あぁ、監督 ――名将、奇将、珍将 (角川oneテーマ21 A 94)

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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047101838

作品紹介・あらすじ

歴代監督・現役監督の戦術・人間性を徹底分析。組織は監督の器より大きくならず。

感想・レビュー・書評

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  • 監督は選手に信じさせなければならない
    蔭山監督、鶴岡監督の後任
    鶴岡監督が一目置く人物
    就任4日目で亡くなった
    監督してのプレッシャーはすごい
    名参謀は名監督になれない
    野球に詳しくても監督はできない
    組織はリーダーの力量以上には伸びない
    異分子や異端児を拒否せず能力の見極め
    一度の失敗で失格の烙印を押してはならない
    地位が人をつくる
    野間口と武田勝が同時期にシダックスにいた
    当時は野間口の方が断然上
    信頼を判断基準にしてはならない
    古田との確執
    好き嫌いで選手を起用するのは最低の監督
    動かすには
    恐怖、強制、理解、情感、報酬、自主的
    西本監督、選手に信任投票させる(不信任4)
    古葉監督、南海の経験から日本一に
    広岡達朗、やはり性格に難あり
    鶴岡監督、グラウンドには銭が落ちている
    プレーにその価値がある
    野村には厳しかったが感謝もしている
    褒め方、直接と間接
    野村を抜擢したのは鶴岡なのだがなぜか自慢しない。なぜだろう
    三原監督、敵には冷たく味方には熱く鼓舞
    仰木監督の師匠
    川上監督は全てのファクターを持つ名将
    監督の賞味期限は短い
    努力する前にやめてしまうのはもったいない
    WBCの原は最初から決まっていたようなもの
    評論家の方が監督より学べる
    ID、インポートデータ
    なくて七癖、人には癖がある
    財を残すは下、仕事を遺すは中、人を遺すは上
    己を過信すれば成長は止まる
    親孝行なら大成する
    他人があって初めて自分も存在する
    叱られたら対策を考える
    無視、称賛、非難の繰り返しで人は成長する

  • 野村克也という人物は、僕は監督でしか知らない。まずは東京ヤクルトの監督で優勝し、万年Bクラスで低迷していた阪神の上昇基盤を作り、そして楽天を勝てるチームに育て上げた知将。僕の知っている野村監督というのは、この3チームを渡り歩いた監督という姿。そして、なんといってもヤクルト時代に築き上げたID野球という分析野球の人というイメージがありました。

    僕が本格的にプロ野球を応援しだしたのは2009年シーズンからなので、当然、楽天におられたときの試合も観戦したことがあります。腹の出たおっちゃんという見た目な感じはそうでしたが、この本を読んでいると野村監督がどういう野球像を、そして監督像を描いておられたが、よく分かります。ヤクルトでも、阪神でも、楽天でも、ノムさんが入られる前は失礼ながらもBクラスをフワフワしている弱小球団だった。阪神時代は在籍中に結果は残せなかったけど、ヤクルトではリーグ優勝と日本シリーズ制覇、楽天でも万年下位だったチームをクライマックスまで連れて行った。メディアの取り扱われ方はいろいろあるかもしれませんが、単純に実績だけを見ても、なかなかの凄腕だということが分かります。

    分析野球というと、よく野球中継や野球ゲームにも出てくる、ストライクゾーンを9つに分割するという配球を映し出すのを「野村スコープ」というらしい。野球を”とりあえず何が何でも打て、そして投げろ”という精神論ではなく、それぞれの選手のクセを分析し、そしてそれに対応するようにプレーをするというID野球というスタイルは日本の野球界に大きなインパクトであったと思います。

    それにしても、この本には凄くいい言葉も書かれている。参考までに。

    野球は「間」のスポーツだからだ。ピッチャーが一球投げるごとに時間があく。そして、これが何を意味するかといえば、「このあいだに考えろ、備えろ」ということにほかならない。一球ごとに変化する状況の中で、どういう選択をするのがいちばんベストなのか。即座にそれを考え、準備する時間が与えられているのである。(p.160)

    サッカーのように動き続けるスポーツでない野球。こういう静止した時間のあるスポーツは、一般的に考える、考えてしまうところに強さ弱さが出るといいます。ここが野球の魅力でもあるんです。

    人間は、生涯学習である。その意欲をなくしたらおしまいだ。進歩も成長もない。「組織はリーダーの力量以上に伸びない」と私はたびたびいっているが、だとしたら、リーダーすなわち監督自身が力量を伸ばし、器を大きくしなければ、チームもそれ以上成長しない。(p.120)

    これは野球だけでなく、教育観や組織論にもつながってくる言葉。人間は日々成長する生き物。成長が止まったときが、”人”としての後退の時期なのかと思います。どんなに小さなことでも、どんなに小さな一歩でも、謙虚に学ぶ姿勢がいつも必要。そういうことを理解できる集団こそ、強いものはないということでしょう。

    折しも、WBCの合宿が始まりました。この本では2009年の前回大会直前に書かれており、当時も少しすったもんだで最終的に原監督に決まったことにノムさんのボヤキがあります(笑)。そのボヤキを跳ね返して、前回は連覇を達成した侍ジャパン。今回は果たしてどうなるのでしょうか。。

  • プロ野球パ・リーグの南海(現・ダイエー)で27年間に渡り選手として、またプレイングマネジャー(監督兼任)として活躍し、1990~2009年までの20年間でヤクルト・阪神・シダックス・楽天の監督を務めた「ノムさん」こと野村氏による監督論。選手・オーナー・ファン、そして新聞やテレビなどのメディアという「4つの敵」と日々対峙する監督にとって最大の敵は「自分自身」と肝に銘じている野村氏が、強烈なプレッシャーを受けながらチームを勝利に、そして優勝に導く監督の、並大抵ではない苦労を語る。「組織はリーダーの力量以上には伸びない」「名参謀は必ずしも名監督ならず」という技術論は元より、「人を遺してこそ、真の名監督である」という姿勢は、プロ野球監督に限らず社会におけるリーダーの条件と資質を説いている。

  • プロ野球の試合は、監督が手駒(選手)を使って戦っているもんだと考えている。ということは、チームの弱い強いは、ひとえに監督の能力というか器にかかってるんだろうな。

    さて、プロ野球の監督とはなんぞや。優れた監督は誰で、ダメな監督は誰だ。そして監督はどうあるべきか。
    要はリーダー論であるが、例によってノムラ監督の深き洞察が一閃する。

    選手の人間形成にまで影響を及ぼしたカワカミ監督は、やはり凄かったと。

  • 野村ジャパンを見てみたかった。
    この本を読んでさらにその思いを強くした。

    揺るぎない野球理論とそれを表現する言葉。
    野村監督はそれを持っているから、著作を
    読んでもテレビ解説を聴いても、いちいち
    納得してしまう。

    第一章 監督の条件
    第二章 私が見た「名監督」たち
    第三章 間違いだらけの監督選び
    第四章 野村流監督心得
    第五章 人を遺してこそ、真の名監督である

    この本の中では、やはりWBCの監督選びという
    タイムリーなトピックを切り口にした第三章が
    よかった。

    それにしても、古田のことは相当面白くない
    ようで…。

  • 野村監督の本は、人に言わせると我田引水自画自賛の嵐だそうで、確かにそう言う面もあるかとは思うが私は何故か楽しく読めてしまうので何かにつけ購入してしまう。今回も楽しく読めてしまったのだが、まぁ何かが残るかと言われると何もないかも。個人的には好きなのでもっと色々と書いて欲しいところ。(口述筆記かもしれないけどね)

  • コミック

  • 野村さんによる歴代の名監督への分析と評価は面白かったです。
    野村さんが現役の監督時代、選手に感じる力を身に着けるように
    指導されておりますが、野球に限らず、すべての仕事に通じる指導法に
    思います。

  • とある事情から野村さんの考えを知りたくて、本書を読んだ。当初の思惑とは異なって、入れたい項目は見当外れだったものの、野村さんの考え方を知る事ができたのはシメたものだった。

    彼のプロでの成績の根幹や他の監督の評、そしてID野球と呼ばれた際にスコアラーを鍛えた話は非常にシンパシーを感じた。
    今のデータ分析に足りないのはこれなのだな。

    また、人を遺してこそ監督であるという話にはとても共感したし、その行き着く先が安岡正篤先生だったことで、心理的な距離が縮まった。(というか、まあ師事していた人が参照していた先が同じという事で距離が縮まったと思っただけ)

    プロ野球は広告モデルの依存のままに、多少は脱却しているものの構造改革はできていない。後継者不在の項目におけるぼやきはまさにシステム不均衡だろう。
    このような名物監督が減ったのは残念だが、それもまた時代なのだろう。

    ■目次
    まえがき
    監督には四つの敵がいる
    マスコミと監督

    第一章 監督の条件
    「監督業」に殺された蔭山さん
    なぜ名参謀は名監督になれないのか
    監督の器ー人望・度量
    貫禄と威厳
    表現力
    決断力
    名捕手が名監督になるわけ
    古田が失敗したわけ
    落合は名監督の器か
    監督の敵

    第二章 私が見た「名監督」たち
    選手が動かす六つのファクター
    恐怖と情感にあふれていた星野仙一
    怖さと情熱と科学の人、西本幸雄
    二流選手から名将になった上田利治
    ブレイザーに好影響を受けた、古葉竹識
    絶対的な指揮官、広岡達郎
    揃った戦力を使うのに卓越していた森祇晶
    人格者、王貞治
    親分・鶴岡一人
    革新性ももっていた鶴岡監督
    知将・三原脩
    ダンディな勝負師、水原
    六つのファクターをすべて持っていた川上哲治
    九連覇を支えた人間教育

    第三章 間違いだらけの監督選び
    迷走したWBCの監督選び
    人材不足が監督選考を難航させた
    間違いだらけの監督選び
    タレント性
    西武・渡辺監督と巨人・原監督の違い
    順番性
    短くなった監督の賞味期限
    監督養成システムの崩壊
    人材不足を象徴している外国人監督の増加
    なぜ知将が少なくなったのか
    限界を知ることの大切さ
    監督講習会を実施せよ
    WBCは勝てるか?

    第四章 野村流監督心得
    青天の霹靂
    ブレイザー・ヘッドコーチ
    「日本人は何も考えていない」
    チーム掌握の第一歩は意識改革
    監督は選手と距離を置くべき
    「死んだふり」で三位から日本シリーズへ
    コーチより評論家を経験すべき
    無意識に監督の仕事をしていた評論家時代
    監督は言葉を持て
    編成との意思疎通
    適材適所は才能に勝る
    スコアラーには「表現力」を問う
    一に準備、二に準備
    ほんとうの無形の力とは
    接線を制する四つの要素
    知力がぶつかりあった森西武との日本シリーズ
    「野村の考え」が浸透して勝ち取った日本一

    第五章 人を潰してこそ、真の名監督である
    財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を潰すと上とする
    監督の仕事は「人づくり」
    己を過信すれば成長は止まる
    無視・賞賛・非難
    人はプロセスでつくられる

  • データはあくまで参考で「過去」のものだからである。そこに「観察」と「洞察」を加え、「未来」を予測すること。それが本当の無形の力と呼ぶべきものである。

    財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すは上とする。

    「人間は、無視・賞賛・非難の段階で試される」という。箸にも棒にもかからない状態では、徹底的に「無視」。少し希望が見えてきたら「賞賛」。そして一人前と認められるようになったら「非難」する。そのようにされて人は成長していくのだと。

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著者プロフィール

京都府立峰山高校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークスに入団。3年目の1956年からレギュラーに定着すると、現役27年間にわたり球界を代表する捕手として活躍。歴代2位の通算657本塁打、戦後初の三冠王などその強打で数々の記録を打ち立て、 不動の正捕手として南海の黄金時代を支えた。また、70年の南海でのプレイングマネージャー就任以降、延べ4球団で監督を歴任。他球団で挫折した選手を見事に立ち直らせ、チームの中心選手に育て上げる手腕は、「野村再生工場」と呼ばれ、 ヤクルトでは「ID野球」で黄金期を築き、楽天では球団初のクライマックスシリーズ出場を果たすなど輝かしい功績を残した。現在は野球解説者としても活躍。

「2016年 『最強の組織をつくる 野村メソッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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