ゼロから学ぶ経済政策 日本を幸福にする経済政策のつくり方 (角川新書)

  • 角川書店 (2010年11月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784047102576

作品紹介・あらすじ

経済政策の基本である「成長政策」「安定化政策」「再分配政策」を、日銀の政策や年金問題など具体例をもとにわかりやすく解説。日本経済の処方箋を自らの手で作り出す最良の教科書登場!

感想・レビュー・書評

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  •  日本は財政面では小さな政府で、権限面では大きな政府という組み合わせで、著者は最悪の組み合わせだと書かれています。権限面が大きくて成功している国は、唯一中国だと言うことですがこれも成功といえるかどうか。。。このあたりの話をもう少し掘り下げ、他国との比較の中で詳細を知りたいところです。
     日本が抱える経済面での課題が浮き彫りにされています。個人的に関心のあった年金など再分配の問題についてもわかりやすく書かれています。これらの構造的欠陥を垣間見たように思います。

  • 題名のとおり「経済政策」の入門書。本著は理論的な整理を平易にしているため、世の中にでている経済評論をもう少し高い地点から考えてみたい人にはおすすめである。たとえば、規制改革や年金制度、量的緩和政策などなど、これらはパッケージとして行われる政策であり、単独では存在していないことがこの本からよくわかる。巷の本は、年金や規制改革などを個別に取り上げているモノが多く、全体像がみえにくい。そのようなことから生じる偏見への予防接種や治療薬にこの本はなると思う。

  • 今は経済について何も知らないが、現在の日本の経済政策を考えたい!という方におすすめの本。経済学の基本的な理論から、現在の経済政策について考えるポイントを、時折飯田先生の私見も交えて説明している本です。

    何も知らない状態からこの本を一冊読むだけでも、「経済政策を考え方はどのようなものか、今はどのような事が問題で、どのような方向に解決していけばいいのか」という事が何となくわかるのではないかと思います。

    これを読んで本格的に経済政策を考えたいと思うようになったら、この本の兄貴分の本である、岩田・飯田『ゼミナール経済政策入門』に進むことをお勧めします。

  • 気鋭のエコノミスト飯田氏の著作。

    本書は構造が大変わかりやすく作られているのが
    何より素晴らしい。
    まさに「ゼロから学ぶ」という表題を体言する
    ものとなっている。

    「はじめに」で語る
    "世界は分けなきゃわからない:だから問題を分割する"
    というシンプルなメッセージに集約される。
    経済政策とその効果を「成長」「安定」「再分配」の
    3つに分類して話を進める。

    そして、「終わりに」で
    「無味乾燥な理論」と「熱い(だけの)提言」の間を
    目指して書いたことがまたメッセージとして載せられているが、
    私はそれに頷けた。

    本書のコアは「日本を幸福にする」というポイントだろう。
    著者は、この「幸福」という一見あいまいで、使うものの
    エゴをまるだしにできる危険な用語と定義について、
    一章を使って自身の見解を説き、またありがちな批判についても
    反論を述べている。
    これによって、本書全体にシマリが生まれている。
    いわば「正しく批判を受け止めます」というフェアネスがあるのだ。

    あとは筆者の意見として、4章の再分配のところで、
    所得移転政策としての年金は、もう人口構成のアンバランスからして
    成り立たないだろう、と言っているのも印象に残った。
    私もそう思う。結局、日本が発展途上国時代に未来をなんも
    考えずに作ったものをいまだに使い続けているなんて
    無茶もいいところだ。
    ただし年金は破綻させられないだろうから、支給年齢をどんどん
    引き上げ、額を減らし、ヤスリで削るようにしていくんだろう。
    今からの世代は、それを覚悟した上で年金を払うしかないのかねぇ。

  • 「極東ブログ」
    本書は第一章で国民の幸福の視点を定めた後、経済政策の三本柱として成長政策、安定化政策、再配分政策を示し、その組み合わせが重要だとし、第二章以降は、三本柱にそれぞれの章を充てている。その意味で本書の構成は非常に簡潔で、経済政策としての幸福という概念、そのための三本柱の組み合わせ、そして三本の各論という構図でできている。
     各論の前になるが、本書の特徴でもあるのだが、さらりと重要な命題もちりばめられている。特にこの三本柱の組み合わせについて、「ティンバーゲンの定理」、「マンデルの定理」そして「コンティンジェンシー・プランの存在」という原理性への言及が貴重だ。おそらくこの三点だけでも一冊の書籍になるくらいの重要性があると私には思えた。
     「ティンバーゲンの定理」は「N個の独立した政策目標達成のためには、N個の独立した政策手段が必要である」ということで、まさに民主党政権はその反面教師のようなものだった。おそらくこの政権は、理想の政治概念から個々の経済政策が魔法の杖の一振りで導かれるというナイーブな幻想をもっていたのだろう。残念ながら、個別の政策は医薬品のように個別の副作用を伴うし、だからこそそれに対応した「マンデルの定理」も関連する。
     「コンティンジェンシー・プランの存在」については、本書をいわゆるエッセイ的な読書として読むなら、知識を得るという以上に、著者の思想や主観が多少見える部分でもあり興味深い。著者の飯田氏はこれを「真正保守主義の原則」と呼んでいることの陰影でもある。
     日本の軽薄な言論風土では、「真正保守主義」というだけで右派であるかのようにバッシングされがちだが、内実は「政策に間違いがあれば引き返せるようにする」という素朴な意味合いである。しかし「その引き返す」という考え方には、引き返すべき日本国民による国民社会という理念も含まれているのだろう。こうした点と限らないが、微妙な主観性が本書の独自の魅力ともなっている。
     第二章は成長政策、第三章は安定化政策、第四章は再配分政策と議論は明晰に進むのだが、経済学的な知識にベースを置く技術論と、経済学というより政治理念的な部分には交差性も感じられ、特に第四章の再配分政策にはその印象が濃く、理念的な先行から実質的な経済政策への乖離が多少見られるように思えた。
     別の言い方をすれば、例えば「実践 行動経済学 --- 健康、富、幸福への聡明な選択(リチャード・セイラー、キャス・サンスティーン)」(参照)のほうがより具体的な議論を展開している分、精密な議論になっている。本書でも、具体的でかつ社会コンテキストを反映した展開があればより明確になるだろうと思えた。セイラーの書籍の対象はあくまで米国社会なので、日本社会であればどうかという議論を識者に期待したいところだ。
     経済政策として通常議論されがちな、財政政策と金融政策については、第三章の安定化政策に分類され、バランスよくまとめられているが、この分野だけでも大きなテーマであり、例えば「マンデル=フレミング効果」などさらりと触れられているにとどまっている。こうした個別の財政政策と金融政策については、政策研究者の高橋洋一氏による著作(参照・参照)も参考になるだろうし、別書に譲ってもよかったかもしれない。
     本書を読みながら一番考えあぐねていたのは第二章の成長戦略についてだった。異論があるわけではない。むしろ、どれも同意できる内容なのだが、読み進むにつれ懸念のような思いが漂う。なぜなのか。
     経済成長には、「資本(経済学的な意味で)」「労働力」「技術」の要素があるが、重要なのは「技術」である。技術といってもIT技術というような個別の技術より、付加価値の知的・プロセス的な源泉と言い換えてもよいだろう。その基本だが、こう説かれている。

  • 学んだこと。

    経済政策の三つの分野。
    経済成長政策、安定化政策、再配分政策。

    創造的破壊の理論は、一国の経済ではなく、特定の産業分野に体して有効である。

    日本の年金制度は再配分政策になっていない。

    電力の上下分離は、成長政策である。

  • 「ゼロから学ぶ」と題されてる通りわかりやすい。「経済的な幸福度を高める事」=「GDPの向上」が経済政策の目標であるとし、その為には成長政策・安定化政策・再分配政策の目標を理解し、バランスをとる事が重要だと主張している。それぞれの政策の説明も簡潔かつ明瞭で、理解しやすい。ただあくまで入門用なので、更なる理解のためには他の本を参考にする必要がある。

  • #kindle
    この知識をどう使えば、日本をより良い国にすることに貢献できるだろうか、と考えられる本。「先生」の熱意が伝わる。

  • 経済政策とは、成長政策・安定化政策・再分配政策からなっているので、その観点で考えると今の経済政策に抜けているものが分かるよねということ

    アベノミクスは成長政策・安定化政策が比較的強めなのだと思う

  • 読みやすさ、取っつきやすさに関して飯田さんの著作はすばらしい
    今作も例外なく、
    経済政策や経済について「?→!」に変えてくれる一冊となっている。

  • 経済政策には3つの柱がある。それは「成長政策」「安定化政策」「再分配政策」である。

    本を読んで経済政策を学ぶきっかけになりました。

  • 経済政策を知る上での入門書となる。

    次は岩田規久男・飯田泰之共著の「ゼミナール経済政策入門」を読みたくなった

  • そう言えばR時代に経済学の講義は受けてたことを読了後に思い出した。当時はロクに理解できていなかったなあ、というよりロクに講義に出ていなかった。

    今回は夏の公衆衛生の実習での議論の前に再分配政策についておさらいをしようと選んだ。著者は最近テレビでの活躍も多く見る飯田泰之氏。テレビでの語り口と同様、非常に読みやすく書かれているので、「経済施策とは」という議論のあり方を簡単に見渡すにはちょうどよかった。

  • Podcastで著者の話を聞いた時に、極めて分り易かったの探して読んでみた著書であるが、これは大当たりだっった。
    経済政策として考えられる打ち手をうまく整理して基本から解説しているので、全体像をすっと理解できてとても分り易い。

    自分なりに整理してみると以下のような事を述べている。

    経済政策の三本柱は次の3つである。
    1,成長政策
    2,安定化政策
    3,再分配政策

    国民の幸福を考えた時には様々な指標が考えられるが、一人あたりGDPの上昇とは間違いなく正の相関を持っている。
    まずはそれを実現するための成長政策が第一に重要である。

    現実のGDPを、利用されていない労働力を効果的に使いきった潜在GDPにできる限り近づけることを目的とするために安定化政策が必要となる。

    そして個人ではどうにもならない事情で成長、安定化からこぼれ落ちてしまった人たちを救うセイフティネットとなる再分配政策。

    この三本柱が連携して成果を上げることで、本当の経済政策が実現できるようになるのだというのだ。

    そして各々を推進するための具体的な施策としては、
    1,成長政策
    ・効果的な産業に「労働力」を増やす
    →そのために旧産業から新産業に人を移動させる
    →移民政策を取る
    ・新産業を興すために「資本」を増やす
    →内国モデルから外資モデルへ。即ち外国資本を呼び込むこと

    これら労働力と資本を効率的に組み合わせるのが第三の要素「技術」であると言う。

    そしてこれらの要素をうまく動かすためには規制緩和、自由競争を推し進めて新旧産業を入れ替えさせ、民間に工夫させるのが最もうまく行く手であると。

    2,安定化政策
    これは所謂財政政策と金融政策がその基本。
    安定化政策としての財政政策は次の2つに分類させる。
    ・ビルトインスタビライザー
    → 所得増→消費増→有効需要拡大→所得増のスパイラルが暴走しないように所得税などで沈静化させる仕組み
    ・フィスカル・ポリシー
    →不況時の国債発行や減税による消費刺激を、中央銀行が景気を読みながら行うこと、そしてそれが乗数効果を発揮して経済を上向きに動かせることが肝となる。

    所謂ケインズ経済学の柱となる政策だ。

    金融政策は直接・間接に貨幣の量を調整して物価をコントロールする政策。
    具体的に効果のある労働市場・金融市場・資産市場を経由してコントロールするために、国債・手形の売りオペ、買いオペ、あるいはインフレターゲットのコミットメントで長期の金利傾向を市場に認識させる。

    私達から見ていると、財政政策は政府のバラマキ政策とも重なるところがあり分かりやすい反面、理論的な金融政策は直感的に理解するのが難しいために効果がわかりにくい。

    実際にはこれらの組み合わせが必要だが、世論をあまりに来にし過ぎると、分かりやすい財政政策に傾きがちでうまく動かなくなる。
    経済のよくわかっていない政府が政策を主導すると、うまく行かなくなるのが安定化政策だと理解した。
    欧州危機もイタリア、ギリシャのトップが経済の専門家になって少しは収束方向に向かったように見えるのはまさにこの分野の打ち手が理論通りに考えられ始めたからなのではないか。
    日本も経済運営に弱点を抱える民主党は、まさにこの罠に陥っているのだと改めて感じた次第。

    3,再分配政策
    現物主義に基づいたバウチャーやクーポンという考え方、つまり決まった使い方をさせることで底上げを図る施策。
    対象者の判断の難しさ故の問題点を抱える生活保護制度という施策。
    そして昨今、散々耳にするベーシックインカムとその改造型である負の所得税制度という理想的な施策。
    大阪市の橋下視聴たちが特に主張し始めている制度だ。
    生活保護に頼りきりにならずに、働くモチベーションを与えながらシンプルに公正に最低限給付を可能にするこの考え方にはとても感銘を受けたが、まだどの国でも導入できておらず、実現には相当な困難を伴うという。


    多少自身の理解整理も踏まえながら筋を描いてみたが、このように整然とした流れで制作全体を俯瞰しているので、極めて理解しやすい構成となっているのがこの本の特徴である。
    著者も言っているように、まさに経済政策の教科書として書いたというのが的を得ている本である。
    私のような経済初心者にとっては、全体を理解するのにとても助かる本であった。

  • 成長・安定化・再分配のそれぞれの経済政策が体系的にわかりやすく紹介されています。

    よくありがちなグラフや数式がいっぱい出てくるのか思いきや、そういうのは最小限にとどめていて、スラスラと読み進められると思います。

    経済のニュースなどでは経済政策の基本的な部分というのはなかなか解説してくれないので、経済のベースをしっかり掴むのには最適な本かなぁと。教科書的に一般論で終わるのではなくて、提言的なものも入ってるので今の話題にも対応しているように思います。

  • すごく読みやすい。
    これと言って目新しさはないが、そこそこ面白い。

  • 日本人は柔軟な現実主義者の集まり。時代の空気さえ変われば、上位から開国へ、軍国主義からデモクラシー万歳へ、まるで手のひらを返したように変わってしまう。

  •  経済政策全般を、「成長政策」「安定化政策」「再分配政策」の3つの柱に分類・整理し、解説した一冊。 
    経済学や経済政策について一定の知見を持っている人にとっては、「どこかで聞いた話」であり、目新しさはない。経済の初心者にとっては入り口が良い本だと思います。

  • 経済政策について分かりやすく解説されており,とりあえず何か入門書を読みたかった自分にとってはうってつけの本だった.

  • 経済政策の基本的な枠組みと、その理論的背景が解説されており、大変、参考となった。幸福を軸に話が進められている点に興味をもった。

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著者プロフィール

1975年生まれ。エコノミスト。明治大学政治経済学部准教授。東京大学経済学部卒業後、同大学院経済学研究科博士課程単位取得。内閣府規制改革推進会議委員などを兼任。主な著書に、『経済学講義』(ちくま新書)、『これからの地域再生』(編著・晶文社)、『マクロ経済学の核心』(光文社新書)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)などがある。

「2018年 『新版 ダメな議論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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