「村山談話」とは何か (角川oneテーマ21) (角川oneテーマ21 C 174)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年8月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047102002
作品紹介・あらすじ
保守派から目の敵にされている「村山談話」とは何か。田母神論文でクローズアップされる「村山談話」の真実とは!?「村山談話」全文を収録。
感想・レビュー・書評
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「杖(よ)るは信に如(し)くは莫(な)し」とは村山談話の最後を締める言葉だ。頼りとするものとしては、信義に勝るものはない、という脚注付きで冒頭談話の最後に記載されている。
本書は今でも政府のアジア太平洋戦争に関する日本の公式的立場として歴代政府に引き継がれている村山談話の成り立ちと、伝えたかった意図、そしてその後のアジア関係へ及ぼした意義について、当の発言者である第81代内閣総理大臣村山富市氏との対談形式で記載された書籍だ。村山政権といえば自社さ連立政権として、イデオロギーで長年対立関係にあった衆議院の第1党であった自民党と第2党の社会党更にはさきがけが加わり大連立を組んだ政権として歴史に残る政権であった。当然元は対立する政党同士がタッグを組み国を動かすのだから、意見の集約も相当困難であったであろうが、世間の予想に反して、長年未解決であった難題を次々と解決の方向に導くなど、村山氏の総理手腕が惜しげもなく発揮された政権となった。その様な中、誕生した村山談話については、右派からの批判は現在もあるものの歴代政権がその言葉を引用し続けるものとなっている。特に議論を呼ぶのは日本がかつて、アジアの国々を「侵略、植民地化した」件であるが、これは日本の戦争に至る経緯を「致し方なかった、アジア解放」とする立場をとる者にとっては受け入れ難い記述になるのであろう。確かにこの侵略や植民地化の言葉は日本と対面する各国から都合よく受け止められる危険な言葉である事には違いない。だがその危険を冒してでも公表する事に相応の価値があった言葉である。日本にとっての戦争の意味と、実際に国土を日本軍により蹂躙され、家族兄弟を失った国々とでは受け止め方は全く違うのだから。
過去の戦争で苦しめてしまった人々に対して謝罪するのは人として当然の事ではあるし、一国の総理がそれを発言出来なければ、日本国民全員が謝罪の意識なしととられてしまう。これを受け入れない人がいるなら、殺人を犯しても正当化するような人々なのかもしれない。但し、こうして書籍に出して改めてその意義や意味を解説しなければならないのは、核武装も正当化する様な田母神氏の様な存在、極端な右寄りの意見が世間を騒がすからであろう。
本書はそうした不穏な空気が世の中に現れ危機感を感じたタイミングであり、村山氏が総理になる迄にどの様な人生を歩んできたかを合わせて知る事によって、その意味を更に理解するのに役立つ。右寄りの人も左寄りの人も関係なく楽しめる内容である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アジア外交を考える上でかかせない歴史認識問題。いわゆる現在日本の公式的立場とされている『村山談話』とは何か。
村山談話にフォーカスしているというよりかは、村山富市元首相の自伝のような感じかな。
社会主義がイデオロギーとしていきてた時代の政治はおもしろいな… -
村山富市元首相が「戦後50年目の終戦記念日にあたって」という題で発表した「村山談話」について本人が語るという内容の本。
この談話の目的は「確かに迷惑をかけたかもしれない。でも日本がアジア諸国を占領したことで良い事もあった。だから感謝しろ」と日本が居直り強盗の理論に陥らないようにとの自戒だということ。
談話自体については主に保守派から問題点が度々指摘されているが、保守派と目される安倍元首相や麻生前首相も踏襲していることを考えると、これが国民のコンセンサスとなりつつある。
政治思想が正反対と言っていい石原慎太郎氏も首相に推したという村山元首相の誠実な人柄はある程度窺える。ただ、談話に関しては本人が語ったためか、自画自賛気味なのでそこは差し引き。 -
[ 内容 ]
保守派から目の敵にされている「村山談話」とは何か。
田母神論文でクローズアップされる「村山談話」の真実とは!?
「村山談話」全文を収録。
[ 目次 ]
戦後五十年に際しての談話(「村山談話」全文)
はじめに 田母神騒動とは何だったのか?
第1章 「村山談話」誕生まで
第2章 杖るは信に如くは莫し
第3章 私の政治人生
第4章 「村山談話」の源流とこれから
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
村山元総理の政治信念、歴史観が披歴されるも、新たな発見などは乏しい。
タイトルは『村山談話』となっており、それなりに、その分野についてもフォーカスされているが、それ以外のことを語っていることも多く、違うタイトルでもよかったのではないか。 -
9784047102002