日中韓はひとつになれない (角川oneテーマ21)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047101722

作品紹介・あらすじ

中国人、韓国人が日本人を嫌う理由。「東アジア共異体」構想とは。

感想・レビュー・書評

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  • 日本と中国・韓国の政治意識の違いを、儒教思想の性善説との関係から解き明かす。性善説を易姓革命との関わりで説いたり、パターナリズムとのつながりを指摘したりと、参考になる記述も多い。さほど目新しくはないものの、東アジア「共異体」の主張もわかる。が、全体にやや強引な論の展開が目立つ。元電通社員とのことだが、何だか納得。

  • 中国・韓国は性善説の国であり、日本だけでなく中国・韓国もそのことを理解していないために、東アジアの相互理解が進展しないということを説いた本です。

    性善説は、道徳的に優位に立つ者が社会をリードするべきだという「ベタ」な立場を意味しています。著者によれば、中国の民衆は性善説的なメンタリティに基づいて行動へと駆り立てられがちなのに対して、政府はそれを抑える「鍋の蓋」の役割を果たしていると考えます。一方韓国は、上も下も性善説に支配されているため、政府がつねに不安定な状況に置かれがちだと論じています。

    一方日本は、少し前までは「ベタ」な価値にコミットすることを忌避して「メタ」な立場を取る国民性を持っていました。これは、日本国憲法という中立的な「手続き的民主主義」によって実現されたものです。ところが、最近になって日本は急速に「ベタ」な価値へのコミットを強め、「東アジア化」していると論じています。

    おもしろかったのは、地域史の研究者としての立場から、左右両翼の東アジア観を批判している箇所です。著者は、国家のヘゲモニーという考えに捕らわれている「右翼」を批判するとともに、返す刀で反日米同盟の口実としてアジアとの友好を説く「左翼」や、西欧の出来合いのポストコロニアル理論を当てはめようとする学者を批判します。東アジア全体に通用するような「ベタ」な価値を求める「未来志向」を絶対化することは危険だという主張も、よく納得できるものでした。

  • [ 内容 ]
    中国人、韓国人が日本人を嫌う理由。
    「東アジア共異体」構想とは。

    [ 目次 ]
    第1章 東アジア化する日本
    第2章 中国…鍋の蓋が危ない
    第3章 韓国…上も下も性善説の危険
    第4章 日本…「メタ」から「ベタ」へ
    第5章 「韓流ファン」と日本の変化
    第6章 「東アジア共異体」へ

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    [ 参考となる書評 ]

  • 結局何がおっしゃりたいのか分からなかったです。

    韓流ブームの件はページ数稼ぎにかかれたのかと思うような内容でした。。

  • 最初は「否定的なタイトルの本なのかな」と思って手に取った。

    著者は、NHKのテレビ・ラジオハングル講座の講師の経験のある京都大学大学院准教授の小倉紀蔵さん。

    日中韓、東アジアの「共同体」という考え方は、戦時中の大東亜共栄圏や、中国による覇権の中華圏に日本や韓国が取り込まれるという構図につながり危険なイメージを想起させる。

    そこには同でないものに対する敵視・蔑視・排除といった論理や感情が強く介在してくる。お互いに異なったままで双方の違いを認め尊重しあいながら、まずは「東アジア共”異”体」というというまとまりを形成して行こうというのが著者の主張であった。

    また、著者はその「東アジア共異体」の形成の中核となるのは日本でも中国でもなく韓国がそのために重要な役割を持つという主張を展開している。

    さらに「同」を目指すことの危険性について、著者は日本と中国・韓国の間に横たわる性善説の捉え方についても言及している。このあたりも興味深い。

    異なったまま尊重しあうという著者の考え方に強く共感する。

  • ASIA WORKSHOP!

  • 1つになれると思っている人―曖昧な言い方―が反論すべきほど多くいるという前提はあるのだろうか。中韓は基本「性善説」の文化圏のため基本「性悪説」の日本とは考え方もパーソナリティーも相容れず、理想と現実を比べて「善」をしばしば激しく希求する両国は付き合うのが(日本人としては)シンドイところもあるけれど、その違いを認めた上で理解するよう努力しましょうという話が主。薄い本に広告っぽいキーワードを次々繰り出すのでもう少し落ち着いて話して――と思った。

    ただ、個人的に成程とうなずけたのが韓流関連の話で、「彼女たちはヨン様をはじめとする韓流スターを「神聖なるしるし」と見、それと対比させて日本のスターを「俗悪な存在」と見る。特にブームの初期の頃は、そのような傾向が著しかった。その背景には、日本のテレビが長い間中高年の女性をターゲットとして設定してこなかったことに対する、無意識的な怨念のようなものがあった」というところなど。
    私も多少韓流の観光地などに行って感じていたのが、かつては(あるいは今も)男性がキーセン観光などで通っていた国、かつては日本の男が中心となって植民地化した国として多少なりとも下に見ていた韓国人男性を、嫌がる日本人の夫を韓流跡地に引き連れてまで、あるいは留守番させて崇めるおばさん女性の怖さと頼もしさということだったので、「無意識的な怨念」という表現には、はまって笑いました。何に対する怨念かというのはむしろ、テレビではないのでは?と思うけれど見てないからよく知らない。とはいえ、著者は多くの韓流ファンは知的で真摯だと言ってますし、私もそれはそう思う。また、韓流ファンも当然多様で最近は年齢もばらばらだし、ブームがひと段落して残る人が残ったという感じですし、もちろん男性の韓流ファンも普通にいるし、上記のようなレッテルを貼り付けるには私のサンプルは全然少ないのでいわば適当な話。まずはあれこれ自分で好きに思いめぐらせるためのネタ本としてはお薦めです。

  • よくわからないです。三国のことを書いているはずなのに韓国のことばかり。それに東アジアのことを語るのに、やたらと近現代思想の専門用語などを使っているのにも取っつきにくさを感じます。共同体よりも共異体を、という主張は面白いと思いますが。

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著者プロフィール

1959年生まれ。京都大学大学院教授。専門は韓国思想。

「2017年 『対話のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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