善人ほど悪い奴はいない ニーチェの人間学 (角川oneテーマ21)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 325
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047102491

作品紹介・あらすじ

ニーチェの善人攻撃や同情非難は自分自身の内に潜む「弱さ、卑劣さ、善良さ」に対するものではないか。強烈な自尊心と、何をしても上手くいかない諦めを持つ若者たちが数百万規模で発生している現代日本でニーチェがよく読まれる理由がここにある。傲慢と自虐の極致をゆくニーチェから学ぶ、絶対的真実。

感想・レビュー・書評

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  • 中島義道氏の本10冊目です。
    哲学専門の本としては2冊目で、文章はわかりやすいけど内容が難しいです。

    善人=弱者=大衆=畜群それは私?
    中島氏のことは好きだけど、彼に批判されない生き方は無理。

    そう思いながら読んでいると、中島氏が善人と呼ぶのはここではニーチェのことらしい(本人は嫌悪しているが)とわかってきました。

    私はニーチェの知識が全くなかったので中島氏の説明で少しわかったのが面白かったけど、ニーチェをよーく知っている人が読んだらどう思うのかしら?

    個人的にはやはり、本筋から離れた雑談っぽいところが楽しめました。中島氏はわがままなんだけど、気持ちは理解でき共感するところがあります。
    たとえば、編集者に対しても「えーこんなこと言っちゃうの」と驚いてしまいますが、彼の気持ちはこういうことです。

    >つまり私は心底(どうしても負け惜しみに聞こえてしまうが)自分の本は売れなくてもいい、評判がよくなくてもいい、と思っている。だが、自分なりに「いいもの」を書きたいと思っている。それだけである。編集者には職人度と商人度が混じっていて、この言葉を使うと、私は商人度が五割を超える編集者とはうまくいかないのだ。

  • 中島義道流ニーチェの読み方。特に「善人=弱者」に対する考察。
    「弱者」は「仰向けになるイヌ」であり「加害者」であり「権力と権威を愛す」のであり「安全」を求め「善意の嘘」をつき「群れ」「(弱者にとっての)公正・平等」を求め「エゴイズム」を嫌い、そして「同情して傲る」のである。ニーチェは「超人」ではなく、そう生きられなかった柔和で、品行方正で、臆病で、弱気で、善良で、卑劣で、素直である「反対物」。
    「2ちゃんねる云々」のくだりは、そういった「叫び」を「自分の都合の良い解釈」として畜群を罵る状況をかぶせた説明。

  • この頃、というか、ここ数年くらいニーチェブームらしい。よくわからないが、ニーチェの言葉みたいなのが売れているようで、百万部を超えたとかきくのだけれど、そのあたりにすごく疑問を抱いてもいた。ニーチェを大衆が理解できるのだろうか?百万部売れるということは即ち、大衆に読まれているということに他ならないのである。ニーチェは大衆を侮蔑した人間である。大衆がニーチェに漁りついてニーチェを「素晴らしい」と評しているというのは酷く逆説的であり、大衆が自らの大衆性を大まかに発揮しているといった感じだろうか?どうにも、中島風にかなり辛らつな言い回しをしてしまっているが、基本的に中島と自分との考え方は近しいと思う。好きな文学作品が似ていたり、本人に対して反発的な嫌悪感を抱いたりするのだから、恐らく似ているのだろう。中島があとがきでニーチェの言葉について触れていてくれたのは個人的にありがたかった。言いたかったことを代弁してくれた気がしたのである。なんて書けば中島に何を言われるか知らないが、中島は気もちがいいくらいにあれこれ代弁してくれるので助かる。とはいえ、中島もそれなりに年であるし、中島にばかり期待していてもいけないなとは思うのであるが、それはまあいい。

    だが、ニーチェはそんな素晴らしい奴ではないというのは間違いない。ニーチェを無理やり素晴らしい奴にしようと言うほうがどうにもおかしくて、え?と違和を抱いてしまう。この気もちは、ある種のルイスキャロルみたいなものかもしれない。不思議の国のアリスや鏡の国のアリスで有名なルイスキャロルは実はロリコンであり、幼女に求婚していたくらいの筋金入りのロリコンであり、元々は不思議の国のアリスもその幼女のためにかかれたものなのであって、「ロリコン=諸悪の根源」みたいに考えている現代の母親たちが、その作品を素晴らしい名作だとして子どもたちに話しきかせているあたりがなんとも言えなくなるのである。俺はルイスキャロルがどんな奴だろうがいいし、変に教訓染みていない原作が好きなので、ルイスキャロルを評価したいが、上に上げた母親たちはその真実を知ると途端にルイスキャロルを憎みだしそうで怖ろしいのである。一般的に大衆と呼ばれる層は自分の無知を認められず、誰かにその責を転嫁する。あるいは表面上は認めても決して本心では認めようとしない。このあたりがニーチェの怨念みたいなものなのかもしれない。ニーチェを読めば自分も大衆への憎悪をかきたてられる。その憎悪はルサンチマンであり、自分もニーチェが侮蔑するところの弱者であり善人になってしまうというこの流れに取りこまれる。恐れ多く言わせてもらうならば、たぶん中島もそこにのみこまれてしまっているのかもしれないと感じる。だが、ということは自分にも巡ってくるということでこの流れは非情に危険でありこれこそが永劫回帰なんじゃないかとも思えてくるくらいだ。ちなみに中島は永劫回帰なる概念にはまるで興味が内容である。全く触れられていないし、触れる気さえなさそうだ。正直そんなものはどうでもよくて、中島が関心があるのはニーチェなる人間が持ちうるある種の負の歪なパワーみたいなものなのだろう。なんというか、一言で言うならばろくでもない一冊である。

  • 例え私の生きる態度として悪しか成し得ないとしても,少なくともその「悪をしか成し得ない自分」に自覚的でありたいと思う.悪を成しつつ自分は善人だと頭から信じて疑わないのが「善人ほど悪い奴はいない」最大の理由とも言えるのだから.

  • この本は、読みながら声を出して思わず笑ってしまう程
    の善い本です(笑)

  • 社会を渦巻く欺瞞的状況を丁寧に解説し、批判的意見を述べる一作。

  • 善人が必ずしも”悪”であるとは思わないが、弱者に関する記述で、私が人に対して違和感を感じる部分の正体を完全に文章化してあってものすごくすっきりした

  • 読了。

  • 【速読】ニーチェについて知りたかったのですが、以前読んだ「私の嫌いな10の人びと」とほぼ同内容ですかね?って思って2章まで読んであとは飛ばして最終章のみ。つまり著者の嫌いな10タイプの人は「善人」にカテゴライズされるようで「私の嫌いな…」で感じた矛盾は本書でも同じようにありました。というわけでニーチェ解説だけ読んでいると、妹の存在というのがユニークでして、このことは筆者も書いていますが皮肉で終わらない、本質的なものに帰結してるんですね。

  • 推薦者 共通講座 春木 有亮 先生

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