富士山を汚すのは誰か ――清掃登山と環境問題 (角川oneテーマ21)

著者 : 野口健
  • 角川グループパブリッシング (2008年5月10日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047101425

作品紹介

意外と知らない日本の"象徴"の深刻な汚れの理由は何か。

富士山を汚すのは誰か ――清掃登山と環境問題 (角川oneテーマ21)の感想・レビュー・書評

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  • 野口健さん。知っているよ!という人も多いだろう。「富士山の清掃のお兄さん」ということで、本著「富士山を汚すのは誰か-清掃登山と環境問題」でどうして彼が、富士山清掃に携わるようになったか、本ブログで紹介してみたい。

    野口健、1973年8月21日生まれ、アメリカ・ボストン生まれ。外交官の父の仕事に伴い幼少時代を世界各国で過ごす。16歳でヨーロッパ最高峰、モンブランへの登頂に成功し、99年当時最年少の25歳で世界7大陸最高峰の登頂に成功する。

    素晴らしい経歴である。
    しかし、彼は現在、環境問題に主に取り組んでいる。彼の経路の変節には理由がある。
    1997年彼はエベレスト登山中、ベースキャンプで滞在をしばらくしていた。

    辺りに散乱していたのは、直前に撤退した韓国隊のごみだった。
    野口さんは言った「韓国隊のごみはひどいね。日本人はこんなことしないよ」
    すると、長い付き合いのシェルパが「ケン、ちょっといいか」といって連れっていったのは、韓国隊よりもさらに多い、大量のゴミの山、漢字、ひらがな、カタカナという明らかに日本隊のゴミであった。

    野口さんは愕然とした。同行したメンバーから痛烈な言葉が浴びせられた。
    「エベレストは、チベット側もネパール側も、日本隊のゴミだらけだ。おまえはそれを知っているのか?」
    「日本人はエベレストをマウント・フジにするのか!」
    「日本は経済は一流だが、文化やマナーは三流だな」
    野口さんは返す言葉もなかったそうだ。

    99年、エベレスト登頂を成功して彼を待ち構えていたのは、華々しい歓迎ムードだ。母校・亜細亜大学で登頂成功報告記者会見を行っているとき、その事件は起きた。野口さんは7大陸最高峰登頂という目的も達成したので、あとは一般企業にでも就職しようかと思っていた。

    そんな感じで記者会見に臨んでいたので、次の目標なんか白紙であった。
    そこで言ってしまった「これから発表しようと思っていたんですが、来年から四年間エベレストへ行きます。エベレストの半分はチベット、半分はネパールです。ゴミ拾いの清掃登山です」

    記者たちも「清掃…登山ですか?」とあっけにとられた。
    野口さんもまた、丸三日、部屋から一歩も出られないほど激しく落ち込んだ。三年間エベレストに挑戦し続けて、借金して、体壊して、死ぬ思いをして、それがやっと終わってほっとしていたのに、なんであんなことを口走ってしまったのだろう?就職が決まっていた会社からは、当然内定取り消し。踏んだり蹴ったりだ。

    ヒマラヤ清掃登山で起き上がった問題がまず起こった。大人数のシェルパが手伝ってくれないのでは、困難だ。

    ネパールにもカースト制度があり、「ごみを拾う」という仕事は彼らのカーストでは対象外とされていたことだった。

    野口さんが必死に説得すると「ケンがそこまで言うのだったら。。。」といって協力をしてもらうことになる。

    人は何とかなった。あとは資金だ。以前の7大陸登頂では断っていた企業も「環境問題なら出せる」と10社以上の会社から資金提供を受けることとなった。

    野口さんの興味深い清掃エピソードを一つ紹介して、このブログを終える。
    登山好きで、日本山岳ガイド協会の会長も務めた、故橋本龍太郎・元総理はエベレストに4回ほど行かれている。野口さんがエベレスト清掃で拾った橋本さんの酸素ボンベをもって「先生の12年前の忘れ物を届けに参りました」と事務所を尋ねた。

    彼の顔は真っ赤になり、鬼のような形相になって、「こりゃ怒鳴られるな」と野口さんが思っていたところ、案に反して「参りました」と深々と頭を下げられたそう。それ以後、野口さんは橋本総理になにかとお世話になったそうだ。曰く「野口君は僕らの尻拭いをしてくれているんだから、足を引っ張ってはいけないよ」という風にである。

    とこれ以上、ネタばらしすると本書を購入してもらえなくなるので、差し控えるが、本ブログ前半でも書いた通り、「富士山のゴミは世界有数の汚さ」という事実である。

    それゆえ、野口さんは「富士山清掃活動」を呼び掛けるのであるが、その詳細についてはぜひ本書を手に取って読んで欲しい。野口さんの新たなステップの環境活動家としての行動も本書にはふんだんに記載されている。

    野口健公式WEBサイト http://www.noguchi-ken.com/
    富士山クラブ http://www.fujisan.or.jp/

  • 挫折、読みものとしてつまらない

  • 【配置場所】工大新書A【請求記号】518.52||N【資料ID】91080820

  • 富士山が世界遺産登録された今、読み直したい一冊かも。
    また改めて書かれるだろうが、当時の状況と認識を記した本として興味深い。
    筆者が環境問題を意識し始めたのは、1998年の最初のエベレスト挑戦のときらしい。「日本人はエベレストをマウント・フジにするのか」という海外の登山家の言葉は耳に痛いですね。世界遺産に認められたということは、そこからずいぶん状況が改善されたということでしょうね。

  • 2013年5月18日読了。エベレストにおける清掃活動を続けるアルピニスト野口健氏が、富士山のごみ問題の実態と原因、その改善活動について語る本。「ダバダ~」のCMでお馴染みの氏、私はそこまで関心がなかったが、この本での語り口は正直でよどみなく、また「確かな信念」での裏打ちを感じる。たいした男だ。氷点下のエベレスト山頂付近では微生物が繁殖できないため1960年代の生ごみなども残り続ける、ネパールのシェルパたちはカーストの考え方から決して排泄物の処理に手を貸そうとしない、長時間にわたる高山での清掃活動のため3人のシェルパが死亡した、などのエベレストでの活動記録も大変興味深いが、富士山をごみの山にしてしまった日本人全体の意識の低さへの指摘にはなんとも恥ずかしい気持ちになる。そんな汚れた山だったが、現在では世界遺産登録されるまでに環境は改善されている。「山に行った人がごみを拾う」というちっぽけな活動でも、継続することで世界を変えることができるのか。だめだ無理だと言っているだけでは世界も自分も変わらないのだなあ・・・。

  • 野口さんの考え方、行動力に感銘を受けました。山についてはほとんど興味がなく、今後登ることもないと思いますが、そんな初心者の自分でもとても読みやすい内容でした。環境問題のうちの山に関する部分で知らなかったことが沢山あったので、勉強になりました。

  • 富士山を登ってきた。ゴミは全くといってよいほど落ちていなかった。10年前はゴミの山と称されていたらしい。富士山の環境保全に取り組んできた人たちの足跡をたどってみたい。
    ボランティアではゴミを拾い回収することはできても「処理」ができない。行政を巻き込んでゴミ問題の解決を図った登山家野口健の行動力が素晴らしい。

  • [ 内容 ]
    意外と知らない日本の“象徴”の深刻な汚れの理由は何か。

    [ 目次 ]
    序章 富士山から変えていく!
    第1章 地球を汚しているのは人間
    第2章 エベレスト清掃登山で得た教訓
    第3章 日本の象徴、富士山を変える
    第4章 富士山、明日への提言
    第5章 日本人の環境意識を見直す
    終章 環境問題に国境なし

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 富士清掃活動を通してぶつかる人間の壁。
    そして政治家への請求活動は大いに見ごたえがある。富士山をきれいにするだけなのに、立ちはだかる壁と解決しなければいけない問題は山積だ。富士の汚れは日本社会の汚れでもある。

    この本を読んで、消費社会の問題と、現代人のモラル欠如、新しい富士登山という娯楽の落とし穴が一挙にわかる。

    たかが、清掃、されど清掃なのだ。
    富士清掃活動に参加できなくてもよい。
    今一度自分の生活を見直してほしい。

  • 高校の論文のときにお世話になった。影響された本。

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