態度が悪くてすみません―内なる「他者」との出会い (角川oneテーマ21)

著者 : 内田樹
  • 角川書店 (2006年4月1日発売)
3.52
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047100329

作品紹介・あらすじ

最も「態度の悪い」哲学者が贈る知のエクササイズ!!知的興奮のありかを探る。

態度が悪くてすみません―内なる「他者」との出会い (角川oneテーマ21)の感想・レビュー・書評

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  • ・「嘘」や「芝居の台詞」には「何か」が決定的に欠けている。
    身体が欠けているのだ。
    演技者は「台詞がよく聞き取れるように、きちんとアーティキュレートして語る」ことを求められる。私たちがふだんしゃべるとき、私たちのことばづかいに必ず随伴する「ためらい」も「前のめり」も「無意味な間」もそこにあってはならない。そのような夾雑物をすべて「削ぎ落とし」た、クリアーカットな発声を達成したのち、演技者は、その「台詞にふさわしい」動作や表情をこんどは「付け加えてゆく」。
    →小さい子どもの反応がわざとらしい時がある。ふさわしいと思われる態度を演技しているからかも知れない。発展というか、学習途上で夾雑物が生成されないのか。

    ・太宰治の最晩年のエッセイ『如是我聞 四』は新潮社の編集者を夕刻電報で呼び出して口述筆記させたものである。太宰は編集者の前で炬燵に入って、酒杯を含んだまま、「蚕が糸を吐く」ように、よどみなく最後まで口述したという。
    ところが1998年にこの口述筆記された『如是我聞 四』の「草稿」が発見された。それは発表原稿とほとんど一言一句変わらぬものであった。
    つまり、太宰はまず草稿を書き、それを暗記し、ついでそれを聴き手の前で暗誦してみせたのである。

    ・くわえタバコでネクタイを緩めたやくざな兄ちゃんが「いいから、適当に面白そうなのを選んで、ちゃちゃっと訳しちゃってよ」と汚いペーパーバックの束を私に投げてよこした。
    読んでみると、どうでもいいような動機の殺人があり、みえみえのトリックがあり、30分以内に犯人がつかまるというまことに無内容なミステリー短編集であった。最初は律儀に訳していたものの、そのうちに内容のあまりのつまらなさにうんざりして、ついに一大決心をするに至った。
    書き換えてしまうことにしたのである。

    ・例えば、日本製電気掃除機のマニュアルに「お餅が喉につかえた場合などにもご使用頂けます」というような記述があったとしよう(ないけど)。これをいま仮にフランス語に訳すことを明日までの急務とするベルナール君がいたとして、「お餅」というものの形状や性質について知るところがなかったという場合をご想定願いたい。辞書的語義はわかっても何のことかぜんぜんわからないというケースは技術翻訳においては少なくない。
    そういう場合は、静かに「餅のことは忘れる」というのも訳者の取りうる一つのオプションではないかと私は申し上げているのである。

    ・「タカハシ」さんと高橋源一郎を隔てる距離は、「テスト氏」とポール・ヴァレリーを隔てる距離より、「苦沙彌先生」と夏目漱石を隔てる距離より狭い。そして、この距離が狭いほど批評装置の性能は高く、響く「倍音」は深い。

    ・私たちにできるのは、この「どこまで信用してよいかわからない私自身の世界経験」」を慎重に腑分けして、そこから「信用できそうな要素」と「信用ならない要素」を識別し、「信用できそうな要素」だけに準拠して、「ほんとうの世界」について近似的に知ろうとすること、それだけである。
    「信用できそうな要素」というのは、「今ではないとき、ここではない場所、私ではない人間」の世界体験と共通するような要素のことである。

  • 正直言って難しくて、よくわからなかった。
    エッセイや本の解説を寄せ集めたという書き方もあるだろうし、自身の教養不足もあるだろう。10書いてあるうち理解できたのは2,3だろう。

    ただ、それにも関わらず、この人は何か面白いことを言っている、理解したい、カッコいい。と思えるのは不思議である。

    これこそ、本書でも触れているメンターなのだろう。ナイアガラーならぬウチダーに自身もなりたいとそう思うのである。

    また、時期を開けて読み直してみたい。
    とりあえず、内田樹には並々ならぬものを感じる(論じられないが)というのが本書のまとめである。(本書は内田樹入門書ではないので内田樹にご興味ある方は別のやつからオススメしたい。)

  • 社会学、文学、心理学など多方面にわたる身近な問題を、筆者の見解を加えて綴られたエッセイ集。
    大学教授をされているという職業柄、実際に学生と触れ合われているようで、そうしたジェネレーションギャップに関するエピソードも面白い。
    なかでも『待つことの功徳』は、興味深い。携帯電話のせいで失われつつある「待つ」ことを美風とまで言い高めた筆者の視点は共感しないでもない。
    古(いにしえ)の人々が「待つ」という行為をどのようにとらえていたか、百人一首からの引用も味わい深い。

  • 態度が悪くてすみません

    内田樹15作目(?)
    相変わらずの内田本を読むと何か安心する。高校時代尊敬していた英語の教師の言葉であるが「初心者と玄人は気を付けるところが同じ、どちらも基礎を気を付ける」という言葉を、内田樹の文章を読むと思い出す。衒学的な本ばかり読んでいると忘れてしまうような、基礎的なことが繰り返されているこの本は、構造主義の話が多めだったが、十分に楽しめる。
    この本でも、本が読むという話があるが、まさしく大学生にならんとするときに手に取った「寝ながら学べる構造主義」が、僕を内田本の読める主体に変形させ、師とは、学びとはどういうことなのかを教えてくれた。
    この本はと言えば、排毒というストーリー、秩序の話、などなど、構造主義が基盤になった話が多い。今・ここ・私を自明としないという一貫した姿勢があり、書評集にもそのような批評の仕方がされている。自然でもなんでも、自分ではどうにもならないものを想定する謙虚さが、この思想の根幹にあることがわかる。翻訳の話も面白い。

  •  内田氏の本もだいぶ増え、本書で10冊目となった。今回のもブログ等からの記事の抜粋集とのこと。だいぶ氏の思想、思考がトレースできるようになってきた気がする(言い回しに慣れただけかもしれないが)。

  • 自分を水の塊だとイメージして運動する
    自分が投資した分の等価ののリターンが返ってくる事はない。
    『お先にどうぞ』と言えるかどうか

  • 「言葉は無限の誤解の可能性に開かれている」ってくだりと
    翻訳についての論考がおもしろかった。
    日本語訳の日本語がへんだと、原著を参照されるので、
    わからない言葉は静かにスルーしていた、という。

  • 前半は読みやすく納得というか、そういうことあるなあという感じ。後半、特に書評は難解と言える。
    合理的な人は結婚に向かない、喫煙の起源について、は興味深い内容。

  • 定有堂で、
    「読むならこの一冊」
    と紹介されていた本。
    相変わらずの樹さん。
    『ご飯はえらい』
    は、これまで自分が主張してきたことを、
    たつるさん的に解説してくれています。
    結婚するなら美味しく一緒にご飯食べられる人。
    これ、間違いないです。

  • 「やりがいのある仕事」のところが最も興味深かった。

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