デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047102330

作品紹介・あらすじ

「生産性の上昇で成長維持」という、マクロ論者の掛け声ほど愚かに聞こえるものはない。日本最大の問題は「二千年に一度の人口の波」だ。「景気さえ良くなれば大丈夫」という妄想が日本をダメにした。これが新常識、日本経済の真実。

感想・レビュー・書評

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  • ブランド力の強い製品を、というのは自分の考えていたことと同じでした。私は大量生産・大量消費というのはまだまだ発展中の国がすべきことだと感じます。一番簡単なのだから。ある程度まで発展してくると、人件費等の関係で自分の国よりもまだ発展途上の国へと大量生産の場を譲らなければならなくなってきます。そして、譲った国は付加価値をいかにつけれるか?と考えなければならないのだと思います。日本はとっくにこの段階に入るべきだった、だから今苦しいのではないかと思います。付加価値をつけないといけない、このことはデザインを学んだ人間ならきっと持っているであろう考えなのではないでしょうか。ただ、私たちは理論武装ができない。そのことがとても悲しい。


    お年寄りにお金を使わせるコツは言い訳をつけてあげること。これは面白いと思いました。これはお年寄りだけではなく、主婦たちでも同じことだなぁ。「これは期間限定だから」「これは何割引だったから」。

  • 問題は内需の減少なんですよね。デフレで何が悪いかっていうのは、それだけ経済の規模が小さくなると、税収が下がって国力が弱くなることです。世界規模でそうならばどうってことないのかもしれませんが、世界の中の一国としてデフレ傾向が続くと、各国との力関係が変わってくる。
    あとがきに書いていますが、「経済を動かしているのは、景気の波ではなくて人口の波、つまり生産年齢人口=現役世代の数の増減だ」というのが、この本の要旨です。

  • 感想を一言でまとめると、経済学者へのコンプレックスが強すぎる人が書いた本。

    基本的に上から目線で「知らないだろうから教えてやろう」「まだ君にはわかってないだろうから教えてやろう」という上から目線文章が羅列された本なので、不快感は極まりない。著者の口の悪さから裁判沙汰になったことからも、そのような方なのだろうと納得できるが。

    内容としては、あとがきにあるように「経済を動かしてるのは景気の波ではなく人工の波だ」というものである。時代ごとの世代人数の推移などからも、なるほどとは思う。だが、それに固執して自説以外を完全否定、しかも自説は絶対正しいというスタンスだ。そのわりに一部分をクローズアップして偏りがあるイメージがあった。そのため説得力が薄い。

    とはいっても、いくつか共感のある点はあった。
    それはメモに残しておこうと思う

    メモ)
    ・率ではなく、絶対数を確認すること。
    ・企業がコストダウンを図った結果、内需が減った
    ・生産性(生み出す付加価値÷コスト)とした場合にコストダウンのみ計る
     本来は付加価値を増やすことを考えなければならない
    ・高齢者が貯蓄に走ると消費に走らないまま資産が目減りする
    ・環境関連の投資同様に人へ投資の意識を
    ・景気対策は政府ではなく民間企業から。
     政府よりも企業の方が困るのだから
    ・日本女性が働けば消費はもっと増える(財布のひもは女性が)
    ・相関関係と因果関係は違う
    ・外国人観光客を増やす
    ・医療福祉の供給を安定化させる。ワーキングプアを減らす

  • 10年近く前に出された本だが、今現在の経済状況にそのまま当てはまる。今の経済不況をもたらしている原因は生産年齢人口の減少であり、その事実を知ってずっと景気が回復しないことも納得。若者の所得を増やすこと、女性の就労を増やすこと、外国人観光客を増やすことがこれから求められるということも、うーん、なるほどーと目からウロコだった。

  • 2010年刊行だから少し古いが、内容は今でも通じる。
    この本の要旨を一言でいうと「経済を動かしているのは、景気の波ではなくて人口の波、つまり年齢生産人口=現役世代の数の増減」だと説く。
    経済の問題は不景気とかデフレとか言われるが、そうではなくて現役世代の数が昔に比べて減っているのが原因。そんな中で生産性の向上やインフレ誘導をしても効果はない。
    ではどうすればいいのかというと、1.高齢富裕層から若者への所有移転 2.女性の就労と経営参加 3.外国人の誘致(労働力ではなくて観光・短期定住の受入)
    提言については賛否両論あるかもしれないが、現役世代の数に焦点をあてた見方は面白い。

  • 20160903

    里山資本主義の著者の本ということで購入。

    日本経済は不況だ、という様々な場面で聞くことの多い言葉。

    その不況、デフレというものはなんなのか。
    GDPや失業率などの数値とは全く別の観点で、日本社会が抱える問題を分析。

    世の中の空気に流されず、数字を見て根拠を持って考えるためのヒントが隠されている。

  •   藻谷浩介「デフレの正体~経済は「人口の波」で動く」を読む。
      面白い、引き込まれた。5年前のことが前提になっているので、経済の状況はちと古いのだが、それ故にこそ、予言の意味として振り返ってみるのがいい。
      経済学的な観点からの評価は自分の出来ることではないが、「人口の波」で経済が動くというのは、よく判る。著者が大きな要因として取り上げる「団塊の世代」の行動・考え方はまさに自分自身の問題でもあるからだ。

      内需が回復しないとの声はもうどれだけ続いているだろう。消費税増税の影響はもちろん大きいが、大きな問題の一つが既に仕事をリタイアした高齢者がモノを買わなくなったということ。例えばクルマの国内販売は一向に増えず減少の一方。これは若者のクルマ離れが大きな要因だとよく云われていたが、実は高齢者がクルマを買わなくなったのも大きな要因だと。もう何もかもモノを持っている豊かな高齢者は、あと何年生きるかも知れない老後資金として持つことを優先し、さらにモノを買うという行動を控えるからだという。結構な金融資産を持っている高齢者が買い控える、これが内需を押し下げるのはごく自然な話かも知れない。確かに判りますよね。何ほどの小金も持っているわけではないが、正直なところ、自分でも今さらに買わなければいけないものなど殆どない。せいぜいが古寺探訪などの旅行をするくらいとも云えるわけだから。
      著者は、その打開ために、①団塊世代がリタイアした後の若者の所得を上げるべきだ、②女性を活用し就労人口を増やして購買力を上げる必要がある、③外国からの観光客を増やして消費を図るべきだ、などと提言。実はこれは、くしくも現在安倍内閣が推進していることに他ならないのだが、5年前にはこうして提言が既にされていたということになる。

      最近はGDPが僅かながら伸びていると云うことだが、恐らく円安効果で自動車などの輸出が大幅に伸びているのが要因に違いなく、再び円高傾向に戻れば、また冬の時代に逆戻りと云うことになるのかも知れない。要は、年寄りも我々年寄り予備軍も「ピンピンころり」と死ねることを信じて、金を貯め込まずにせっせとと使いなさいということに尽きるのだろう。団塊世代というもの、いつの時代にも世間から叩かれ、要求されることが多いのには、腹立たしく辛いものがあるな、ホント。

  • 経済はつかみどころがないものではなく、ライフスタイルは世代ごとにそう変わらない、だからこそ人口の波が経済の波の大きな変動要因となっているということをわかりやすく説明している一冊。「同世代だからこそ共有できること」の中には、僕らY世代であれば共通して経験する不利益も含まれる。そういったものについてタッグを組んで望ましい形を模索していくことも時には必要かもしれない、と思いました。

  • 日本は中国、韓国、アメリカに対して貿易黒字であり、

    スイス、フランス、イタリアなどに貿易赤字であるそうです。

    また、デフレは景気に左右されるわけではなく、生産年齢人口の減少が原因である。

    解決策は、高齢者から若者への所得配分、女性の社会参加、外国人観光客の誘致だそうです。

    若干、解決策が弱いと感じますが、ためになる一冊

  • デフレの原因は、生産年齢人口減少に伴う内需の縮小という主張、これをしっかり根拠と共に示してくれている。そしてそれを解消するための具体策も、納得がいく形で書かれていて、とても好感が持てる本。年金を一旦クリアする、という意見もあり、常々考えていることを理路整然と書いてくれている。
    この本が発売されてから4年、そろそろ本気でやり出さなければならないのでは。

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著者プロフィール

1964年、山口県生まれ。㈱日本総合研究所調査部主席研究員。1988年東京大学法学部卒、同年日本開発銀行 (現、㈱日本政策投資銀行)入行。米国コロンビア大学ビジネススクール留学、日本経済研究所出向などを経ながら、2000年頃より地域振興の各分野で精力的に研究・著作・講演を行う。2012年度より現職。政府関係の公職多数。主な著書に『実測!ニッポンの地域力』(日本経済新聞出版社)、『デフレの正体』(角川oneテーマ21)。

「2012年 『藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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