後手という生き方: 「先手」にはない夢を実現する力 (角川oneテーマ21 A 60)
- 角川書店 (2007年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047100862
感想・レビュー・書評
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35歳で特例の試験を突破してプロの将棋棋士になった人の話。
この本を読んでプロとは、何だろうかと改めて考えさせられた。プロとは、それにすべての時間を捧げることができる人かもしれない。それができない以上、アマチュアと言われても仕方ないと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
将棋棋士のプロ養成機関・奨励会に入会するものの、26歳で年齢
制限のため退会。その後、大学進学し一般企業に就職。アマ棋士
として活躍し、35歳にしてプロ編入試験に合格した著者。
将棋の普及・発展のための提言は、社会人経験に立脚した現実的・
具体的なもので、大変感心した。
将棋は高齢になっても出来る趣味だし、頭も手先も使ってボケ防止
にも良い。詰め将棋なら文庫一冊で何時間も楽しめて手軽。
パソコンの将棋ゲームを久々にやってみようかと思った。 -
診断士受験生の友人から紹介された一冊。
偶然にも『シリコンバレーから将棋を見る-羽生善治と現代』に続き、将棋関係の本。
著者は、年齢制限により奨励会から退会したものの、その後、アマチュアとして活躍し、プロ入り嘆願書を書いて61年ぶりの編入試験までこぎつけ、35歳でついにプロとなった。
本書では、その著者の人生観や将棋への接し方が連ねられている。
自分の人生を遅咲きの「後手」の生き方とし、後手ゆえの「強さ」について触れた記述ももちろんある。
副題には、“「先手」にはない夢を実現する力”とあるように、「先手」の生き方と、自分の生き方を比較をしている記述もある。
でも、読み進めてみると、「先手」を意識・比較した上での「後手」についての記述は、意外に少ない。第一章と、最後に収録されている、渡辺明棋士(先手の生き方の代表格)との対談だけではないだろうか。
では、残りの章には何が書いてあるのだろうか。
・ 将棋だけではなく、仕事やスポーツや勉強でも共通の、「極める」「達成する」ために必要な強さ・意志・心構えについて。
・ 愛する将棋を一人でも多くの人に広めることを使命とした、プロとしての心構えについて。
この2点について、飾らない言葉で、真摯に、でも、力強く書かれている。
これは、自己啓発書にとても近い内容といえる。
そういう意味では、将棋がわからない私でも、深く頷ける内容ばかりだった。言葉を返せば、共感するが、真新しさはないといえる。
けれども、著者は、壮絶に体験を積んだ結果、それらのことに達観したのだと思う。
私は、同じことを頭で理解し、いくばくかを実際に体験しているが、著者の達観には程遠い。
だからこそ、著者の文章は、真摯で力強く、語りかける力があるのではないだろうか。
それから、もう一つ。
本書を読んで、形式知化した考え方がある。「信用」という考え方だ。
・「信用」が絶大な棋士であれば、相手が勝手に「この相手では、粘っても逆転の見込みはない」などと諦めが早くなることがある。
・「信用」がないと、こちらが優勢でも「この相手ならきっと間違えるだろう」などと頑張られて逆転される可能性が増えることがある。
だから、棋士は、棋士間の信用を勝ち取っていく必要があるのだ。
これ、仕事の上でも見かけるなぁ。
「信用」という言葉を使えると、「悔しいけど、今は信用を積み重ねていくしかない、がんばろう」とか、感情のコントロールに役立ちそうな気がする。
ちなみに、この「信用」というフレーズは、将棋界では非常に有名なフレーズらしいデス。
読んだ日: 8月14日
読んだ場所: 平塚→東京の東海道線内