「都市縮小」の時代 (角川oneテーマ21)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047102187

作品紹介・あらすじ

朽ちた街が甦る!米・独・日の徹底ルポ!賢い撤退で復活を遂げた欧米の都市の現状と、縮小政策を始めた国内地方都市の未来。

感想・レビュー・書評

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  • 2009年刊行。著者は大阪市立大学大学院教授。先進国で顕著な傾向にある都市の人口減少傾向。少子化が世界で最速ペースで進んでいる日本は、東京一極集中化現象とも相まって、より一層顕著な傾向。その中で、選択と集中他、地域の特性に根差した都市のダウンサイジングの成功例(ただし、問題点の指摘もあるので礼賛型の叙述ではない)を米独日の例から拾い上げる。工業型デザイン(意匠)、都市農業、地元民雇用を前提とする固定資産税減免、歴史的建造物の別目的・多目的使用の容認・援助、軽工業や小規模製造業の誘致など興味深い指摘多し。
    また、路面電車など軽量で保守管理が容易・安価な公共交通機関、ミニバスや乗合タクシー等、運行の稠密化が容易な公共交通機関の価値にも気づかされる。駅を中心とする旧来型都心部への小規模商業施設の集積(俗に駅前商店街)も同様か。PS.限界集落化が本書で取り沙汰されている大阪堺・泉北ニュータウンに関し、最近、遅まきながら、泉北高速鉄道と南海電鉄との料金体系の一体化が実現した。大阪市内へのアクセス不全の理由の一が鉄道料金の高さにあるという本書の指摘を是正する意味はある。自治体оr電鉄会社のお尻に火が付いたのだろうか?
    本書は決して礼賛ばかり叙述しているわけではないが、前提として①人口増加を前提とする都市計画は無謀、②特に都市間競争を激化させる方向性は非効率な投資を誘発し、共倒れの危険、③とはいえ、ダウンサイジングがすべての問題を解決するわけではなく、地域の特色・歴史的経緯を踏まえた模索は不可欠。のようだ。

  • 都市の景観、治安、暮らしやすさを守るためにも贅肉をそいで都市インフラの無駄遣いをなくしたスリムなまちを目指すことの必要性を提起している一冊。読んでいて生活も一緒かもなと思いました。成長期、新しいことを覚え多角化したりしたことを維持することがキツイなら、少し生活を見直して、やめるべきものはやめる、改めるべきは改める。せっかくはじめたからとかこだわらず、その時々で何を楽しむかは考えていけばいいのかなと。

  • 今、世界で訪れている縮小都市の波は、これまでの天変地異によう一過性のものや国家の衰退によるものとは根本的に地違う。
    様々な要因が複雑に絡み合い、その形はひとくくりにはできない。
    避けられない人口減少の中で、日本はどう賢く衰退していくのかのヒントがあこの本にある。
    縮小していくことは悪いことだけではない。
    それぞれの都市が持ち合わせた特色を色濃く発揮しながら変貌を遂げることができれば、規模は小さくなっても、その都市に価値はある。
    日本のどこにいっても大型スーパー、チェーン店といった面白みに欠ける風景、様を変えるきっかけになるかもしれない。
    こういったピンチの状況にこそチャンスを見出すことが求められ、面白みがあるのだと思う。

  • 日本、アメリカ、ドイツなどの人口減少都市における取組を取り上げている。写真で見せてもらえるともっと良かったと思う。
    人口を増やそうとする自治体の中で、喜麻市は総合計画に力みがない。
    解体のために自治体が補助金をだし、そこを緑地とすると、地価が上昇し、そのまま残っていた人が得をする。
    ポーランドのウウェービツェというまちは、街遯ブックの紹介で隣接するドイツのフランクフルト(国際都市ではない方)の市民に安いタバコとアルコールを提供するだけのところという記載がある。こういう形式のガイドブックは日本にはないと思う。

  • 著者は"Smart Decline"(賢く衰退する)をテーマに,「縮小の対価として初めて得られる豊かさがある」のではないかと訴える.

    20世紀という成長の時代,あるいは「人口増加熱望症候群」の時代からの切り返しについて,アメリカ・ヨーロッパ,日本の実例があげて述べられている.

    もちろん,"Smart Decline"によって「縮小の対価として初めて得られる豊かさ」が生まれるかどうか,それは仮説である.

    また,その仮説が成立する定性的・定量的な要件,あるいは本当に有効な施策となりえたのかという効果の議論もさらに必要となるだろう.

    しかし,21世紀の中盤に向かって,"Smart Decline"が,都市における生活のあり方と都市設計を考える上で,非常に重要なテーマとなっていくだろうと私は思う.

    「人類の進歩と調和」を素直に信じられた時代からの変曲点に我々は立っている.そして,その先にあるものを見るのは,我々ではない.

    それは,たとえば90歳まで生きるかもしれない,今10歳の「22世紀を目撃する人々」なのだ.

    こんなに刺激的な仮説は他にはない.

  •  「21世紀は『縮小都市の時代』である。人口減少を前提にした都市の新しい『かたち』が問われる。都市の広がり、自然との関係、別の言い方をすれば、暮し方、働き方の見直しが迫られるということだ。」
     この考え方に大変共感している。日本の都市も地方都市はもちろん、あとしばらくは人口増が見込まれる東京とて他人事ではないと考える。しかし、どのように都市を縮小させていくのかという研究、具体的な政策は今のところ十分とは言えない。
     本書では、縮小に向かう他国の都市の事例を紹介して、都市を計画的に縮小させていく政策の考え方を説明しており、「都市縮小」を考える上での入門書にふさわしい。

  • 人口減少の未来が避けえない都市において、どのような政策や取り組みを行えばよいのか、という問題について、アメリカ、ドイツ、日本から数都市ずつ事例を挙げて考察する本。

    専門性はそれほど高くなく、事例の数や詳しさもイマイチだが、新書で都市問題の解決政策を概観したものとしては読みやすくてよいのかもしれない。

    もっと都市問題の解決政策の事例について詳しく知りたい人は、アメリカの事例を集めた『都市のデザインマネジメント』を読むか、関西の事例が多少載っている『いま、都市をつくる仕事』などを読むのがよいであろう。あるいは、都市の問題のうち交通や経済や福祉や農業などなにかの側面にスポットを当てたものを読むのがよいと思う。

    その意味では、あらゆる政策をかじり読みできるこの本は入り口として啓蒙的な面白い一冊である。

  • 人口減少時代における、都市の縮小=賢い衰退(smart decline)の海外の事例が主に紹介されています。日本ではsmart shrink(ing)という言い方をよく聞きます。この本では、ハード面での都市縮小、いわゆる都市計画とか都市整備の話がおおきいですね。あまり、制度面とか労働力に関しては触れられていないのが残念です。

  •  前から購入していて、よまなきゃいけないなと思っていた本。

     タイトルがなんといっても、「都市縮小」。復興計画の参考になるかと思って読んだ。

     中身は、アメリカ、ドイツ、日本の都市縮小の成功、失敗した都市の実例の紹介。

     まとめはない。読者が考えろということか?

     そこで、大胆に、個人的な印象をまとめてみた。

    ①アメリカのダウンタウン再生の決め手は、デザイン。

     うまく、きれいに再生して、アート、デザイン関係の若手が入り込む例が多い。

    ②ドイツは減築。

     社会主義自体につくった無機質、巨大な住宅団地を減築して再生する。

    ③日本は、高齢化対応の医療施設、社会保障施設が決め手。

     日本ではあまりうまくいっている例が紹介されていないが、現実がよくみえているので、うまくいっているようにみえないためだろう。

     なお、著者は、地方拠点都市とか、土地区画整理事業それ自体が都市の拡大につながったと指摘されているが、そういう制度は都市の縮小にも使えるので、その前提となる都市計画、都市のマスタープランの問題として指摘するほうが、中立的評価ではないか。

     是非、著者には、東日本大震災を受けた「都市縮小」の提案を改訂版でお願いしたい。

  • もう少し早く読んでおけば良かった。
    この話を主体的に関わっていこうとしている身としては、もう少し理解していないと話にならないな。

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