日本を変えた昭和史七大事件 (角川oneテーマ21)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
3.22
  • (0)
  • (2)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 45
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047102798

作品紹介・あらすじ

激動の時代「昭和」を代表する歴史を変えた七つの事件とは。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 昭和の62年間と二週間の中から選び出された事件・事象。

    1.五・一五事件
    2.二・二六事件
    3.太平洋戦争
    4.敗戦と占領
    5.60年安保
    6.三島事件
    7.ロッキード事件

    それらを捉える視点が、
    1.どのような事件・事象にも必ず「因」と「果」がある
    2.その事件・事象に対し、当事者の主観的な意思と歴史上の見方が対峙される
    3.一つの事件・事象を見るとき、その精神と行動からの分析が必要である

    特に著者は、
    「何が彼らに一線を越えさせたのか?」という関心を示す。

    動機が行動を正当化し、事の本質が見えにくくなってしまった事件・事象が、
    その後の社会にどんな影響を与えたのか。


    [more]

    【読書メモ】
     ・つまり、60年安保は「昭和三十五年の60年安保」という言い方をするわけだが、そこにはグローバルな視点があると同時に、「昭和」というこの言葉がはらむ日本に固有の問題があった。昭和三十年代というのは、われわれはまだ「昭和」という言葉を踏まえながら社会的事実を見ているのであり、それゆえに「昭和」という言葉のもつ重さもまた存在した。/ところが、そのあとは1970年代、80年代という言い方をするにしても、昭和40年代や50年代という言い方はしなくなった。そこから窺えるのは、日本社会の問題がグローバル化している、つまり日本が国際社会の枠組みのなかに取り込まれているということである。/そういう意味でも昭和三十五年の60年安保というのは、グローバル化への変革点になったということもできる。 p142
     ・ 私は、あれは戦後日本が政治から経済へかわるときのエネルギーの発散現象、脱政治へのガス抜き、いやもっといえば「ええじゃないか」運動だとも思っている。 p158


    【目次】
     はじめに
      激動の時代を彩る七大事件とは 
      歴史を見つめる三つの視点
      何が彼らに一線を越えさせたのか
      同期が行動の善悪を覆い隠す
      目に見えない大きな影響力をもつ事件
     1.五・一五事件のもうひとつの顔
      杜撰で衝動的な「五・一五事件」
      不気味な鳴動「三月事件」
      国家改造運動の意志を固めた「郷詩会」
      先を越した井上日召に焦る青年将校たち
      「民主主義に心が犯されている」
      農本主義者・橘孝三郎の五・一五事件とは
      獄中で国体原理主義者になった橘
      大きく”ジャンプ”した五・一五事件の「果」
      テロリストから英雄へ
      「動機至純論」はテロを是認する論理
     2.青年将校たちの精神と二・二六事件
      エリートが率いた事件
      青年将校に対する五つの見方
      理性、知性を捨てた行動
      自分勝手な要望書
      「即刻鎮圧」を命じた梅津、東條、阿南
      問題となる「陸軍大臣告示」の文言
      ゆれる陸軍
      株の動きを気にした天皇
      磯辺浅一の呪詛
      決起は至純の情を示すため
      青年将校を代弁する磯辺の証言
      判決が決まっていた北と西田
      純化した気持ちを利用した軍官僚
     3.太平洋戦争・「誤謬の東條首相」と閣僚
      変化してきた「太平洋戦争」論
      太平洋戦争を見詰める三つの立場
      人類史から見た原爆、特攻、玉砕
      東條を首相に戴いた悲劇
      コストを無視した戦争
      虚構だった戦争継続
      日本人捕虜はなぜしゃべるのか
      自省に欠ける軍事指導者
      歴史を検証する眼
     4.占領初期・日本国憲法制定と日本の官僚たち
      占領期間の大事件、憲法改正
      七人の官僚が明かした憲法制定の裏側
      全面改訂ができない憲法改正条項
      一連の流れから浮かびあがる不透明さ
      揺れる天皇の位置づけ
      「事実上」の自衛戦争の放棄
      日本側に放たれたGHQのスパイ
      「主権在民」と「文民支配」がGHQのキーワード
      新憲法は本当に一週間でつくられたのか
      曖昧な論点を残したまま戦後続いた憲法
     5.戦後は世代の生理的嫌悪感と60年安保闘争
      「昭和」が消えた「60年安保」以降
      元号と同じ意味をもつ「戦後」
      安保は講和条約から始まった
      生理的嫌悪感が国民を動かす
      学生が主導した生理的嫌悪感
      「聖少女」とその両親
      「娘の死をムダにしないで」
      戦後日本を確立する儀式としての「60年安保」
     6.三島事件と戦後社会の不可視空間
      なぜ三島事件は昭和史に組みこまれるのか
      昭和史をほとんど否定した三島
      実は共鳴していた自衛隊員
      檄文の三つの骨格
      青年将校・磯部浅一への関心
      自衛隊による政権奪取の可能性
      生まれるべくして生まれた三島事件
     7.田中角栄元首相逮捕という政争 ロッキード事件
      ロッキード事件陰謀説
      無作為の国体破壊者
      「こんなところで死ねるか」
      子どもにおみやげ代の現金
      田中錬金システムへの批判
      普通名詞としての「田中角栄」
      田中角栄が狙われたもの
      「検察正義」の誕生
      検察側の強引な見立て
      煽る検察、煽られるマスコミ、国民
      昭和の代弁者、田中角栄

    【読了前コメント】
    昭和史、特に二・二六事件の周辺を理解するため

  • 三島事件(三島由紀夫)の記事が寄れていたが、その他は読み応えがあった。

  • この事件に登場する事件って、同時代を生きた人に直接話を聞けたか聞ける状況なんだけど、生まれてないか、子ども時代の事件が多く、歴史の授業ではさっと流されることもあって、あまり知識がなかった。事件と同時代を生きていた人たちが、当時どう感じていたか、聞いてみたくなった。

  • 三章までの戦前部分は他の著作でも読んだことある内容のダイジェストなので面白くなかったけど戦後の四章以降は保阪さんの著作では読んだこと無いので面白かった。憲法制定と官僚の章は第三者的に憲法が米国の意向に沿って制作されたのを明らかにしている。私は(おそらく著者も)護憲派ですが、日本人が作ったかどうかよりも、宮沢喜一が言うように憲法に基づいた判例が積み重ねられ日本人に馴染んで来たという事実を重視すべきじゃないかと。

  • 文字通り、昭和史の中で筆者が7大事件としてあげる「五・一五事件、二・二六事件、太平洋戦争、占領、六〇年安保、三島由紀夫と楯の会事件、ロッキード事件」について記述した一冊。

    太平洋戦争と三島の件を同列に上げるのは若干無理があるものの、一貫して日本の国体について考えてる部分は同意できた。

  • 個々の事件についてきちんと調べられた上で簡潔にまとめているのだな、ということがよくわかる一冊。教科書や一般的に語られる内容からだけではその奥まで理解出来ないことが多い昭和の歴史の、特に軍部と天皇との間で何が起きたのかなどについてもだいぶ深く切りこまれている。
    個人的には三島由紀夫や田中角栄のくだりもすごい興味深かったんだけど、筆者としては太平洋戦争前後の所が一番思い入れが強そうな感じはありました。でもこれだけわかりやすくまとめられているのはそれはそれですごいなとは思います。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

1939(昭和14)年北海道生まれ。現代史研究家、ノンフィクション作家。同志社大学文学部卒。1972年『死なう団事件』で作家デビュー。2004年個人誌『昭和史講座』の刊行により菊池寛賞受賞。2017年『ナショナリズムの昭和』で和辻哲郎文化賞を受賞。近現代史の実証的研究をつづけ、これまで約4000人から証言を得ている。『陸軍省軍務局と日米開戦』『あの戦争は何だったのか』『昭和史の大河を往く』シリーズなど著書多数。

「2018年 『昭和の怪物 七つの謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

日本を変えた昭和史七大事件 (角川oneテーマ21)のその他の作品

保阪正康の作品

ツイートする