巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは (角川oneテーマ21)

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047100367

感想・レビュー・書評

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  • まさか、野村さんが野球をこんなに大きく見れる人とは・・・
    正直、あまり期待せず読み始めたので評価はすこぶる高い。

    タイトルは「巨人軍論」と、まさに野球本といったものであるが、
    内容は集団を率いるためには、また、集団がうまく機能するためには
    について書かれた、超ビジネス本といっていいだろう。

    (また、本書内でも野村さん自身が言及しているが、
    一度も巨人でプレーしたことがない野村さんが巨人を語るという
    切り口も面白いw)

    「巨人だいすき♡」「野球大好き♡」といった人よりも、
    たとえば会社でチームリーダーや、人材育成に携わる人向けの内容。
    弱いチームで強いチームにどう立ち向かうか。
    リーダーとして人の上に立つ際に心がけること。
    チームを統率するために、必要なこと・・・等が実際に野村さんが
    監督時代を通した経験に基づき語られている。

    また、今回☆を5個も付けたが、
    野村さんの名言が私の心にささりまくったのもその理由の1つである。
    下記覚えておきたい名言をいくつかあげておく。

    「苦労というのはする必要がないことで苦しむことを言う
    好きな野球をやっているんだから、悩んだり苦しんだりするのは当たり前。
    それ自体が楽しいことだったのである」

    「選手というのは自分の存在価値を認めてくれる監督に対しては、この人のために死んでも構わないと思うものである。それが結果としてチームを優先することに繋がる」

    「人間学なき者にリーダのなし。間違いに気づきこれをただす能力が備わったことが大きな意味を持つ。監督は気づかせ屋でなくてはならない。自分が無知であることに気づかせ、何が正しくて何が正しくないのか、間違いに気づかせ正していく。そして気づく選手は絶対に伸びる。人間の最大の悪とは鈍感である」

    ほかにも本書にはたくさんの野村節が詰まっている。

    もし、今野村さんが野球監督をやっていたら確実に私は野村さんの采配を毎試合みるのを楽しみにしたことだろう。

  • 「1. 巨人軍は常に紳士たれ」・「2. 巨人軍は常に強くあれ」・「3. 巨人軍はアメリカ野球に追いつき、そして追い越せ」... 日本プロ野球界の父と称された実業家・正力松太郎が遺した「巨人軍憲章」である。当時の巨人はこの精神を体現したチームであり、だからこそ他球団の選手は巨人に憧れ、目標とし、そして対抗心を燃やしていたと語るのは、球界のスーパースター・長嶋茂雄を太陽の下で花開く「ヒマワリ」に、自らを人目に付かない日陰でひっそりと咲く「月見草」に例えた野村克也氏。1965-1973年の間、9年連続で日本一に輝いた「V9時代」の巨人を手本としながら、この球団の「凄さ」と近年の「凋落」ぶりを分析する。監督の仕事はまず第一に選手の人間形成という信念を貫いた男が、プロ野球という枠に留まらない「組織論」を展開する。

  • 選手に好かれようとは思っていない私であるが、「信頼」はされなくてはいけない。

    部下が上司についていく理由が複数ある。自分に利益をもたらしてくれる人、自分にとって怖くて恐ろしい人、自分がとても尊敬している人。など。

    今の時代は恐怖でついてこさせようというのは、NGだから、
    部下に利益をやるか、尊敬させられるかだと思う。
    著者は川上哲治さんを見習い、人間教育を徹底させた。
    それが、V9の巨人であった。
    メンバーも1人1人が、役割をもっていて、ミスをしない職人の集まりだった。
    恐怖はダメと言ったが、鉄拳や言動の制裁ではなく、
    ライバルを付けて競争させ、自分の立場も危うくさせるような無形の恐怖も勉強になる。

    選手に好かれる指導者は一時的に結果がでるが、常勝集団にはなれない、好かれなくてもいいが、信頼される指導者にならないと、本当に強い集団の指導者にはなれない

  • 野村監督の巨人軍論。球界の盟主と言われる巨人軍の何がすごかったのかを教えてくれる。
    ドジャースの戦法をいち早く取り入れ、常に球界をリードしてきた巨人であるが、今はその面影もなく寂しさを感じる。

  • よく人に「オレはアンチ巨入だ」と言うと、そいつは決まってニヤリとして、「アンチ巨入は実は巨入ファンなんだ」ということを言います。

    オレはたいていムっとして話を逸らしてしまったものですが、それはある意味図星だからです。

    確かに、嫌いな(意識するが)ゆえに、巨入のメンバーは真っ先に覚えるし、ペナントレースの順位やゲーム差も巨入に限って知っていたりするのです。
    (さすがに今はそういうこともなくなりましたが)

    北海道では特にそうですが(本書の中で京都出身の野村氏もそうだったと言っています)、プロ野球中継といえば巨入戦しかなかった時代です。しかもV9とか言って、とにかく圧倒的に巨入は野球の頂点に君臨していた。それこそまばゆいばかりの存在で、確かに子供の頃は巨入ファンでした。

    でも、その後、Vを逃がしたり下位に低迷する年もあったりするにつれ、徐々にかつて輝いていた巨入に幻滅するようになったような気がする…。
    「なぜアンチなんだろう?」と考えるにつけ、そういう理由が脳裏に浮かびました。

    この本には、まさにそういうことが“巨入凋落の原因”として書かれていました。日本の野球は紛れもなく巨入が創り、リードして来た。球界の範たる立派な監督と選手ばかりだった。それが今は…という具合です。

    そればかりでなく、「中心なき組織は機能しない」「この状況でなぜそのボールを投げるのか、その根拠を明確にしろ(データ活用のコツ)」など、組織論、マーケティング論として読んでも傾聴すべきことが書いてあります。

    これは好著でした。

  • 東北楽天ゴールデンイーグルスの野村監督による古き良き強い巨人軍についての本。

    私は子供の頃から巨人ファンだった。だが、最近はほとんどプロ野球を観ることがない。最後に球場に足を運んだのは何年前だろうか。それでもメジャーリーグやパ・リーグのテレビ中継はたまに観たりする。いつから巨人戦を観なくなったのだろうか…

    さて、本書では、昔の圧倒的な強さを誇っていた巨人軍が野村氏から見てどういうチームだったのか、そしてその巨人に対抗するために選手として、監督として、何を考え、どういうことをやってきたのかを書き著している。

    さすが、名選手にして名監督であるだけのことはあると思わせてくれる内容。野村監督に対する印象が随分変わった。

  • 他の野村本とのダブり感が目立つ

    102、王の言葉
    上に行けば行くほど、悩みや不安が大きくなる。
    それを打ち消すために練習に打ち込んだものです

    36、セカンドへのファウルフライ?

    ホームランを防ぐための鉄則は外角勝負
    39、精神野球が嫌い
    40、清原&藤川にひとこと

  • 「野村ノート」に秘められた「巨人軍」の項目をすべての勝負論、組織論は伝統の巨人軍から学べることは案外知られていない。強い球団と弱い球団の差とは何か?来期、楽天を指揮する現役監督が球界を斬る。

  • 巨人ファンなので購入。

    野村さん(自分の苗字もだが)の本は初めてだが、テレビやラジオの解説ではお馴染みで、まとめるとこういうことになるんだなぁと、野球のマネージメント論はすんなり読めた。

    ただ約10年前に書かれた、長嶋監督の後のパッとしない時代の書で、V9時代の賛歌本でした。
    「パッとしない」と記したが、野村さんは「巨人の凋落」という表現で、何箇所もあったのでそこには萎えた。


    (2015/3/14)

  • 現在、大学の通信教育過程でマネジメントやリーダーシップ論を学んでいますが、これらの内容は「情」と「理」のバランスの観点から非常に的を得ていると思います。特に、川上氏の「人間力」に関する部分は共感する部分が多かったし、巨人軍にはリーダー・ディベロッピング・リーダー(後継者を育てるリーダー)が多いという野村氏の慧眼も素晴らしいと思います。野村氏のキャラクターからすると単なるボヤキの人かというイメージもありますが、彼は「向上心があるからボヤくのだ」という話を聞いたことがあります。野村氏の向上心を感じる内容であったし、あらためて、マネジメントやリーダーシップ論に気づきが多かった本です。

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著者プロフィール

京都府立峰山高校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークスに入団。3年目の1956年からレギュラーに定着すると、現役27年間にわたり球界を代表する捕手として活躍。歴代2位の通算657本塁打、戦後初の三冠王などその強打で数々の記録を打ち立て、 不動の正捕手として南海の黄金時代を支えた。また、70年の南海でのプレイングマネージャー就任以降、延べ4球団で監督を歴任。他球団で挫折した選手を見事に立ち直らせ、チームの中心選手に育て上げる手腕は、「野村再生工場」と呼ばれ、 ヤクルトでは「ID野球」で黄金期を築き、楽天では球団初のクライマックスシリーズ出場を果たすなど輝かしい功績を残した。現在は野球解説者としても活躍。

「2016年 『最強の組織をつくる 野村メソッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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