いろいろ考えさせられました。
    実際にお話していても非常に素晴らしい先生です。
    やさしく厳しい方です。

  • ずいぶんとっちらかった内容だけれど、仮に日本に軍隊が正式に誕生したとして、自衛隊はあくまで法律的には軍隊ではないのだから、旧帝国陸海軍が自衛隊とは完全に別物であるように、今の自衛隊とは完全に別物として扱われる、という指摘に、あ、そうかと思う。それまた変な話だが。/昔、六本木で全然制服着た自衛官を見なかったと思ったら、必ず着替えて出かけていたからだ、というのにちょっとびっくり。それだけ表に出られない存在だったわけだが、湾岸戦争以後なまじ表に出てきた分、たるんできているという指摘にも同感する。

  • 自衛隊や防衛庁(省)への見方が少し変わりました。筆者の家庭のことには悲しくなったけれど…

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