いじめるな!: 弱い者いじめ社会ニッポン (角川oneテーマ21 A 80)

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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047101357

作品紹介・あらすじ

日本のいじめが様変わりし、陰湿化した理由を探る。「いじめ社会」日本の精神構造と社会的背景を徹底分析。

感想・レビュー・書評

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  • 安倍首相について「神経性の胃腸炎ってズルヒケ(偽って早退する)の子とよく似ているよね」と書いてある箇所があった。原因がストレスだろうと本当に体調不良なのに信じてもらえなくていじめられた子どもとかが読んだらどう思うんだろう?と気になった。

  • 対談に短いエッセイが挟まっている、手軽なつくりである。
    対談という性格上、いじめにたいする緻密な分析や批判とはなっておらず、会話の流れからの思いつきの言いっぱなしであるのはやむをえないかもしれない。が、最近の若者の犯罪動向等について、ワイドショーと同レベルの体感治安認識をしめしたり、アメリカの状況についても、「貧困大国アメリカ」を読んだあとでは、まともに取り合う気にもならないお粗末な称賛を与えたりしている点は見過ごすことが出来ない。
    さらにエッセイ中で、福岡の家庭内殺人事件を日本型いじめの典型とする辛の見解はあまりにも粗雑だ。催眠術にも通じた加害者の心理操作によって引き起こされた事件であるのに、被害者達の性格に起因するものとして捉える論理には強い違和感を感じた。(もちろんその背景として日本社会の構造的問題があることは強調されてはいるが、そういう問題ではないだろう。)
    もう少し濃い中身を期待していたのだが、残念ながら期待はずれだ。

  • 読書レポート:「ネットの炎上力(文藝春秋)」「いじめるな!-弱い者いじめ社会ニッポン」 | デジたろうとピアノ http://digitaropiano.luna.ddns.vc/digitaropiano/?p=3505

  • 「私は存在していていい、生きていていいんだ」という確信をいつも問う者として、そこにある「いじめ-いじめられ」関係の根っこは、共依存の関係である。
    「意味があるなら生きていてもいい」生きるとは本来そんなものだろうか?では意味のある生とは?改めて生きるとはどういうことだろうか?考えさせられた。…そうやって自分の生の意味を常に確認する必要性にせまられている現代社会はいじめの温情ではないか?いじめは個人の問題ではなく社会潮流の中で咲く病理現象ではないかとさえ思えてくる。蔓延する社会病理の一形態として「いじめ」「ひきこもり」「自殺」問題。これはもはや個人の責任に帰すには大きすぎる数字になりつつある。そして満たされない自己肯定感から突き上げてくる問いに迫られて、今、グローバリゼーションの流れの中で、お互いの権利をどう考えていくか、違いをどう見つめていくか、哲学が文化に追いつかない時代にあって、もう一度、弱者とは何か、権力とはなにか?支配とは?を考えさせられた。

  • 副題が
    ー弱い者いじめ社会ニッポン

    そこかしこに
    この「いじめ」を助長し温床してしまう
    「日本の今」が語られていく

    我々が
    今、できていないことが
    何なのか
    我々が
    今、できることは
    何なのか

    新書の形だから
    語れることもある

  • 「個性の尊重」と「同調圧力」。これまでの文化的背景からも日本の社会には周囲に合わせて皆で頑張っていきましょう、という意識が根底にある。たぶん、それは今の親(団塊)世代がそうであり、その子世代がそのまま引き継いでいる。その「同調」の範囲内でしか「個性」が認められない社会になっていて、それをはみ出してしまうと「いじめ」られる。表向きには「個性の尊重」が全面的に押し出されていて見えないけど、実際にはそのすごく狭い範囲内で生きなければいけなくなっていて、今の子供たちにはそれがすごく顕著に表れている。■でも子(団塊Jr)世代にはそうではない人たちが出てきていて、それがモンスターペアレントとか、主張と我儘・横暴の区別がつかなくなっている。そういう世代から下が、自分がしたいように世の中を解釈し、自分が納得できないものは理解しようともせず、受け入れられない環境の中に居続けることで心が折れて、それを周囲のせいにする。いじめや犯罪を内面のせいにするのではなく、そういう社会的風潮・背景をよく考えないと、この先、国力はどんどん下がってしまうと思う。■本書では、アメリカ型の主張の仕方を是とした展開がなされているが、戦後、高度経済成長を遂げられたのは、純粋な意味での「同調」のおかげであり、海外の考え方は参考とするまでに留めておいて、あくまで日本としての意識の在り方を考えるべきではないだろうか。

  • おばさんの立ち話,という印象。
    考察のレベルが感情論で何の役にも立たない。
    こんな本で市民を扇動することに何の意味があるというのか?

  • 判官びいきという気質を持ち合わせている日本人であるにもかかわらず、弱い者いじめの根性が染みついてしまっている日本人であることを思い知らされる。問題が起きた時、加害者よりも被害者にその原因を求めようとする。すなわち「いじめられる方にも原因がある」と。そんなことがあるはずはない。どんなことがあろうともいじめる方が悪なのだ。辛淑玉さんの論はいつ読んでも小気味いいが、このたびは香山リカさんとの対談もあり、いじめについて臨床の現場からも知ることができた。

  • すごくためになった、私には。
    わかっていたけれど、「(学校の)先生だからって全員の子供に等しく愛情を注げるわけじゃない」っていうのを言ってくれたっていうのは大きいと思うよ。
    その上で「仕事として子供たちに関わっていくことはできる」という。
    なるほどって思いました。
    あと、儒教的考え方って意識していないけれど、はびこっているんだと思ったので、儒教をお勉強しようかと思いました。

  • 『いじめ』はいろんなところで問題になっているにもかかわらず、それについて、共感できる書物も意見も少ないのが現実です。
    いじめの構造なんて説明されても、実際被害にあってる人の救いにはならないので、いつも歯がゆい思いばかりしてきました。
    自分のつたない言葉では表現できないけれど、なにかが確実に間違っているという思い!
    このもやもやしているけど、強い思いに答えてくれるのがこの一冊です!!
    人間の基本中の基本に戻って、『いじめるな!』と叫ぶ必要性が、いろいろないじめについて二人によって真剣に話されています。
    激しいまでに真っ直ぐな気持ちが、読んでいる者の心を打ちます!
    いじめてる人、いじめられてる人、いじめに加担してる人、周りで見てる人、すべての人にこの思いを知っていただきたいです。
    今の社会に必要な一冊!!!

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著者プロフィール

たくましいリベラルとして、右傾化する政治状況から現代社会の病理まで、メスをふるう行動派知識人。1960年生まれ。精神科医。立教大学現代心理学部教授。『若者の法則』『ぷちナショナリズム症候群 若者たちのニッポン主義』『生きてるだけでいいんです。』『弱者はもう救われないのか』『「悩み」の正体』『リベラルじゃダメですか?』ほか、著書多数。

「2017年 『憲法の裏側 明日の日本は……』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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